トリダヨリ

2005年6月15日 読了本
ISBN:4391130874 単行本 2005/05 ¥840

著:コンドウ アキ
主婦と生活社

リラックマシリーズ第三弾。
「リラックマ生活3」をあえてバッテンして
トリメインを強調(笑)

キイロイトリさんがメインとはいえ、
イラストはほとんどリラックマ&コリラックマとの
やり取りがしっかり入っているので、
今までのシリーズが好きなら続けて読むのもいい。

書店平積みのものをパラパラ立ち読みするだけで
内容はわかるけれども、あえて買うなら
キャラ好きなひと、キャラ愛でるひと、
毎日占いや御神籤好きなひと向けか。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

リラックマのちょい丁寧語のゆったり口調と異なり
いつも怒ったりツッコミ入れてるトリさんの言葉は
命令口調のカタカナ語なので、他の二冊に比べて
ちょっと説教くさいかもしれないです。

意志の弱い人が叱って欲しいときや
なんとなく励まして欲しいときにいいのかな。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

私の場合は、おおいに頷いたりする反面、
たまに、なんか鬱陶しくなることもあります。

こういうのは、
我が身を振り返ってしまうようなことがあるから
また心に引っ掛かりがあるから反発もするのかも?

深く考えずに、キャラが可愛いことに和んだり、
「あー、あるある」って幾つかでも共感すればいい。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

可愛いキャラクターに「自分」に言い聞かせるような
文言がついてる<ちびギャラ>のいろんな作品を観ても
この台詞わかるな、と思いながら、どこか
押し付けがましく感じる時もあるし、
わかったように言ってんじゃね〜くらい
思うことはないんだろうか?と思ったります。

応援する言葉、自戒、自省、
ほんのつぶやき、誰かを思う気持ち、いろいろ。
それは作者やスタッフが自分自身にも言ってることだと思う。
また、商品化されていくうちに狙って作る言葉でもあるだろう。

若い頃ならば、親や友達に頭ごなしに言われるより
こうした言葉で、自分を振り返ることもあるのかな?

年を重ねるごとに人の忠告に耳を貸さなくなるが(多分)
そもそも人のことを思いやって忠告してくれる人も
だんだん少なくなることは確かだ。
ヘンに諭したり、厳しいことを言って無用な波風立てるほど
皆、暇じゃなくなってるだろうし。

誰に言ってるか定かでない、独り言みたいに溢れる言葉。
そのどこかに、今の自分を見つける。
と、言うより、見つけたいのかな?

歌詞でもなんでも、全ての言葉が、響くわけはなく
染み込むように心に入っていく句もごく僅かかもしれない。
でも、誰かに言って欲しい時がある。

星空の二人

2005年6月12日 読了本
ISBN:4150307989 2005/05/25 ¥714

『星空の二人』

著:谷 甲州
ハヤカワ文庫JA(早川書房)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

緑の星
星の夢に
五六億七千万年の二日酔い
彷徨える星
繁殖
スペース・ストーカー
ガネッシュとバイラブ
星空の二人

解説/林 譲治

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

人類の探査や侵略を拒むもの。
樹(「緑の星」)と
星(「彷徨える星」)。

星について息子に語っている夢をみた「星の夢に」

14歳で肉体の時を止めたアイリーンとの
パートナーシップ。異星人の攻撃から、
パートナーを守るための死闘。「繁殖」

大いなるバカSF短編がふたつ。
「二日酔い」と「ストーカー」。

二日酔いの方は、タイトルで示されるとおり
弥勒が登場。仏教宇宙におけるバカエロ比喩。
実は壮大な宇宙論か。

「スペース・ストーカー」は平行宇宙からの求愛者に
立ち向かう若い夫婦の話。
<女性が一生でいちばん美しい時期は10代の前半>
との記述を読んで、読者向けにあえて書いたのか
著者の嗜好かちょっと考えてしまった。
(「繁殖」でも10代なので)

二万年に近い年月、仮想人格を搭載した
宇宙船が追いかけるのは・・・「ガネッシュとバイラブ」

新米航宙士の麗奈が、仮想現実の情報プールで会った少年。
同い年くらいに見えたのに、実際はずっと格上の航宙士
であったことがわかり戸惑う。(「星空の二人」)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

表紙(カバーイラスト:水樹和佳子氏)とタイトルで
衝動買い。浪漫的SFでちょっとハードなやつかな、と
思い込んでいました。

このなかですごく好きだなあと思ったのは二編。
「星の夢に」はちょっと泣けた。
二編目にこれがこないで、「二日酔い」がきてたら
表紙でたばかられたと早合点したかも。

「星空の二人」は設定もお話もロマンスに
脳内変換しやすく、ラストにたどりつくのが
勿体無かった。長いこと浸りたいくらい。

萩尾さんや、竹宮さん、佐藤史生さんの
優しい余韻を残すSF短編を思い出した。

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私の好きなSFといったらマキャフリィの『歌う船』
ハインライン『夏への扉』。ブラッドベリの不思議な世界、
アシモフ、ロボットのシリーズ。

ハードSFの定義がいまいちわかってない私。
宇宙物理天文機械他の理系に親しんだ人により楽しめて、
設定も世界観も細かい科学考証をされたファンタジーって
いう印象があります。実際はどうなんでしょうか。
正直、私は雰囲気しか楽しめないのが哀しい。
ところどころ全く理解できてないだろうから。
DVD ビデオメーカー 2005/02/17 ¥4,935
自主制作のアニメーション『ほしのこえ』が大きな話題を呼び、一躍アニメ界の注目株となった新海誠が、満を持して発表した長編アニメーション第一作。日本が南北に分断されたもう一つの戦後の世界を舞台に、二人の少年の友情、そして“眠り続ける少女”との約束の顛末が描かれる。 (ここまで引用そのまま)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

発売日に予約して買っておいて、今日まで観なかった。
時間も気持ちの余裕もあって、何もせず集中して
ちゃんと観たいDVDやビデオは、けっこう後回しにして
「積」んである。本やゲームといっしょ。

そのうち観る機会を失くしてしまい、テレビ放映で
先に観てしまったりすることもある。

珍しく観る気になった。
先日、原作本読了後、映画『秘密の花園』を最後まで観て、
本も映画も何度もいろんなところに改めて気付いたり
毎回同じところで「いいな」と思ったり。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

そんなわけで、じっくり好きだと思える映画観たいなあ、の
気持ちが今のところ継続中なので、たぶん
今なら観られると思ったんだろう。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

いちいち観る理由で長文にしても仕方ないが
この作品については密林商品レヴュから多種ブログまで
いろんなひとがいろんなこと書いているようです。

なんだろ、言葉がなかなか見つからない。

えーと、

*劇場で予告編を観たイメージと違ってた。
『ほしのこえ』は観たことがないし
 設定やキャラもよく知らないので
 そのつながりではイメージしようもなく
 予告以外に持ってたものはあまりなかった。

*空が青くてスコーンと高くていい色だと思った。
 長細い塔がどこまでも伸びてるのが面白い。
 
*光にこだわってるのかな。
 一箇所だけキラキラ効果が余計というか
 ちょっと不自然だと思う場面があった。
 他はだいたい、きれいでいいなあと思った。

*なんでもない日常の風景も誰かの眼を通して
 上手な人が描くと、ああなるんだと感心した。

 ただ写実的なだけじゃなくて、とても和むし
 美しい。

*気に入ったのは電車の内壁を走る光の粒。
 思わず見入ってしまった。
 
*傘の先を伝い落ちるしずくも細かいなあと。
 いろんなものをよく観てるんだろうなあと思った。

*「ものがたり」「SF」としてのツッコミどころは
 たくさんだが、専門にツッコミたいひとにまかせるべし。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

声、に頼るところがかなり大きいかもしれない。
主人公の声の人は独特。例に漏れず『北の国から』は
最初のシリーズからリアルタイムで観て育ったもので。

予告編で観た眼鏡君が忘れられず買ったようなものだが
声が最初から「どうかな?」と思っていた。
でも覚悟していたほど違和感はなく、好みはともかく
けっこう上手い場面もあったので、良かったと思う。
眼鏡、かっこよかった。成長したほうが当然好きだ。
主人公は主人公として、良かったが
私フィルターだと眼鏡が活躍して見えた。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

『海がきこえる』に三角関係がちょい似てる。
氷室さん原作でジブリが作った青春ドラマ。
素直でちょっとヘタレ主人公とクールな眼鏡。定番?

マドンナの性格はぜんぜん違うけれど
女性側からと男性側から描くのが異なるのか、
それとも作者の好みの違いか。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

『雲の向こう〜』のヒロインを観て。

男の初恋話的エピソードにはどうして
こういうタイプが多いんだろう、などと偏見ともとれることを
考えてみたが、本作では特にヒロインに嫌悪感もなく
むしろけなげで可愛い、援けたくなるタイプ。
声も良かったと思う。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

ラストはあれでいいと思う一方、
あれ、これで終わりなんだ、と寂しくも感じた。

冒頭へつながる「余白」が気になって気になって。

観終わってすぐまた冒頭だけ繰り返して観た。
やはり気になる。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

飛ぶ、こと、自然の描写など
日本のアニメーションを測る物差しのひとつに
宮崎氏とジブリの作品があがるが・・・
比べてもなあ。

じゃあ無理やり。

宮崎氏の作品には痛烈な皮肉や風刺、屈折した某があって
時々何か責められている気がするほど
身につまされるときがあるが・・・
『雲の向こう〜』からは後ろの「何か」が伝わる様子が
緩やかで、こちらのほうが心地いい。

・・・と思うことのほうがまずいんだろうか。
そのへんは「好み」と言い切ればいいのか
「生き方」「姿勢」まで考えないといけないのか
考えるのはまた面倒。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

とにかく。
量産されてひどい「絵」「画」「動」のアニメーションが
多いなかで、これだけ丁寧なものを観られたことも
嬉しかった。



 
 

秘密の花園

2005年5月30日 再読本
ISBN:4102105034 1954/01 ¥620

「秘密の花園」The Secret Garden, 1909

著:バーネット

Frances Eliza Hodgson Burnett, 1849-1924

訳:龍口直太郎

新潮文庫(新潮社)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

コッポラの映画が劇場公開時に買ったので
えーと1993年改版、当時520円の文庫。
装丁は劇場公開映画のスチル写真を使ってあります。

持ってる映画のDVDを週末に作業中、
前半流しておいたので、原作が恋しくなって再読。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

顔色の悪く、根性ねじ曲がったお嬢さんが
両親をなくて引き取られたイギリスの伯父さんの邸宅。

想像すると行ってみたくなるところ。
まるで嵐が丘の舞台のような荒野、
春が来ると息づく大地。

自然とともに成長して、すっかり
人間らしく(?)なっていくメアリー。

かつての彼女みたいに、親の愛をちゃんと受けず
いじけてしまった病弱の従兄弟コリン。メアリーが
わがまま放題の彼を叱り飛ばす様子は痛快で、微笑ましい。

魔法が使えるみたいに不思議な少年ディコンの優しさと
誠実さ、あたたかさ。その姉マーサも、母親も同じく。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

いつ読んでも、なんとなく幸せを呼ぶ本。
大事なこともいっぱい散りばめられていて、
そのへんの啓発本や「幸せになる本」の類よか
よほど「そうだよねえ」ってしみじみしちゃいます。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

インドや黒人に対する偏見はまだ残ってるので
たまに気になるかな。
当時の西欧の意識からすると仕方ないのかな。

あと、とにかく「自然」がいちばん子供にゃいいんだ!
子供はウチにこもってないで外で遊べ!!
と頑固な信仰みたいなのが全編通してあるのと(笑)
翻訳の<ヨークシャー訛り>の表し方。
どうしょもないってわかってても
前述の『時の旅人』同様、気持ちがそがれるというか
あー読みづらいというか・・・なんか。

みっちり食べて大きくなる子供たちの様子読むと
ばくばく食べてるメニューのかずかずを
実際食べてみたくなるですね。美味しそう。
DVD ポニーキャニオン 2003/12/17 ¥3,990 ほんのちょっとしたイタズラ心が災いして大事件になり、少年院に送られることになった4人の仲間。なんと少年院で待っていたのは看守からの虐待と暴行。十数年後、大人になった彼らのうち2人が偶然、看守と会って衝動的に殺害してしまう…。 少年院で味わった屈辱と悲痛な心を抱えたまま大人になった4人が、それぞれの方法で看守たちに…(引用そのまま)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

観たのはテレビ放映の録画です。
ラストまでぜんぶネタバレ感想。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

後味が悪い・・・というより、何か違和感が残った。
テーマが重いのに、何となく薄っぺらなのだ。

豪華キャスティングを揃えただけ、という感じがする。
脚本をもっと練れなかったのか。
演出は。

印象に残る良い場面もあった。
なのに何故だろう。

マフィアに「守られた」貧しい街、下層生活者。
いつもの悪ガキどもの窃盗、それは彼ら「子供」の
自分勝手な楽しみ。

ホットドック屋の店主の生活や人格も考えずにいた、という
大人になってからのモノローグは、入ってよかったと思う。

それは事故でもあったが、過失傷害事件として
四人の少年たちは収監される。
そこで日常的に行われる虐待、性的暴行。

大人になってから偶然、元看守(K・ベーコン)に出会い
拳銃で撃ち殺してしまう二人。

守ろうとする記者と、検事の二人。

最後は何故か『無罪』。
それで一応のハッピーエンドになるのは、どうなんだろう。
その後の彼らについて語られるが
無罪になった二人は結局無残な死体をさらすことに。
それは、やはり「罰」が下ったということか?

少年時代への惜別、美しい想い出はいい。
『スタンド・バイ・ミー』のように、悪ガキの頃を懐かしむ
あのテの匂いがする。それもいいだろう。

その少年時代をめちゃくちゃにした
それは少年たちの自業自得でもある。
少年犯罪をすぐ「そのくらいのこと」とする大人は
何をもって許すと言うのか。
「そのくらいのこと」で人生を台無しにすることはない?

だが、実際「そのくらいのこと」で
人生を狂わされた被害者の方はどうするんだろう。
ちょっと話が逸れるけど・・・。

彼らが悔いているのはわかる、そして
卑怯な看守たちの行動が許されないことも。

K・ベーコンの悪役ぶりは板についてるなあ・・・。
せっかく食堂で援け舟を出してくれた黒人の看守、
彼はあれきり出てこないし。

最初に殺されてしまうのではなく、ノークスは法廷で
裁かれるのかと思っていた。
黒人の看守はあとで何か証言するのかな、と思ってたが。

また、後に復讐を果たす役をリゾの兄に与えるなら
看守を見返したいという少年の進言によって死ぬことになった
リゾについても、もっと描写が欲しかった。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

復讐劇としては全然足りない。
他人の手を借りて、街の顔役が助けてくれて、
他の元看守もそれぞれ破滅に追いやる方法も
この映画の見せ方だと、記者が検事の計画の<完璧さ>を
強調するほどのことではない。

法廷内で明らかにされる少年院での虐待。
だがそれだけだ。それで何か変わったのか?
たった一度の法廷のなかで、それが明らかになったとして
何か改善されたのか?それについては語られない。

平板な法廷シーンで、殺されたノークスの友人として
出廷し、涙を流しながら証言した元看守が印象に残る。

モンテ・クリスト伯を引き合いにだすほど
鮮やかな手並みとも思えないし
神父の証言が最後の切り札というのも何か足りない。
デ・ニーロが演じているから重みがあるんであって・・・
また弁護側のホフマン、彼を使うのが勿体無い。

だいたい、何故そんなに街のドンは彼らに手を貸すのだ?
殺人を犯した二人が手下だからか?
子供の頃から世話してきた4人だから?

「復讐」劇なら平板すぎるし
社会告発ドラマなら薄っぺらいのだ。

あそこで落ちぶれた看守を殺すのでは、観ている側の
スッキリ感はあんまり無いのではないか。
一番悪いヤツとして描かれているのに。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

子役の美しさやみずみずしさ、哀れさが引き立つだけで
大人役になったら印象薄ッ!つーか汚なッ。
どの子がどの大人になったのか最初
ぜんぜんわかりづらくてやんなっちゃう。

ブラピがキレイなだけか。それもまだ若くて演技も
サエがない。イマイチ検事としては物足りない。

子役のときはホントみんな可愛かったのに。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

『スリーパーズ』 SLEEPERS ’96 アメリカ映画

監督:バリー・レビンソン
出演:ロバート・デ・ニーロ ケヴィン・ベーコン 
ブラッド・ピット ブラッド・レンフロ 
ジェイソン・パトリック 他

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

と、これらの感想を書く前に、映画サイトの
ネット批評や感想を読まなくてホント良かった(笑)
けっこう的確に書いてる人多くて。

映画、ぜんぶ美男美女とか豪華俳優だけにしても
たぶん不自然でつまんないんだろうけど・・・
男優メインまたは豪華な男優キャスティングの時の
女優さんってなんでこうイマイチなんだろう。

それとも日本人(もしくは私)の好きな女優さんと
アメリカ人好みの女優さんは決定的に何か違うのか?
(まあそうだろうとも)

その逆もあるんだけどね。女優さんステキなのに
「王子様」がぜんぜんダメダメってのが。

せっかくの「女の子」
四人の少年仲間のマドンナとも言える位置なのに
必要に感じないほど大人になった彼女はイマイチだった。
これは監督が生かせないだけか?

観ないと感想は書けないわけだが、二時間半近く
一生懸命観た割には「面白くない」。
大好きなB・ピットの映画だし、当時話題にもなったので
楽しみにしていたのだが・・・。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

良かったなあと思ったのは
少年たちと神父の交流など前半。
デ・ニーロの温かみと、胡散臭さ(笑)。

あんなに子供たちのことを思って、
頭から抑えつけて説教するのではなく
遊びの中でいろいろ教えてくれた大人。
そんな人がいたにも関わらず、4人のうち
<かたぎ>は2人、はんぶん。
残りの2人は<チンピラ>になってしまう。

少年院の耐え難い屈辱の日々が彼らをさらに
歪ませたのかもしれないけれど、
せっかく導く大人がいても、
人生の最後をあのような形でしか終れなかった二人が
とても寂しく哀しいと思う。

(無罪の報いかどうか、というのは置いておいて)
神父が法廷で、聖職でありながら
元少年たちを守るためにあえて「偽り」を口にした甲斐がない。
ISBN:439113019X 単行本 2004/11 ¥840

著:コンドウ アキ
(主婦と生活社)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

ブックレヴューに書くものなのかどうか
ちょい考えたくなるほど<キャラクター商品>。

最初から読んで(眺めて)もヨシ。
気分で好きな頁を開いて、占いのごとく
自分自身に問いかけてみてもヨシ。

このテで和める人なら
手元に置いて損なし・・?

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

可愛いし、なんたってだらりんがいい。
チャックのなかみがえらい気になる・・。
なにが入ってるのだ。

一昔前に「だれぱんだ」だっけか、
・・・が流行ったときはぜんぜんなんとも思わず。
むしろあまり好きじゃなかった。

リラックマがお店などで目に付くようになった
始めのころも、あんまり興味なかった。
単純な色、線、あと黒丸点だけの瞳。
ウツロにも見えたし、また媚びてるようにも。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

そのわりにゃ〜「クマ全般」好きなので
一度ツボにはまるとなかなか抜けない。
本買っちゃうくらいだしなあ。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

森チャックさんのクマはこわくて残酷でかわいい。
なんだろうね。いったい。

年明けに気に入ったのは温泉クマちゃん。
あれも真っ赤な口がミョーにこわい。笑顔。

クマキャラ・・・なんで好きなんだろ。
ヒグマやツキノワグマ、白クマなど
ホンモノは映像で見ると恐ろしいのになあ。
でも白クマの子供は可愛いかわいい。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

定番テディベアのクマがいちばん和む。

それとアーネスト・ハワード・シェパードさんの
プーの絵。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

正直なところ、キャラ好きすぎるのも
恥ずかしい気持ちはちょっとはある。
これもまた何でだろうと思う。

でも大人だろうが子供だろうが
いいんじゃないのかね、もうなんでも。
何が好きかは。

「好きなんだからしょうがない!」
といつも(自分に?)言い訳してる気がする。
ISBN:4336032335 単行本 1993/09 ¥1,835

著:岡本綺堂
編:種村季弘

国書刊行会

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

影を踏まれた女
魚妖
鰻に呪はれた男
猿の眼

黄い紙
火薬庫

蛔虫
停車場の少女

鎧櫃の血
置いてけ堀

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
岡本綺堂の幻想的な短編集。
『青蛙堂鬼談』『探偵夜話』『近代異妖編』などから。

怪異が現れても、謎は謎のまま
ひやり、とする触感だけ残してすっと終る。

ものすごい怖いわけでもないのに、何かぞぞぞ。

ありがちでご都合主義のシメもなく
つまんない駄洒落のようなオチもなく。

昔話を淡々と語るような。

収録されている「置いてけ堀」(『三浦老人昔話』)は
実際そうだし。他に半七親分の事件の話も書いているから
そんな語り口が多いのだろう。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

宮部みゆきの本所の不思議譚などは、もしかしたら
岡本綺堂や鏡花の影響を受けているのでは、と
よく思うのだが・・・。どうだろう。

あとコミック作家の波津彬子さんの幻想譚が好きな方にも
かなりお薦めします。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

日本幻想文学集成にしても、世界幻想文学大系や
鏡花コレクション、探偵クラブに文学の冒険、
黄金の夜明け魔法大系、異貌の19世紀、
ドイツ・ロマン派全集、バベルの図書館。
もういろいろ〜。

図書刊行会のシリーズにはホントマニア向け?が多い。
少数の愛好者向けとでもいうのか。
タイトルを観ていると端から読みたくなる。
すぐ絶版になってしまうんだろうなあ。既に?かな。
公共図書館で根気強く借りるしかないかしらん。
ISBN:4001145057 単行本(ソフトカバー) 2000/06 ¥840

『モンテ・クリスト伯(下)』
LE COMTE DE MONTE-CRISTO 1844-46

作:アレクサンドル・デュマ Alexandre Dumas
編訳:竹村 猛
岩波少年文庫505(岩波書店)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

ラストの巻です。中下と早かった〜。
展開もたたみかけるようです。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

社交界ではアンドレア・カヴァルカンチ(ベネデット)の
華やかな噂で持ちきり。ヴィルフォールとダングラール夫人の
間に生まれた彼は、異父妹にあたるウジェニーに接近する。

その経歴が偽のものだとは露知らず、欲深なダングラールは
『過去』を共有するモルセールとの縁組よりも
家柄も財産も魅力的なカヴァルカンチとの婚約を望む。

肘鉄をくらわされたモルセール伯爵に追い討ちをかけ、
新聞にあるスキャンダルが掲載される。それには1822〜3年頃、
ジャニナの太守の信頼を裏切ってトルコに引き渡した
<フェルナン>というフランス軍士官について書かれていた。

モルセール伯爵のことであるとは明記されていなくとも
疑念を抱いたアルベールは友人の新聞記者ボーシャンを
問い詰める・・・・。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

アンドレアがダングラール男爵の娘に近づくことも
またモンテ・クリスト伯の計算だったとしたら
ちょっと陰険な復讐だなあ、と思いました。
計画としてはその前にアンドレアの正体がばれることも
充分考えられますが、実妹をたぶらかそうとするとは。

この翻訳では、アンドレアは終わりのほうで
実の父親のことは知っていましたが、母親については
名前を知らない、と言っていました。

もっとも実妹と結婚する前に、ウジェニーは女友達と
手に手をとって家出、自分は犯罪者として捕まってしまいます。

この本のウジェニー、コスプレも厭わない同人少女みたいです。
まだ男の人との恋愛より、ゲイジュツに愛。
女友達とべったり。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

やがて再び新聞記事になりジャニナで非道を行ったのが
アルベールの父親と暴露され、裏で糸を引いていたのが
モンテ・クリスト伯だとわかってしまうアルベール。
釈明を求めても返ってくるのは冷たい言葉。
激昂した彼は手袋を彼に投げつけようとするが
友人たちが止める。しかし伯は決闘することを承認する。

伯の正体に気付いていたメルセデスが
息子の命乞いに伯爵のもとへ訪れる。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

ここで伯爵がかつての恋人メルセデスの母心に負け、
『殺さない』と言ってしまうがための苦悩もみどころ〜。
しかしこれで実際アルベールの命も助かったんでした。

伯爵、それでも復讐の仕上げは手を抜きません。
最後まで追い詰められる仇敵たち。

自分と息子のために次々と毒を使ってきたヴィルフォール夫人。
とうとう夫に裁きを下される。ここであまりにも悲劇的な破滅に
モンテ・クリスト伯も手を緩めるのか、それとも?

毒殺された(と思われた)ヴァランチーヌを思い切れず
絶望の淵を彷徨うマクシミリアン。伯爵に命を預けて
運命の日を待っていた。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

最後まで「次は?次どうなんの?」と思いながら一気読み。
冷酷だけど陰惨な殺戮をするわけではなく、
(結果死ぬようなことになっても)
モンテ・クリスト伯はただ<お膳立てしただけ>。
たいていは自分から罠にはまっていく。

牢獄の14年間はそれほどまでに苦しかったのかと
その執念、復讐心にも感心してしまう。

そこまで・・・と思うような破滅でも、仇敵になっている
人物たちが、あまり同情したくなるようなタイプに
描かれておらず。利己的、欲深で俗物な様子、むしろ
神の鉄槌を下されたように思わせているのではないか。

途中「神がつかわされた」みたいな表現(台詞)があるが
ちょっとだけイヤ。まぁ、モンテ「クリスト」だしなあ。
自業自得って人たちだし・・・。

巨万の富を手にした時点で、またチャンス得たのだから
もっと違う人生の楽しみ方もあったろうにと思っても
それじゃあ巌窟王の話にもなんにもなりゃしないのでした(笑)

せめてメルセデスが待ち続けていたらねー。
若い頃、フェルナンの求婚にたいして
『〜兵隊になったらあなたはわたしをどうしてくださるの。
財産もなく、あるものといったら朽ちかけたあばら屋ひとつの
あわれなみなしごのわたしを』
と返す場面があったので、待てなさそうだなあ、と思った。
出世して将来も困らなくなった求婚者の前で
死んだと聞かされている男を待ち続けるなんて。

それがどういう葛藤だったか、詳細は描かれないが
想像はつくだろう。
死んだ恋人を想い続けることばかりが美しさではないし
彼女は「裏切った」わけではなく、新しく人生をやり直して
息子にも豊かな生活にも恵まれた。
それを責められるだろうか。

死んだと聞かされるタイミングにもよるかなー。
牢屋に入って数年だったらちょっと早いのかなー。
巌窟王詳細年表でも作ろうかしら。

すっかりはまってしまいましたので、次回機会があれば
講談社の痛快シリーズや岩波文庫7分冊あたりを
ぜひ読んでみたいと思います。
ISBN:4001145049 単行本(ソフトカバー) 2000/06 ¥798

『モンテ・クリスト伯(中)』
LE COMTE DE MONTE-CRISTO 1844-46

作:アレクサンドル・デュマ Alexandre Dumas
編訳:竹村 猛
岩波少年文庫504(岩波書店)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

5月21日。エルデ街27番地、モルセール伯爵邸では
客人を迎える準備は出来ていた。

ローマで再会を約束したアルベールにモンテクリスト伯は
パリの社交界へ紹介されることを依頼していた。
アルベールはまず友人たちに彼を引き合わせる。

貴い奇人、モンテ・クリスト伯の噂の最中、かの人は
音もなく現れ、若者たちの視線を集めた。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

イタリアに一緒に旅行をしたフランツ。
彼は故デピネー将軍の息子で、ヴィルフォール検事の娘
ヴァランチーヌの婚約者である。

リュシアン・ドブレー、大臣秘書官。
ブロンド、色白で、落ち着いた灰色の瞳。
薄い冷ややかな唇をした背の高い青年。モノクルをつける。

ボーシャン、新聞記者。
『おそるべきペンの持ち主』

シャトー・ルノー、男爵。
頭から足の先まで寸分の隙のない青年貴族。

マクシミリヤン・モレル、アフリカ騎兵大尉。
鋭い目、額の広い、背の高い青年士官。
ルノーの友人で、かつてエドモン・ダンテスを
援ける為に奔走した船主モレルの息子。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

本の挿絵はとりあえず見ないことにして、
(ひげが!髪型が!とても青年に見えない・・・(笑))
今回はアニメーションとどのへんが違うのか
じっくり比べて楽しむことが出来ました。

フランツはほぼイメージ通り、
アルベールは原作を読んでまたアニメーションを
観返したら、何となく合致。

リュシアンは片眼鏡の秘書官、冷静沈着で
頭が切れる様子や、利益の為に女性を利用するあたり
見た目は堅い眼鏡君型のほうがいいな〜と思いましたが
アニメーションでは如何にも間男の雰囲気漂うデザインでした。
モレル大尉は実直そのものどっしり体型の体育会系でしたが
原作から受ける印象はもう少し繊細な気がしました。

この本だとダングラール男爵の娘ウジェニーは
アルベールと心を通わせるアニメーションのユージェニーと
違って、芸術にしか興味がなく、同じ芸術趣味の同性の友人と
いるほうが楽しいという素っ気無い娘になってました。

短縮版ですが、一度通して原作を読んだおかげで
またアニメーション版も面白く観ています。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

アルベールの両親に顔を合わせるモンテクリスト伯。
目の前にはかつての婚約者メルセデスと並んで
自分を陥れた男が富と偽りの名誉を手にしている。

アルベールの父親はモンテクリスト伯の正体には
まだ気付かず、朗らかに挨拶をして議会に出掛けていきますが
母親のメルセデスは何かを感じ取ったよう。
疑念を抱いたのか、早くも彼が誰かを悟ったのか。
場面ごとに登場人物の表情を活字から想像するのは面白い。

中巻では、アルベールの家族を始め、人脈を少しずつ広げ、
伯は次々と仇とその家族に近づき、罠を仕掛けていく。
また雇い入れた男の告白から、ヴィルフォール検事と
ダングラール男爵夫人の過去の情事と忌まわしい事件の詳細を知る。

この巻のラストではまるで劇場仕立ての如く
ある事実が明らかになり、悩んでいた恋人同士
(モレル大尉とヴァランチーヌ)が救われる場面は圧巻。
ISBN:4001145030 単行本(ソフトカバー) 2000/06 ¥798

『モンテ・クリスト伯(上)』
LE COMTE DE MONTE-CRISTO 1844-46

作:アレクサンドル・デュマ Alexandre Dumas
編訳:竹村 猛
岩波少年文庫503(岩波書店)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

美しい婚約者との結婚を目前に、時期船長と噂される
若きエドモン・ダンテスは無実の罪で捕らえられる。
政局が安定しないフランス、王党派とボナパルト党が
水面下で火花を散らしていた19世紀初頭のことである。

彼を密告で陥れたのは恋敵と、職場の同僚だった。
前途を約束されたまだ二十歳にも満たない青年を妬み
ダングラールはダンテスの婚約者に激しく恋心を募らせている
フェルナンという若者をそそのかした。

また捕縛されたダンテスに事件のあらましを尋ねた検事が
ヴィルフォールであったことが、彼の不幸を決定的にした。
ヴィルフォールの父はボナパルト党であり、
このたびダンテスが巻き添えになった事件に深く関わっていた。
自分と父親を守るために検事はダンテスを犠牲にしたのだ。

かくしてダンテスは洞窟の牢獄<イフの城砦>に10年以上も
閉じ込められることとなった。
絶望の中で出会った博識の司祭ファリアは、ダンテスに希望と
生きる力を与えたのだが、同時に事件を推理したことにより
図らずも復讐の炎を燃え立たせることになった。
ダンテスは司祭より多くの知識を教わり、
やがて師の死を迎えて後、脱走に成功する。
その心には復讐の誓いと、莫大な宝の在り処を抱いて・・。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

春まで放映していたアニメーションが綺麗だったため
原作を探していました。

子供の頃は図書館の児童書で『巌窟王』のタイトルでも
見かけました。モンテ・クリスト伯のことだったんですよね〜。
今頃になってそういえばそうだったと思い出すしまつ。

他の世界名作と同様、こちらもちゃんと読んだ事はなく
今回、大人買いすることになりました。
つーても新書三冊、短縮版です。
少年少女向けの本なら図書館に行けば借りられるのに
辛抱できずにすぐ買っちゃうあたり気が短いなあ、と思う。

でも思ったよりずっと面白くて上巻も一気読み。
週末にかけて中下と読むことができたらいいなあ。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

特殊なテクスチャーを使ったアニメーション
『巌窟王』ではアルベールがメインになっていましたが
こちらの新書訳で読む限り、アニメ作品のほうの青年とは
多少イメージが違いました。

本のなかの時代がかった細かい挿絵も、
それだけで見るぶんには興味深いと思いますが、今回の場合、
イメージが崩れるからヤメテ〜な絵柄でございました。

しかし、翻訳は読みやすいし、なんたって面白い。
ISBN:4061859404 文庫 1995/05 ¥680

著:石川 英輔
講談社文庫(講談社)


‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

部分的には正しいが・・・・
大小暦
和算
時刻と時計
からくり
富士塚
錦絵
銃と刀
天文学

錠と鍵
花火
朝顔
もう一つの合理性
対談 江戸の科学技術観を探る(中村桂子・石川英輔)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

モノクロの文庫本にこれだけ口絵を載せた編集サイドの
ご苦労がしのばれる(笑)

カラー/もう少し拡大した図で見られたら良かったのだが
カラー刷や写真図鑑をメインとしない文庫なのだから
仕方ないかもしれない。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

科学技術に頼った現代社会(書かれた1990年代はじめ)
を『累積による誤謬』とし、江戸時代日本人の先祖たちが
築いた文化、技術を振り返る必要を説く。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

著者は近代化に遅れた知識や技術について、
娯楽や趣味の域から発展しなかった技術について
すべて良しとしているわけではない。

だが、やみくもに西欧列強諸国を真似した上で
どんな国になってきたのか、つくづく考えさせられる。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

現代の便利な生活から、昔に戻れやしないとわかっていても
つい江戸の暮らしにうらやましさを感じさせるような
面白いものがいろいろ。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

歴史を遡り研究した本を読みながら
よく思うことは、どれが本当だったか、やっぱり
わからないのだな、ということ。

歴史上のことは全て残された史料に基づく推論でしかない。

残っている物質物品については、今現在正確に近いと言われる
「科学的な」方法を使って、当時のあらゆる資料と合わせて、
より真実に近づいた推定ができるだろう。

しかし、人の書いた文献を中心に頼りに推測したことは
たとえ定説であっても、その文献を最初に取り上げた人の
考えがまず上がるのだと思う。

『実際この目でみたわけでなし』って言葉は
歴史を研究する上で味気ないし言っても仕方ない。

だが、どれをその時代の「自分自身の定説」にするかは
毎回いろんな本によってぐらぐらする。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

書いてあることがこのあいだ読んだものと違う、
テレビの歴史ドキュメンタリーの説明と違う、
小説やドラマじゃない研究書や論文なのに
作者の推論、思い込み、フィクションなのだろうか・・・と
時たま思うことがある。

それは統計調査やアンケートなどでも思う。
統計学はやってないのでよくわからない。
国民これだけでこういう項目のアンケートなら
何千人調べればほぼこれくらいの精度の結果が出る、とか
よくわからない。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

自分で調べ物をするとき、困るだろうこと。

Aをやっていた人はこの時代たくさんいた。
調べたらそういう記述の文献が10も出てきた。

たくさんが100人のうちの10人か
1万人のうちの10人かわからなければ
その時代の「たくさん」はわからない。

Aは流行で、文章に残したくなる出来事かもしれない
文章に残すようなタイプの人がよくやることかもしれない
例えば地域が限られていて、今調べたら戦時中も焼け残った為
資料が他より残っていた・・・ってことはないのか。

何かを調べようと思ったら、ある程度仮説を立てて
それを証明するように追って行くほうが
絞ってできるから、まず推論があるのではないか。
推論に囚われるが故に、調べることは無意識に
立証できるようなものを選んでいないか。

とか何とか。

どうやって調べていってるんだろう・・・。

私の場合、溢れる資料の山に埋もれて、
何でもかんでも、まとめ切れないのだ。
ISBN:4480022724 1988/12 ¥756

著:阿部 謹也
ちくま文庫(筑摩書房)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

○第一部 笛吹き男伝説の成立

はじめに

第一章 笛吹き男伝説の原型

グリムのドイツ伝説集
鼠捕り男のモチーフの出現
最古の史料を求めて
失踪した日付、人数、場所

第二章 1284年6月26日の出来事(→原文漢数字)

さまざまな解釈をこえて
リューネブルク手書本の信憑性
ハーメルン市の成立事情
ハーメルン市内の散策
ゼデミューンデの戦とある伝説解釈
「都市の空気は自由にする」か
ハーメルンの住民たち
解放と自治の実情

第三章 植民者の希望と現実

東ドイツ植民者の心情
失踪を目撃したリューデ氏の母
植民請負人と集団結婚の背景
子供たちは何処へ行ったのか?
ヴァン理論の欠陥と魅力
ドバーディンの植民遭難説

第四章 経済繁栄の蔭で

中世都市の下層民
賤民=名誉をもたない者たち
寡婦と子供たちの受難
子供の十字軍・舞踏更新・練り歩き
四旬節とヨハネ祭
ヴォエラー説にみる<笛吹き男>

第五章 遍歴芸人たちの社会的地位

放浪者の中の遍歴楽師
差別する側の怯え
「名誉を回復した」楽師たち
漂泊の楽師たち

○第二部 笛吹き男伝説の変貌

第一章 笛吹き男伝説から鼠捕り男伝説へ

飢饉と疫病=不幸な記憶
『ツァイトロースの日記』
権威づけられる伝説
<笛吹き男>から<鼠捕り男>へ
類似した鼠捕り男の伝説
鼠虫害駆除対策
両伝説結合の条件と背景
伝説に振廻されたハーメルン市

第二章 近代的伝説研究の序章

伝説の普及と「研究」
ライプニッツと啓蒙思想
ローマン主義の解釈とその功罪

第三章 現代に生きる伝説の貌

シンボルとしての<笛吹き男>
伝説の中を生きる老学者
シュパヌートとヴァンの出会い

あとがき

解説 泉のような明晰 石牟礼道子

参考文献

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

私のうろ覚えでの笛吹き男伝説はこうだ。
大量の鼠に困ったハーメルンの大人たちが
奇妙な格好(扮装)をした笛吹きに退治を依頼した。
笛吹きが笛を吹くと男のもとにネズミたちが集まり
付き従う。男は水辺までネズミたちを引き寄せておいて
溺れさせ、見事に街からネズミを追い払う。
男は約束の代価を要求するが、街の大人たちは
そんなことは無かったように冷たくあしらう。
笛吹き男は報復に街の子供たちのほとんどを楽の音とともに
連れ出し、二度と戻ってこなかった・・・。

笛の音にふらふらと引き寄せられたのか
楽しくなってついて行ったのかどっちだろう。

私の昔から抱いていたイメージでは、
子供たちに慕われる大道芸人のような男なのだが
街の大人たちが約束を破ったことに「怒って」
その「報復として」子供を攫う、というちょっと
恐ろしげな豹変振りが不気味。

子供たちは辛く哀しい場所にいくんじゃなくて
わからずやの大人たちを置いて
楽しく明るい新天地に行ってしまい、いつまでも
幸せに暮らしましたというようなオチなら
遠い外国の昔話を、いつまでもこんな、シコリのように
後味の悪さを、覚えているもんだろうか・・?

ハーメルンといえば笛吹き男。
すぐこのイメージが浮かぶ。
(ブレーメンなら音楽隊だなぁ(笑))

伝説はどうして起こったのか。
なぜ<笛吹き男>なのか。

人攫い、事故や災害、疫病、戦争。
大量殺人、儀式の犠牲、人外のものの存在、
超自然の力、タイムトリップ、などなど。
様々な理由をこじつけることが出来るが
肉親と離れ、それが伝説になるほど街に遺るのは
他に何があるだろう。

同じような疑問をふと持つ人がいたら
ぜひこの本をお薦めしたいです。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

ネズミ捕りの話が後から付け加えられた(らしい)ことは知らなかった。考えられてきた原因のひとつに東ドイツへの移住があること、子供の十字軍のこと、教会の圧力や伝説の利用と普及など中世の歴史事情がたくさん。特に前半はまるで推理小説のようにわくわくしながら読んだ。

時の旅人

2005年3月27日 読了本
ISBN:4001145316 単行本(ソフトカバー) 2000/11 ¥882

『時の旅人』 A TRAVELLER IN TIME

著:アリソン・アトリー Alison Uttley
挿絵:フェイス・ジェイクス(1978年パフィン版による)

底本:A Traveller in Time(Faber and Faber,1965)

訳:松野 正子

岩波少年文庫531(岩波書店)

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

身体の弱いペネロピーは療養のため大おばの住む
サッカーズ農場を姉兄とともに訪れる。
古くより貴族に仕え、農場を守り続けてきた先祖のぬくもりが
ペネロピーを暖かく迎えてくれる。

以前からペネロピーには何かが「視えた」。
鏡の中に映し出される青白い顔をした「私」が
ふと違う女の子に見えるとき、ペネロピーは
不思議な想いに囚われていた。

大おばのティッシーはペネロピーがが「視えた」ことについて
誰にも言ってはいけないという。
昔一族にそんな人間がいたことをティッシーおばさんは
知っていたのだ。

あるときは屋敷の二階で、階段で
彼女は過去のひとびとの暮らしを垣間見る。
それはだんだんとはっきりしていき
やがてその中に溶け込んで行くように
ペネロピーは16世紀に迷い込む・・・。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

スコットランドの女王メアリ・スチュアートは
幽閉中何度か支持者によって脱走を試みたという。
女王を逃がす計画に加担し、絞首台に上った
と言われる貴族アンソニー・バビントンの荘園に
時を越えて現れた少女。

自分の置かれている状況をまだ飲み込めないペネロピーは
自分の先祖にあたる女性シスリーに会う事ができる。
ティッシーおばのような人のいい彼女は
屋敷の台所を一手に預かる女中頭のような存在である。
ペネロピーは16世紀で路頭に迷うことなく
ひとまず落ち着く先をみつけた。

16世紀の人たちにとってペネロピーは異質の存在だが
貴族のアンソニーや弟のフランシス、女主人たちにも
気に入られ、時を過ごしていく。

しかしその間も時折現代に戻り、また過去に彷徨うという
繰り返しがあった。不思議なことに過去の時間は進んでも
現代の時間は一秒も進んでいなかった。

やがてペネロピーはアンソニーたちの想いと同調しつつ
メアリ逃亡の計画に巻き込まれていく・・・。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

この本は中学生以上推奨らしい。
主人公がだいたい11〜14歳の間のお話とのことで
同じ位の年頃の女の子にぜひ読んで欲しいと思った。
というより、自分がその頃読んでみたかった(笑)

時駆けモノは古今東西年齢幅広く存在するが
これはかなり面白いし、前述したことはともかく
幅広い年齢層の人にお薦めしたい。

農場の自然や人の暮らしぶり、屋敷の内部、
料理、した働きから貴族まで服装や趣味・・・
こまごまとした描写が素晴らしい。
文章や単語から想像するだけでは実物には及ばないので
その時代の調度品や服を見てみたいなと思う。

またペネロピーの淡い恋心が少しずつわかるくらいの
控えめなエピソードがとても良い。
本人がなかなか自分の気持ちに気付かないあたり
思春期の女の子のイメージとして懐かしく思う。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

襟巻きトカゲのよーな立て衿と
ちょーちんブルマーな当時の貴族の男性の服装を
想像するとどうも崩れていくが・・・。
登場人物の青年少年も魅力的に描かれている。

「ロマンスもの」と冠をつけるほど俗ではなく
その手の場面はほのか〜に薫るとこがいいし。
ラストも良かった。と私は思う。

タイムスリップが前面に出たSFファンタジーでも
重厚な歴史ドラマでもなく。

子供たちに、若い人に読んで欲しいって想いから
丁寧に描かれた物語は、かえって大人心にも響くと思う。

あと上手な作家さんがコミックや
アニメーションにしてくれたらいいな〜と思いました。
ペネロピーが過去と現代を行き来するとき
「彷徨いこむ」様子は映像的にも面白いだろう。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

翻訳は読みやすかったが、よくある台詞回しのときの
「訛り」「語尾」、高貴な人の話し方は
イメージするの難しそうだと思った。

昔の日本のお姫様のイメージのように仰々しかったり
下働きのひとたちの訛りを「〜するだ」「〜けんど」とか
どこの方言が混ざってるのかまぜこぜ語尾にしたり。

英語など外国語の、地域による「訛り」を訳するとき
素朴な田舎のひとたちの話し方を工夫するのは
イメージを湧きやすくするために必要だとは思うのだが。
関西弁をはじめ、「〜じゃけん」「しとっと」なんて
台詞があったら違和感があるんだろうけど・・・。
関東北部や東北やらのコトバを田舎言葉に混ぜ込んで
適当に「すっぺ」「だっぺ」とやるのはやめれ。と思う。

他に代替案は?
・・・・無いかなあ・・・。

桜の文学史

2005年2月25日 読了本
『桜の文学史』
ISBN:402260641X
著:小川 和佑
朝日文庫(朝日新聞社) 1991/03 ¥479

目次

1 さくら讃歌=プロローグ

日本の春
≪桜の樹の下には屍体が埋まってゐる!≫
さまざまのさくら

2 古代のさくら=飛鳥・奈良時代

秋に咲くさくら―『日本書紀』のさくら
さくらの歌物語
「桜華」をめぐって
万葉のさくら
桜児説話
平城京のさくら

3 王朝絵巻のさくら=平安時代I

さくらの歌―平安京の春
憧れと郷愁の花
散りゆくさくら
さくらの物語―伊勢・源氏など
『古事談』と南殿のさくら

4 薄命に咲く=平安時代II

移りゆく時代に
武門のさくら
さくらと吉野信仰
薄明に咲く―桜町中納言と泰山府君―『平家物語』のさくら

5 さくら美の完成者たち=鎌倉時代

唯美者たちのさくら観
西行桜―シダレの可憐さ
さくらの唯美者
東国のさくら―実朝
定家・そのさくら観

6 さくらのドラマツルギー=室町時代

室町さくら文化前史
常照皇寺の御車返し―里桜花開く
『花筐』・甦る王朝のさくら
継体伝説と淡墨桜

7 聖から俗へ=桃山時代

広がるさくら美の波紋
『閑吟集』の風流
醍醐の花宴―さくら観の転換

8 新しいさくら文化の開花=江戸時代

生活文化のさくら
『江戸名所花暦』
さくら図鑑の流行
江戸のさくら流行―芭蕉のさくら
蕪村・一茶―天明のさくら
攘夷と「国華」―思想化するさくら

9 文明開化とさくら=明治時代

さくらが変わる―ソメイヨシノの出現
文明開化とさくら
明治の花見―ベルツの日記から
ハーンの『怪談』―不思議なさくらに因む物語
散る花といのち―さくら観を変えた思想
祇園のさくら―吉井勇の「祇園冊子」
新体詩人たちのさくら観

10 さくらの歌びとたち=大正時代

さくらの歌びとたち
白秋・空穂・迢空
朔太郎・犀星のさくら

11 昭和文学の桜譜=昭和時代I

死のさくら―梶井基次郎
咲き極まるさくら―三好達治・谷崎潤一郎
坂口安吾『桜の森の満開の下』―さくらの復権
石川淳の桜鬼―『修羅』中世の物語
現代詩のさくら

12 現代文学に咲く=昭和時代II

浪曼派のさくら―五味康祐のさくら
さくらの復興―水上勉『桜守』
宇野千代の『淡墨の桜』
惑いの花―渡辺淳一の『桜の樹の下で』
終章・中村真一郎のさくら愛―『雲のゆき来』『美神との戯れ』

日本各地のさくらの種類・名桜名所10選・日本のさくら一覧

あとがき

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

・古典から現代まで『文学』に観るさくら、さくら観。
 文学者たちの目に映るさくら。
 愛して語る、評する。

・毎年季節になると静かに流行る「さくら」をテーマにした
 今の歌を、著者はどう思うか訊いてみたい。

・著者が本居宣長のさくら観がキライなのはよくわかった。
  「彼は詩的想像を全くわかってない」
  「彼のさくら愛はきわめて視野の狭い強烈な自己愛の愛であった」
  「宣長の出現によって、従来のさくら観、
   あの生の輝きとしてのさくら、
   そして美しい女人の面影を誘った優しいさくら、
   また行く春の愁いをたたえた繊細な感性を育てたさくらは、
   『血潮のさくら』に覆われた」
  
・・・と、こうやって抜粋引用すると
これまた誤解を招くかもしれないが。

宣長の時代の章だけでなく、各章ところどころで
彼について酷評しているので実際に宣長が嫌い、なのか、
彼の思想やらさくら観がホントにイヤなんだろうな、と感じた。
あと、近代から戦中の「皇国史観のナショナリズム宣揚の花」
としての「国華さくら」が哀しくて仕方ないんだと思う。
これだけ桜、愛されてるんだなあ。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

作品中、語られている桜はどの桜か。
都市の桜、鄙の桜、故郷の桜。
いろいろな種類の桜のなまえ。
推理される様子も楽しい。

桜博士って呼びたくなるくらいたくさんの
桜が記述されているのに、実物カラー写真が無いのは
誠に惜しい。文庫版の他に、近年新書から同タイトルで
改めて(?)刊行されているようだが、そちらでは
写真なども載っているのだろうか。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

私は桜、大好きなので、最初からとても興味深く楽しく読めた。
好きなものは熱く語るべし。
それが例えちょっと極論だったり偏ってたりしても
その情熱で読ませるときもある。

ただ最後の章(12)の現代小説に関しては、
著者の趣味全開なので、ところどころしか共感しない。

桜と恋、桜と女人、桜とエロスは確かに魅力的で
美しい画や映像を連想させる。
美しい女人の面影・・なるほど・・(?)

谷崎はともかく渡辺作品で『王朝文化の伝統が、ようやく
本流に戻ったといえる』と断言しているのを読んで
そりゃ、センセイの趣味好みに合うからやろと
ツッコミ入れさせていただきたいと思う。

朝霧

2005年1月30日 読了本
ISBN:4488413056
著:北村 薫
創元推理文庫(東京創元社) 2004/04/09 ¥588

「円紫師匠と私」シリーズ第5作目。

・山眠る
・走り来るもの
・朝霧  

3篇収録。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

大学を卒業して出版社の編集の仕事についている「私」。
日常のなかで感じ、考え、人との話しや触れ合いで
またゆっくり思考を巡らせるヒロイン。

先輩の結婚式場でひとりの来客に
見覚えがあること、そしてどこで会ったのか
そのひとをなぜ覚えていたか、再会した理由・・・が
ほどかれる様子に、小さなロマンスの始まりを見る。

お話は、最初は俳句。
次のはなしは究極の(?)二択を迫るリドル・ストーリー、
次は落語の忠臣蔵・・・が
物語の支えている。
いつもながら著者の博識ぶりには驚く。

ただ、今回は物語をじっくり味わう為に
それぞれの知識なくしては
全部を楽しむことはできないのではないか、と
思わせる。それが残念。

それぞれにかなり深い知識のある人、と書くと
何やら曖昧な言い方になるが・・・
知っている人なら(もっと)楽しめるのに、という
つまりは寂しさがあるのかも。

登場人物の会話に借りて、著者の好きなもの
感じ入ったコトについてのエッセイを読んでいるような気分。
それらはちょっと、読者をほったらかしにすると思う。

余談を語りすぎて物語からどんどん離れていく
某作家の歴史小説のように、
なんか、えんえんと語られる教授の話を
わかんないけど一生懸命頷いて聞いてる生徒のような感じ。

途中、ちょっと飽きたり眠くなったり。
自分が不勉強なのがつくづくわかって
なんだか拗ねたくなる。

でも、また顔を上げさせる展開は各所にあり、
読んだ後に、ほのかに残る余韻もまた
このシリーズならではなのかも・・。
「英国流立身出世と教育」

ISBN:400430234X 新書
著:小池 滋
岩波新書(岩波書店) 1992/06 ¥561

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

『身をたて名をあげ、やよはげめよ』
かつての日本だけでなく、<立身出世>を夢見て
教育に力を入れる親、そして勉学にいそしむ子供たちは
イギリスでも同様にたくさんいた。

社会階級によって厳然たる差別(区別)がある英国。
産業革命によって近代化がすすむイギリスにおいても
垣根を越えるには、人より優れたる学力能力を要した。

有名なディケンズ、ブロンテ姉妹などの作品を引用して
当時の教育とその裏側をわかりやすく説明してくれた。

ただ、作者の本当に言いたいことは
英国の教育史の側面について暴くことだけではない。
日本人はどうなのか、最後に厳しく問いかけてくる。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

ガヴァネスという単語をちゃんと意味とともに
知ったのは森薫氏の『エマ』だと思う。
それまで聴いていたとしても意識しなかった。

その後、船戸明里氏の『アンダーザローズ』を
オンラインコミックで読んだ。

なので、この新書はこのニ作品に影響されて選んだもの。
特に後者作品のメインキャラである眼鏡の似合う女性の設定は
本書『英国流〜』に描いてある女性の境遇と同じだ。

上流階級や「身分のきちんとした」女性が稼ぐこと、
働くことへの否定。だが生きていくためのお金は
空から降ってくるわけではない。
豊かで身元のしっかりした夫の庇護を受けなければ、
独身のまま自活するのも困難だった牧師の娘の立場。
下層の労働者階級ならば、お針子でもなんでもして
金銭を得ることもできるのに、それができない面子。

『アンダーザローズ』の副読本としてもかなりお薦め。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

新書ゆえに文字数ページ数から、話したいこと綴りたいこと
すべてを書くのは控えよう、という著者の「ことわりがき」が
何度も出てくるのだが、その代わりに、他の参考文献を
何冊も紹介してくれるので、資料探しにも役立つ。
今までも「新書」を読んできて、こういう本は、
そういう役割もあるのかなあ、と思った。

それと、作者が好きな分野を楽しんで(?)書いているのが
伝わってくるような文章だったので、読んでいて引き込まれた。

芥川龍之介

2005年1月15日 読了本
ISBN:4004304148
著: 関口 安義
岩波書店(岩波新書) 2003/05/20 ¥777

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

1月3日読了。
実家の膨大な書物のなかから見つけて、一晩で読んだ。

芥川の「人物」を探すのに適していると思った。
彼の評伝としては今まで読んだなかで一番面白かった。
作品論がメインではなく、彼の生涯を追っている。
引用された作品はなじみのあるものが多く、
芥川研究の入り口に立った人たちの
これからの道案内にもなるだろう。

そのうち手元に置く為に改めて買おうかな、と
思わせる本でした。
なーんかどうでもよくなってきたぞ。
何が、というと台所作業である。
もーなんか、きちんと食生活したくても
こう毎晩遅くちゃ。

春から7月いっぱいまではほぼ毎日書いてた
「食べたものとカロリー、だいたいの摂取量」メモ。
8月から日付のみで真っ白。

トータル6キロ減った体重も、3キロ戻る。
やせにくい身体になれたかな?てへ♪(怒)

ダイエット日記を、ネットで始めることにした。
背骨、きしんでるのでやっぱり減らさないと。

表計算ソフトが使えれば、自分専用で
誰にも観られなくて済むダイエットカレンダーが
できるだろうに・・・。
食品カロリーだけなら調べればそこそこわかるんだから。

なんか公開って、ヘタなもん食べられないっつか(笑)
晩飯の残りおかずばっかとか。
残りの味噌汁にうどん入れたり。
納豆とごまだけとか・・・わー。めんどくさがり!

ヤ、別にそんなのばっか食べてるわけじゃなけど・・。

一人ぶん作るのって手間かかるからイヤなんだ。
でもこのごろは野菜とらなきゃ。と思って
サラダてんこ盛りはよく作るようになった。

食生活の改善になるかしらね〜。
でも祖食事や間食ばっかり入力するのが恥ずかしくなれば
妙なトコで見栄っ張りな私にはぴったりの食事制限かも。

公開日記って、この自意識過剰を楽しむものなのかね?
恥ずかしいよね。誰も観ちゃいねえ!と思っても。
それに、誰も私だって知らなくても。

家計簿もきちんと記入しているうちは財布のヒモは
そうそう緩まない。まとめてレシート写す頃には
もうすっからかんです。

食事制限も、意識して毎日、記入してくことが
かなりセーブする動力になった。
また、始めないと。
秋は〜なんでも美味しいんだよね・・・。
って言うよね。

味覚の秋って。

でも食いしん坊ゆえに、春夏秋冬いつでも
美味しいものは美味しいのだ。

あと〜また人生何度目かの禁煙継続中。
今回はかなり長いこといきそう。
あまり吸いたくならないのだ。
なんか。胃が弱ってるらしい(笑)
なんだよそれ。
すっかり空いてしまいました。
なんか本も読まず日記も書かず
ずっと幻水してたみたいじゃんね!
・・・そんなことないのよ〜。
いろいろ日常雑事重なってましたです。
活字、ホント読んでません。

美術展はあれから2回行きました。
どちらも童話作家の原画展です。

さてここから幻水ネタばれです。
発売後しばらくたったので
このまま書きます。


一周目クリア。
ということは二周目があるってことで。
なんか今回はアイテムなど引き継がれるから
もう一度やってみましょう、というメーカーの考えありき。

最初から108人集めずにはいられないので
集めちゃいましたが、また「想像してみてね」な終り方でした。

そういうの多いよ。なんでもかんでも。
っていうより、脚本や物語をきちんと最後まで
決着付けられる人が少ないんじゃ・・・。

今回は物語部分に物足りなさを感じました。
108人を集めること、だけがメインみたいでした。

全体の雰囲気は初期のシリーズに戻ったみたいな気がして
けっこう懐かしいような。
カンチガイかもしれないけど「ああ、幻水だなあ」って。
でも、今まで(のシリーズ)は、好みも分かれるし
賛否両論あれど、物語は読み応えあったような気がします。

今回はせっかく出した登場人物も使い切れてないし
何のために序盤派手に登場したんだか、勿体無い。

でもキャラクターそれぞれ、何人か味のある人がいて
使い込んだり育てたりすればするほど
愛着が湧いてくるのは、私の場合はいつもと同じでした。
もうちょっと本拠地での仲間との交流があってもよかったな。
本拠地レベルが変化してもあんまり会話が変わらないし。

レベル上げやアイテム集めは楽しく出来ます。
が、せっかく航海していても
巡る島や街がいまいち少なく狭く、
ダンジョンもつまらなかった。

一番つまんなかったのはモンスターかなあ。
おんなじ敵(たとえば鳥や昆虫タイプなど)を
色と強さなどを変えただけで何度も登場させてて
全体的にいっつも同じような敵と闘ってる感じ。
同型のモンスターを使いまわすのは仕方ないけど
やりすぎです。

エイとカニとむささびとトカゲ、あと
ハエと蜂の混ざったような虫と闘ってばっか(笑)。
そんな印象が残ってしまうほど。
(もっと何種類かいたんですが・・・)
もうちょっと考えて欲しかったなあ。
海で水なんだから、ケモノや虫、魚介類だけじゃなくて
もっとなんか・・・なかったの。

いつものことながら協力攻撃も楽しいし、
レベルアップして名前が変化すると武器グラも変えるくらい
小さなとこは凝ってるのに、倒す相手があんなじゃ
せっかくの戦闘もやりがいがないです。

本拠地で、レベル上げするために訓練所がありました。
経験値のみ獲得で(お金=ポッチなし)、仲間同士で戦闘。
5連続戦闘で徐々に相手が強くなっていくので
なかなか楽しめました。
それもこちらのレベルが上がってくると簡単になっちゃう。
戦闘要員全員のレベルを上げてったらもっと手強くなるのかな?

物語はこの際置いておいたとして。
単純にゲームとしての楽しみを
仲間集めとアイテム探しに集中させて
データを引き継がせて2周目もどうぞ?と言うのなら、
ダンジョンとモンスターはもっと充実させるべきだったと思います。

幻水シリーズファンなら楽しめる部分もたくさんあると
思いますが、いきなりこの作品からプレイするなら
値段と見合う満足感が得られないかもしれません。

・・・とは言うものの。

ホントに最近、薄め〜なソフトしかやってないなあ。
楽しめる時間が短いです。

ヴォリュームを増やしてやり込み派も大満足の盛りだくさんに
なると、かえって途中で止めちゃう人が多いのかなあ。
時間のなかなか取れない人も、サクサクできるようにしてるのかな・・?

・・・あとは二次的な楽しみで補填することにします。
Video Game コナミ 2004/08/19

幻想水滸伝IVの予約開始の情報を知ってから
ずいぶん早いうちに某米国大手玩具チェーンのオンライン販売で
設定資料やら何やらついてるやつを予約。
発売は明日ですが、今日届きました。
設定資料集は108星のキャラクター絵が載っているので
開封前に箱に「ねたばれしてます」って書いてあった。
資料集、あんまりじっくり観ちゃうと後の楽しみに響くので
パラパラっとだけめくる。はめ込みの複製画もついてて
なかなか凝ってます。

もうひとつのキーホルダーは電池つき。
へ?なんで電池?
硝子なので、トップから明かりをつけると光るらしい。
いや〜・・・。なんつーか。実際に使えないけど
とっても綺麗なオマケです。

通常予約特典のストラップは、ついてる封印球が
けっこう大きくて、電話につけたら邪魔だよ(笑)
こっちはかなりちゃらい感じです。
シリーズファンには楽しいと思います。
私はルック好きなので「風の紋章」。
もらったところで使えないのですが、仕舞い込んでおくのね。

さて、早速OP観ようと開封。

----------------この先ネタバレと感想
内容や物語に触れています。
反転などしていません。





















----------------ここから


メーカータイトルの後、すぐ始まったムービーは
デモ?ちゃんとしたOP?
ええと。メインテーマがあるのでいつものOPなんだろう。
かなりまったり、いつものスピード感や高揚感、
壮大な(?)雰囲気はなく、
3Dのキャラの会話や物語の一場面を加工した画面で綴る。

キャラ絵や風景、アニメーションを駆使した
今までのシリーズと異なり、ちょっと肩スカシな。
うーんと正直ちょっとがっかり(笑)
幻水シリーズはOP観るだけでも気持ちよかったのに。

そして、しょっぱなから海戦。
戦闘、一騎うちと続き、スノウが
システムの説明を丁寧にしてくれる。
そのため、簡単に終りました。
一騎うちは勝てなかったわー。(→事前セーブ可能)
上手にやれば勝てるのかも。
やり直すの面倒なのでそのまま進む。

物語イベントは船が港に着いてから
卒業訓示、火入れの儀式と続いてお祭りに。
訓示の前に主人公の部屋に立ち寄れるのですが
その際、建物の中を散策したら
「ふるいほん○巻」を見つけました。
おお。またしてもこの本集めがあるのね♪
訓示の後は建物に入れなくなってセーブできなかったので
そのまま街に入って儀式とお祭りに。

街の入り口にセーブポイント有り。
お店は並んでいるけれど、入れないようです。
祭りになって街の人と話すと、裏通りは危ない旨
教えてくれるので、ちょっと足を運んでみると
案の定エンカウントバトル。
<じゃじゃ馬>?とかいう人間型単体の敵が現れました。
スノウと二人パーティのままなので大丈夫でした。
もっと奥に入り込めば強い敵とでくわすかも・・・と
思って宿のほうに戻りましたが、やっぱり建物の中に入れない。

街入り口のセーブポイントに戻ってみようと
来た道を戻ると、海沿いに猫キャラがいて
女の子が誘拐されたとか何とか教えてくれました。
これからまたイベントが始まるみたい。
裏通りはやっぱり避けて通れないのねー。
また始めると長くなるので、今日はこの辺でセーブ中断。

船の上で仲間たちと会話するとき、
主人公が近づいていって、画面にも
話しかける相手のキャラたちと主人公しか出てないのに
応えるのは全部スノウなんですね。
最初あれ?と思ってたけど、パーティ組んでるからなのね。
でも立体でこれやられるとすごい不自然ですね。
物語イベントのときはスノウもちゃんと姿が見えるけど
普段の会話のときは仕方ないのかなあ。

今度はイベントごとに声が出るんですねぇ〜!
これはちょっと驚きです。
主人公の声も、男性か女性の役者さんの声か
OFFか、みっつから選択可能。
最初は男性の声にしてみました。
でも戦闘時の掛け声だけで、喋らない主人公に
なってるのかな。

スノウはアップになるとそれなりに目元優しく
美形タイプのキャラクターですが、
主人公のビジュアルが・・・・
パッケージや設定だと美少年なのに、
立体だとどうもなんか
目玉ぐりぐりで可愛くないねー(笑)
3Dの場合、目と目の間が狭すぎるのかしら。
目元と眉かなあ?

OPも3Dキャラも、見慣れていくうちに
変わっていくと思うけど
最初の感想はこんな感じ。

序盤慣れるまではしっくりこないのが当たり前なので
しばらくは辛抱しつつ物語を追っていこうと思います。
それに仲間集めやアイテム集め(宝箱はじめいろいろ)あるし
近日発売されるだろうゲーム雑誌の攻略特集を
待ちたいと思います。

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