妻たちの二・二六事件
2007年2月19日 読了本
『妻たちの二・二六事件』
ISBN:4122001854 1975/01 ¥660
著:澤地 久枝
中公文庫 (中央公論新社)
二・二六事件で処刑された青年将校たちの妻は
事件当時まだほとんど二十代半ば。
のこされた若い妻たちがたどった昭和史。
加担した将校たちの事件前後の様子、
夫婦の馴れ初めから家族に宛てた遺書まで。
それぞれの女性、遺族や関係者に会って取材した結果を
優れた構成力や文章力で丁寧に綴ったノンフィクション。
未亡人たちの悲劇をなぞっただけの作品ではなく
女性たちから視た「事件」と「其の後」を書くことで
表題の通り、二・二六事件そのものが浮かび上がる
仕組みになっています。
==================================================
結婚してまもなく事件が起きて、
夫が叛乱に加担していることを知った女性もいる。
そういう思想を持ち活動していたことを
元々知っていたり、薄々感づいていた女性もいる。
数ヶ月もないような新婚生活と、
後何十年という日々を「のこされた家族」として
過ごさねばならなかった人。
何事かを為そうというとき、己を犠牲にしても
成し遂げようとすることがあって、
万が一身の危険があるかもしれないのに
直前にヨメをもらう若者の気持ちに、率直に
「どうして?」と問い掛けたい気持ちが表れる。
子供を遺したい、伝えたいという気持ちや
何事かの前に愛する家族を持ちたいと思うか。
これほど厳しい結果になると予想していなかったのか。
迷った末に、自分たちの「信念」を選択して
家族を斬り捨てるときの苦しさと
念願叶わなかったときの後悔の気持ちは
のこされた手紙にも見えてきます。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
それから、人の生きかたそれぞれのこととか。
過去を振り切って新しくやり直すこと。
過去を抱きしめて生き続けること。
どちらが良いか悪いかなどではなくて。
(読了07-0208)
ISBN:4122001854 1975/01 ¥660
著:澤地 久枝
中公文庫 (中央公論新社)
二・二六事件で処刑された青年将校たちの妻は
事件当時まだほとんど二十代半ば。
のこされた若い妻たちがたどった昭和史。
加担した将校たちの事件前後の様子、
夫婦の馴れ初めから家族に宛てた遺書まで。
それぞれの女性、遺族や関係者に会って取材した結果を
優れた構成力や文章力で丁寧に綴ったノンフィクション。
未亡人たちの悲劇をなぞっただけの作品ではなく
女性たちから視た「事件」と「其の後」を書くことで
表題の通り、二・二六事件そのものが浮かび上がる
仕組みになっています。
==================================================
結婚してまもなく事件が起きて、
夫が叛乱に加担していることを知った女性もいる。
そういう思想を持ち活動していたことを
元々知っていたり、薄々感づいていた女性もいる。
数ヶ月もないような新婚生活と、
後何十年という日々を「のこされた家族」として
過ごさねばならなかった人。
何事かを為そうというとき、己を犠牲にしても
成し遂げようとすることがあって、
万が一身の危険があるかもしれないのに
直前にヨメをもらう若者の気持ちに、率直に
「どうして?」と問い掛けたい気持ちが表れる。
子供を遺したい、伝えたいという気持ちや
何事かの前に愛する家族を持ちたいと思うか。
これほど厳しい結果になると予想していなかったのか。
迷った末に、自分たちの「信念」を選択して
家族を斬り捨てるときの苦しさと
念願叶わなかったときの後悔の気持ちは
のこされた手紙にも見えてきます。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
それから、人の生きかたそれぞれのこととか。
過去を振り切って新しくやり直すこと。
過去を抱きしめて生き続けること。
どちらが良いか悪いかなどではなくて。
(読了07-0208)
二・二六事件―「昭和維新」の思想と行動
2007年2月1日 読了本
『二・二六事件―「昭和維新」の思想と行動』
増補改版
著:高橋 正衛 <たかはし まさえ>
中公新書 (中央公論新社) ¥819
1965-08-25初版発行
1994-02-25増補改版初版
2004-05-20増補改版9版
ISBN:4121900766
==================================================
<目次>
まえがき
序章―宇田川町の慰霊像
I 新聞記事にみるニ・二六事件
「事件の真相の説明を……」/当局発表による経過/
市民はなにを感じたか/河合栄治郎の批判
II 二月二十六日朝まで
「蹶起趣意書」と「要望事項」/蹶起への準備/
自重派の動き/二十六日まで発覚しなかった事情/
襲撃・叛乱/叛乱直後の情況/真崎大将官邸に現わる
III 事件の収拾経過
「大臣告示」をめぐる疑惑/軍事参議官会議/
大臣告示/大臣告示の伝達過程/戒厳司令部の方針と
海軍の態度/軍事参議官の行動/帝国ホテルの会談/
東京市内戒厳令下に入る/奉勅命令/
二十九日の戦闘指導方針/帰順か・抵抗か/
最後の日・二十九日
IV ニ・ニ六事件にいたる諸事件
十月事件の効果/三月事件/満州事変と十月事件/
十月事件と青年将校/五・一五事件/十月事件以後/
救国埼玉挺身隊事件/十一月二十日事件/教育総監
更迭問題/相沢事件
V 軍部内の対立と抗争
現人神/統帥権の独走/国防国策と幕僚/昭和軍閥/
バーデンバーデンの会合/無名会/一夕会/戦闘集団
と隊附将校/北一輝・西田税
VI 彼らをつき動かしたもの―昭和維新
軍と天皇機関説/昭和維新/大権私議/
「逆賊ではない」
VII 特設軍法会議
裁判の開始/特設軍法会議設置される/審理経過/
吉田裁判長の書簡/軍首脳の責任と青年将校
VIII 処刑
塚本刑務所長の手記/最後の言葉
結び
註
参考文献
増補版追記 命令・絶対服従
関係文献/命令の根源/奉勅命令/命令に従って
/皇軍相撃/真崎甚三郎
終りに
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
この本では多くの資料によって事件の経過を丹念に追い、
青年たちが為そうとした「昭和維新」とは何か探っていく。
(01-16読了)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ニ・ニ六事件>>
昭和十一年(1936)二月二十六日、青年将校たちによる
クーデター。早朝から首相官邸、要人の私邸、警視庁、
マスコミ各社を襲撃。
総理大臣の身代わりとして松尾伝蔵大佐(予陸)、
内大臣子爵・斉藤実氏、大蔵大臣・高橋是清氏、
教育総監陸軍大将・渡辺錠太郎氏が殺害される。
また要人警備に当たっていた警察官も殉職した。
事件から東京市は戒厳令下に置かれた。
叛乱軍は原隊に復帰せよという奉勅が下り
救国の英雄を目指してきた青年たちは逆賊となった。
クーデターは関わった青年将校及び民間人の処刑により
幕を下ろしたが、公平さを欠き密室で行われた
不透明な審理は暗黒裁判と呼ばれた。
==================================================
現代史は、カリキュラムが消化できず、
中学高校と歴史教師が踏み込まない時代であって、
受験のために通り一遍流したに過ぎなかった。
大人になって考えるに、あれは間に合わなかった
のではなく、わざと遅らせて、詳細を教えずに
済むようにしたのではないかと勘繰りたくもなる。
子供の頃、戦前から戦中の歴史を語るとき
当時を少しでも知る大人たちは、戦争の影を憂い、
身近な苦労は語っても詳しい日本の情況について
教えることはあまりなかったです。
子供の頃から自分とは切り離せない数字であり
問われて答える数の三文字にいつも引っ掛かって
いました。全然自分と関係ないんだけど、
ニィニィロクと言葉に出すときに必ずついてまわる
イメージがありました。
歴史は大好きなのに、風俗や文化面をのぞいて
昭和史にはほとんど興味がもてませんでした。
公の図書館や学校図書室で明治以降、昭和までの
写真を集めた資料は、よく眺めてました。
日本が置かれた情況としてきたこと、されたことに
ついて、何が事実なのか実際わからない、
偏った論調の本を目にすることはありました。
憤りと悲しさが浮かぶばかりで、それ以上
踏み込みたいとは思えませんでした。
詳細を調べることが億劫だったのは、暗い歴史を
調べることに長らく躊躇いがあったからです。
これを機会に深く調べようと思っているわけでは
ないです。ただ、この日何があったのかくらい、
長い時間かかってもいいから、少しずつ
目を向けてみようと思いました。
増補改版
著:高橋 正衛 <たかはし まさえ>
中公新書 (中央公論新社) ¥819
1965-08-25初版発行
1994-02-25増補改版初版
2004-05-20増補改版9版
ISBN:4121900766
==================================================
<目次>
まえがき
序章―宇田川町の慰霊像
I 新聞記事にみるニ・二六事件
「事件の真相の説明を……」/当局発表による経過/
市民はなにを感じたか/河合栄治郎の批判
II 二月二十六日朝まで
「蹶起趣意書」と「要望事項」/蹶起への準備/
自重派の動き/二十六日まで発覚しなかった事情/
襲撃・叛乱/叛乱直後の情況/真崎大将官邸に現わる
III 事件の収拾経過
「大臣告示」をめぐる疑惑/軍事参議官会議/
大臣告示/大臣告示の伝達過程/戒厳司令部の方針と
海軍の態度/軍事参議官の行動/帝国ホテルの会談/
東京市内戒厳令下に入る/奉勅命令/
二十九日の戦闘指導方針/帰順か・抵抗か/
最後の日・二十九日
IV ニ・ニ六事件にいたる諸事件
十月事件の効果/三月事件/満州事変と十月事件/
十月事件と青年将校/五・一五事件/十月事件以後/
救国埼玉挺身隊事件/十一月二十日事件/教育総監
更迭問題/相沢事件
V 軍部内の対立と抗争
現人神/統帥権の独走/国防国策と幕僚/昭和軍閥/
バーデンバーデンの会合/無名会/一夕会/戦闘集団
と隊附将校/北一輝・西田税
VI 彼らをつき動かしたもの―昭和維新
軍と天皇機関説/昭和維新/大権私議/
「逆賊ではない」
VII 特設軍法会議
裁判の開始/特設軍法会議設置される/審理経過/
吉田裁判長の書簡/軍首脳の責任と青年将校
VIII 処刑
塚本刑務所長の手記/最後の言葉
結び
註
参考文献
増補版追記 命令・絶対服従
関係文献/命令の根源/奉勅命令/命令に従って
/皇軍相撃/真崎甚三郎
終りに
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
この本では多くの資料によって事件の経過を丹念に追い、
青年たちが為そうとした「昭和維新」とは何か探っていく。
(01-16読了)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ニ・ニ六事件>>
昭和十一年(1936)二月二十六日、青年将校たちによる
クーデター。早朝から首相官邸、要人の私邸、警視庁、
マスコミ各社を襲撃。
総理大臣の身代わりとして松尾伝蔵大佐(予陸)、
内大臣子爵・斉藤実氏、大蔵大臣・高橋是清氏、
教育総監陸軍大将・渡辺錠太郎氏が殺害される。
また要人警備に当たっていた警察官も殉職した。
事件から東京市は戒厳令下に置かれた。
叛乱軍は原隊に復帰せよという奉勅が下り
救国の英雄を目指してきた青年たちは逆賊となった。
クーデターは関わった青年将校及び民間人の処刑により
幕を下ろしたが、公平さを欠き密室で行われた
不透明な審理は暗黒裁判と呼ばれた。
==================================================
現代史は、カリキュラムが消化できず、
中学高校と歴史教師が踏み込まない時代であって、
受験のために通り一遍流したに過ぎなかった。
大人になって考えるに、あれは間に合わなかった
のではなく、わざと遅らせて、詳細を教えずに
済むようにしたのではないかと勘繰りたくもなる。
子供の頃、戦前から戦中の歴史を語るとき
当時を少しでも知る大人たちは、戦争の影を憂い、
身近な苦労は語っても詳しい日本の情況について
教えることはあまりなかったです。
子供の頃から自分とは切り離せない数字であり
問われて答える数の三文字にいつも引っ掛かって
いました。全然自分と関係ないんだけど、
ニィニィロクと言葉に出すときに必ずついてまわる
イメージがありました。
歴史は大好きなのに、風俗や文化面をのぞいて
昭和史にはほとんど興味がもてませんでした。
公の図書館や学校図書室で明治以降、昭和までの
写真を集めた資料は、よく眺めてました。
日本が置かれた情況としてきたこと、されたことに
ついて、何が事実なのか実際わからない、
偏った論調の本を目にすることはありました。
憤りと悲しさが浮かぶばかりで、それ以上
踏み込みたいとは思えませんでした。
詳細を調べることが億劫だったのは、暗い歴史を
調べることに長らく躊躇いがあったからです。
これを機会に深く調べようと思っているわけでは
ないです。ただ、この日何があったのかくらい、
長い時間かかってもいいから、少しずつ
目を向けてみようと思いました。
ブッダは、なぜ子を捨てたか
2006年11月18日 読了本
ISBN:4087203514 ¥714
著:山折哲雄
集英社新書(集英社)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
プロローグ
第一章 ブッダは、なぜ家を出たのか
「家出」にはじまる/理想の人生/誕生した子、ラーフラを捨てて/ラーフラ、出生の秘密/シッダールタ、決断の理由/「四門出遊」という美しい物語/六年間胎内にいたという伝説/聖なる子か不義の子か/「林住期」という自由な時間/シャカの六年間の苦行とは/家出がもたらした子捨て親捨て
第二章 ブッダは、なぜ子を捨てたか
シャカも、捨て子同然であった/親を失った子どもに未来はあるか/母の喪失と、独り覚者であるという宣言/十三年目に生まれた子ども/わが子に悪魔の名をつけた/太陽や月を呑み込む悪魔ラーフ/愛欲の果実/二度捨てられた子/身勝手な動機/捨てられた子の思い/ガンディーもまた、子を捨てた/血縁を断つことの見返り/ブッダとガンディーの違い/仏弟子になったラーフラ/選ばれた十大弟子/十人十色の後継者/二人の特別な弟子/ブッダの子という難しいポジション/ブッダに侍した二十五年/捨てられた子は父を憎み、怨んだのか/最後の旅/聞くアーナンダ、見つめるブッダ/ブッダの遺志
第三章 ブッダの思想の真髄とは、どのようなものであったか
わが骨にかかずらうな/アーナンダの裏切り/自己を捨てる/乾いた大地に行脚して/一千年という時を経て/形あるものは滅びる/モンスーン・アジアの東西で/欲望からの解放/「色即是空」/父王を殺した王舎城の悲劇/悪人の救済/聖と俗のはざまで/ヴァーチャル人間から真実人間へ/脱人間的存在となったブッダ/インドでの仏教の衰退
第四章 ブッダの教えは、日本へどのように広まったか
アジアの周辺の国々へ/旅をする僧たち/十大弟子に宗派をなぞらえてみる/浄土教の広がり/禅と説法の宗派/心の浄化がもたらす無私の境地/どこよりも大きな地殻変動−先祖崇拝/日本で生まれた大乗仏教の形/カミとホトケの習合/日本における仏教パンテオン/姿をあらわしたカミ、隠されたホトケ/死んでホトケになる/遺骨信仰へと変化/葬式の形/ブッダの言葉を文字化した経典/「般若心経」に盛られたエッセンス/日本で仏教を生きつづけさせたもの/ブッダの苦しみの体験は引きつがれたか
第五章 ブッダは今、どこにいるのか
ブッダの姿をさがして/今なら死ねるか/西行と親鸞/風化する命を見つめて/獣の皮をまとった「聖」/皮上人のイメージのかなたに/現代にブッダをさがす/平和を祈念する仏舎利塔建立/日本にもブッダがいた/仏教発祥の地での重い課題/仏教に集団改宗したヒンドゥー教/改革者アンベードカルの後に/われわれは今、林住期の中で
あとがき
引用文献
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
目次を追っていたらこんだけありました。
タイトルが多少センセーショナルなのだなと思いました。
今の時代に売るために多少狙いすぎという気がします。
内容は仏教の歴史やブッダの伝説から推測される当時の
彼等の気持ち、日本へ伝わった仏教とは?ということなど
人の想いの流れを辿っていくことが出来る歴史書です。
何も知らないままで、救いや慈悲を求めて
宗教にすがるイメージとは反するように
最初のそのひとの生き様はきっぱりと厳しく、
周囲の家族や友達、臣下や民衆には
どれだけ無慈悲に思えたことだろうと
ちょっと考えてみました。
本書では岩波文庫でも読むことが出来る
『ブッダのことば』(中村元:訳)から
よく引用されています。
ただ独り歩め、と説くブッダの教えは
日本の仏教ではあまり感じられないような
気がしますが、それらについても
なるほどなぁと思えるくらいに
説明してくれています。
面白かったです。
著:山折哲雄
集英社新書(集英社)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
プロローグ
第一章 ブッダは、なぜ家を出たのか
「家出」にはじまる/理想の人生/誕生した子、ラーフラを捨てて/ラーフラ、出生の秘密/シッダールタ、決断の理由/「四門出遊」という美しい物語/六年間胎内にいたという伝説/聖なる子か不義の子か/「林住期」という自由な時間/シャカの六年間の苦行とは/家出がもたらした子捨て親捨て
第二章 ブッダは、なぜ子を捨てたか
シャカも、捨て子同然であった/親を失った子どもに未来はあるか/母の喪失と、独り覚者であるという宣言/十三年目に生まれた子ども/わが子に悪魔の名をつけた/太陽や月を呑み込む悪魔ラーフ/愛欲の果実/二度捨てられた子/身勝手な動機/捨てられた子の思い/ガンディーもまた、子を捨てた/血縁を断つことの見返り/ブッダとガンディーの違い/仏弟子になったラーフラ/選ばれた十大弟子/十人十色の後継者/二人の特別な弟子/ブッダの子という難しいポジション/ブッダに侍した二十五年/捨てられた子は父を憎み、怨んだのか/最後の旅/聞くアーナンダ、見つめるブッダ/ブッダの遺志
第三章 ブッダの思想の真髄とは、どのようなものであったか
わが骨にかかずらうな/アーナンダの裏切り/自己を捨てる/乾いた大地に行脚して/一千年という時を経て/形あるものは滅びる/モンスーン・アジアの東西で/欲望からの解放/「色即是空」/父王を殺した王舎城の悲劇/悪人の救済/聖と俗のはざまで/ヴァーチャル人間から真実人間へ/脱人間的存在となったブッダ/インドでの仏教の衰退
第四章 ブッダの教えは、日本へどのように広まったか
アジアの周辺の国々へ/旅をする僧たち/十大弟子に宗派をなぞらえてみる/浄土教の広がり/禅と説法の宗派/心の浄化がもたらす無私の境地/どこよりも大きな地殻変動−先祖崇拝/日本で生まれた大乗仏教の形/カミとホトケの習合/日本における仏教パンテオン/姿をあらわしたカミ、隠されたホトケ/死んでホトケになる/遺骨信仰へと変化/葬式の形/ブッダの言葉を文字化した経典/「般若心経」に盛られたエッセンス/日本で仏教を生きつづけさせたもの/ブッダの苦しみの体験は引きつがれたか
第五章 ブッダは今、どこにいるのか
ブッダの姿をさがして/今なら死ねるか/西行と親鸞/風化する命を見つめて/獣の皮をまとった「聖」/皮上人のイメージのかなたに/現代にブッダをさがす/平和を祈念する仏舎利塔建立/日本にもブッダがいた/仏教発祥の地での重い課題/仏教に集団改宗したヒンドゥー教/改革者アンベードカルの後に/われわれは今、林住期の中で
あとがき
引用文献
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
目次を追っていたらこんだけありました。
タイトルが多少センセーショナルなのだなと思いました。
今の時代に売るために多少狙いすぎという気がします。
内容は仏教の歴史やブッダの伝説から推測される当時の
彼等の気持ち、日本へ伝わった仏教とは?ということなど
人の想いの流れを辿っていくことが出来る歴史書です。
何も知らないままで、救いや慈悲を求めて
宗教にすがるイメージとは反するように
最初のそのひとの生き様はきっぱりと厳しく、
周囲の家族や友達、臣下や民衆には
どれだけ無慈悲に思えたことだろうと
ちょっと考えてみました。
本書では岩波文庫でも読むことが出来る
『ブッダのことば』(中村元:訳)から
よく引用されています。
ただ独り歩め、と説くブッダの教えは
日本の仏教ではあまり感じられないような
気がしますが、それらについても
なるほどなぁと思えるくらいに
説明してくれています。
面白かったです。
令嬢レジーナの決断〜華麗なるマロリー一族
2006年7月17日 読了本
ISBN:4789722759 ソニーマガジンズ 2004/05 ¥819
文学・評論 売上人気:85,513位
『令嬢レジーナの決断〜華麗なるマロリー一族〜』
著:ジョアナ・リンジ
訳:那波 かおり
ヴィレッジブックス(文庫/ソニーマガジンズ)
古くはハーレク○ンロマンスなどに代表される
女性向けロマンス小説。
そうは言いつつ、たまに当たりもあるため
時代と舞台設定だけで買ってみた。
こういう小説はさらさら読めるし、ツッコミ入れながら
楽しく読むのがいちばんだと思います。
向こうの女性向け恋愛小説のパターンものって
わかりやすくて、わー。たのしいよねー。
(気持ちがこもってない?)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
設定としては、幼くして両親を亡くした貴族の娘が
四人の個性的な叔父(伯父)様たちから溺愛されて
社交界デビュー二年目、花爛漫の娘盛りに
とにかく結婚相手を見つけなきゃ!でも
おじさまたちのお眼鏡に叶う男性はいない。
端から文句をつけられてダメになる。
いい加減婿探しもウンザリのところで
「ちょっとしたアクシデント」で美女のヒロインが
丁度良く容姿に優れたまさに美形男子+爵位持ち、
加えてよくこのテの小説では女好みとされやすいタイプの
モテモテの男と出会って一目で恋に落ちるというか
欲情しあうというか。このへんのはっきりした書き方が
洋物らしい、と思うわけであります。
あとは大昔のスカーレットとバトラーよろしく
コト在るごとに反発しあい求め合うという展開。
一緒にしては名作に失礼かとも思いましたが
途中経過だけは永遠のお手本なのかもしれないですね。
小説のほうは誤解のおおもとがわかれば大団円という
なかなか都合の良いファンタジー。
魅力も名誉や力も持っているおじさまや親族が
バックにいて、懇願することによって何でも叶う
ヒロインは、それなりに前向きでコケティッシュ。
しかし強引なやり方に流されやすいまさに「女」。
相手役はビジュアル重視のヘタレ男で
いつまでもぐずぐず言ってるところで飽きた。
本当は男の側にも暗い過去や哀しみがあって
傷を抱えているわけだが、展開のラブコメぶりに
それがお飾り程度なところがどうなんだ。
メイン二人をどう観るかはともかくとして、
四人のおじ様たちの様子は楽しかったです。
このマロリー一族のお話は、あとがきによると
シリーズらしいです。翻訳も読みやすく、
あっという間です。
国内の乙女向けライトノベルで、恋愛の割合が
高めの物語などと比べてみると
なかなか味わい深いのではと思う。
云うほどどっちも量は読んでないが・・・
海外のこういったロマンス小説はだいたい一緒だと
ひとくくりにしたくなる印象が多い。
いっぺんに続けて何冊飽かず読めるか、
ロマンス小説耐久記録に挑んでみたら、どのくらい
冊数いくもんかな。
ケーキブッフェも途中軽いもの入れて
口の中を飽きさせないよう、食べる順番を考えるのが
楽しみのうちですが、これらの恋愛小説も選び方で
続けられるかも。
無駄で時間を食いつぶすようなアホなことに
エネルギーを傾けたいときがあります。
同じパターン小説にしても、薄幸ヒロインが
奇蹟のような援けも借りつつだいたいは自分の手腕で
のし上がって目的を達成、ついでにすれ違い恋愛もあって
場を盛り上げる、というような話なら
もうちょっと読み応えがあるかもしれないが(えー?)
これはホントに恋愛メインで、途中から
なーにやってんだこのばかっぷるは・・・になっちゃいました。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
随分前に買ったものを7月はじめごろ読みました。
しばらく読んだり観たりしたものを
感想書かずに放っておいたため
まとめて少しずつ書いていこうと思います。
文学・評論 売上人気:85,513位
『令嬢レジーナの決断〜華麗なるマロリー一族〜』
著:ジョアナ・リンジ
訳:那波 かおり
ヴィレッジブックス(文庫/ソニーマガジンズ)
古くはハーレク○ンロマンスなどに代表される
女性向けロマンス小説。
そうは言いつつ、たまに当たりもあるため
時代と舞台設定だけで買ってみた。
こういう小説はさらさら読めるし、ツッコミ入れながら
楽しく読むのがいちばんだと思います。
向こうの女性向け恋愛小説のパターンものって
わかりやすくて、わー。たのしいよねー。
(気持ちがこもってない?)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
設定としては、幼くして両親を亡くした貴族の娘が
四人の個性的な叔父(伯父)様たちから溺愛されて
社交界デビュー二年目、花爛漫の娘盛りに
とにかく結婚相手を見つけなきゃ!でも
おじさまたちのお眼鏡に叶う男性はいない。
端から文句をつけられてダメになる。
いい加減婿探しもウンザリのところで
「ちょっとしたアクシデント」で美女のヒロインが
丁度良く容姿に優れたまさに美形男子+爵位持ち、
加えてよくこのテの小説では女好みとされやすいタイプの
モテモテの男と出会って一目で恋に落ちるというか
欲情しあうというか。このへんのはっきりした書き方が
洋物らしい、と思うわけであります。
あとは大昔のスカーレットとバトラーよろしく
コト在るごとに反発しあい求め合うという展開。
一緒にしては名作に失礼かとも思いましたが
途中経過だけは永遠のお手本なのかもしれないですね。
小説のほうは誤解のおおもとがわかれば大団円という
なかなか都合の良いファンタジー。
魅力も名誉や力も持っているおじさまや親族が
バックにいて、懇願することによって何でも叶う
ヒロインは、それなりに前向きでコケティッシュ。
しかし強引なやり方に流されやすいまさに「女」。
相手役はビジュアル重視のヘタレ男で
いつまでもぐずぐず言ってるところで飽きた。
本当は男の側にも暗い過去や哀しみがあって
傷を抱えているわけだが、展開のラブコメぶりに
それがお飾り程度なところがどうなんだ。
メイン二人をどう観るかはともかくとして、
四人のおじ様たちの様子は楽しかったです。
このマロリー一族のお話は、あとがきによると
シリーズらしいです。翻訳も読みやすく、
あっという間です。
国内の乙女向けライトノベルで、恋愛の割合が
高めの物語などと比べてみると
なかなか味わい深いのではと思う。
云うほどどっちも量は読んでないが・・・
海外のこういったロマンス小説はだいたい一緒だと
ひとくくりにしたくなる印象が多い。
いっぺんに続けて何冊飽かず読めるか、
ロマンス小説耐久記録に挑んでみたら、どのくらい
冊数いくもんかな。
ケーキブッフェも途中軽いもの入れて
口の中を飽きさせないよう、食べる順番を考えるのが
楽しみのうちですが、これらの恋愛小説も選び方で
続けられるかも。
無駄で時間を食いつぶすようなアホなことに
エネルギーを傾けたいときがあります。
同じパターン小説にしても、薄幸ヒロインが
奇蹟のような援けも借りつつだいたいは自分の手腕で
のし上がって目的を達成、ついでにすれ違い恋愛もあって
場を盛り上げる、というような話なら
もうちょっと読み応えがあるかもしれないが(えー?)
これはホントに恋愛メインで、途中から
なーにやってんだこのばかっぷるは・・・になっちゃいました。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
随分前に買ったものを7月はじめごろ読みました。
しばらく読んだり観たりしたものを
感想書かずに放っておいたため
まとめて少しずつ書いていこうと思います。
ISBN:4001140411 単行本(ソフトカバー)2000/06 ¥756
『トムは真夜中の庭で』 TOM’S MIDNIGHT GARDEN
text by Philippa Pearce (1958)
illustrations by Susan Einzig
著:フィリパ・ピアス
訳:高杉一郎
岩波少年文庫041(岩波書店)
==================================================
せっかくの休暇を目前に、おじの家に預けられることに
なったトム。弟のピーターがはしかに罹ったために
一時的に隔離されることになったのだ。
迎えに来てくれたアランおじさんの前でも、不機嫌を
つくろおうともせず、トムはたいそう滅入っていた。
子供のいないおじおばの家は、さして広いわけではない。
庭のないアパートは古い上層階級の邸宅を改築しており
複数の世帯が住んでいる。
はっきりはしかに罹っていないことを確認するまで
外出もままならず、おばの持ち物の少女小説を
読むくらいしか退屈を紛らす手段が無い。
おじは理屈っぽく、しつけには厳しいところがあり
トムに夜更かしをきつく禁じた。
暗闇の中、眠ることができずにいたトムは、階下の
ホールの大時計が鳴らす時の音を数えて不思議になる。
時計の音は13回・・・。
確かめに降りていくと、誘われるように開けた扉の
向こうに、昼間はなかった庭園が広がっていた。
==================================================
童話でもコミックでも、勿論大人向けの小説であっても
時を駆ける、異世界に迷い込む話は多い。
これもその類の話だと思って随分前に購入した。
通販サイトの「おすすめ」に引っ掛かったのだ。
トムは真夜中の庭で、ビクトリア朝時代の少女ハティに
出会う。他のひとには見えないトムが見えるらしい。
徐々に明かされる不幸な生い立ちは、彼女の独り遊びの
理由を充分に説明していた。
トムは真夜中だけ出現する庭に降りて行くのが
楽しみで仕方ないようになっていくが・・・。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
時を遡っているのか、昔と今の時間や空間が、真夜中の
ある一定の場所で交差しているのか・・・という
少しでもSF的な香りを探そうとするよりも
少年と少女の友情をじっくり観ていたくなる。
いつまでも少年のままのトムと、気がつけば
いつのまにか成長しているハティ。
休暇も終盤になり、弟のはしかも治って
トムが家に帰る日が近付いてくるころ
先がどうなるかとても気になっていた。
後半読者にも少しずつわかってくる謎の真相と
物語の終わりに至るエピソードは一気に読めるし
またラストシーンが良かった。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
挿絵はさすがに時代がかってはいないだろうか?と
読む前から思っていたのだが・・・。
読んでいるうちに慣れてきてそうでもなくなった。
あとがきで作者の言葉を読んで、オリジナル本のために
描かれた思い入れのある挿画だと知りました。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
岩波少年文庫には良質な話が多い。
長い間愛され、残っている話は
今読んでも、心に染み入る。
この先もずっと残って欲しいと思う。
『トムは真夜中の庭で』 TOM’S MIDNIGHT GARDEN
text by Philippa Pearce (1958)
illustrations by Susan Einzig
著:フィリパ・ピアス
訳:高杉一郎
岩波少年文庫041(岩波書店)
==================================================
せっかくの休暇を目前に、おじの家に預けられることに
なったトム。弟のピーターがはしかに罹ったために
一時的に隔離されることになったのだ。
迎えに来てくれたアランおじさんの前でも、不機嫌を
つくろおうともせず、トムはたいそう滅入っていた。
子供のいないおじおばの家は、さして広いわけではない。
庭のないアパートは古い上層階級の邸宅を改築しており
複数の世帯が住んでいる。
はっきりはしかに罹っていないことを確認するまで
外出もままならず、おばの持ち物の少女小説を
読むくらいしか退屈を紛らす手段が無い。
おじは理屈っぽく、しつけには厳しいところがあり
トムに夜更かしをきつく禁じた。
暗闇の中、眠ることができずにいたトムは、階下の
ホールの大時計が鳴らす時の音を数えて不思議になる。
時計の音は13回・・・。
確かめに降りていくと、誘われるように開けた扉の
向こうに、昼間はなかった庭園が広がっていた。
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童話でもコミックでも、勿論大人向けの小説であっても
時を駆ける、異世界に迷い込む話は多い。
これもその類の話だと思って随分前に購入した。
通販サイトの「おすすめ」に引っ掛かったのだ。
トムは真夜中の庭で、ビクトリア朝時代の少女ハティに
出会う。他のひとには見えないトムが見えるらしい。
徐々に明かされる不幸な生い立ちは、彼女の独り遊びの
理由を充分に説明していた。
トムは真夜中だけ出現する庭に降りて行くのが
楽しみで仕方ないようになっていくが・・・。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
時を遡っているのか、昔と今の時間や空間が、真夜中の
ある一定の場所で交差しているのか・・・という
少しでもSF的な香りを探そうとするよりも
少年と少女の友情をじっくり観ていたくなる。
いつまでも少年のままのトムと、気がつけば
いつのまにか成長しているハティ。
休暇も終盤になり、弟のはしかも治って
トムが家に帰る日が近付いてくるころ
先がどうなるかとても気になっていた。
後半読者にも少しずつわかってくる謎の真相と
物語の終わりに至るエピソードは一気に読めるし
またラストシーンが良かった。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
挿絵はさすがに時代がかってはいないだろうか?と
読む前から思っていたのだが・・・。
読んでいるうちに慣れてきてそうでもなくなった。
あとがきで作者の言葉を読んで、オリジナル本のために
描かれた思い入れのある挿画だと知りました。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
岩波少年文庫には良質な話が多い。
長い間愛され、残っている話は
今読んでも、心に染み入る。
この先もずっと残って欲しいと思う。
ISBN:4309407625 2005/10/05 ¥546
著:リリーフランキー
河出文庫(河出書房新社)
========================
愛と哀しみのエッセイ集。
========================
えーと、前回(前読んだ本)同様、笑えるところあり
あーあーあー、と思うところもちょいあり。
バッカだなぁと読んだほうがいいのかな。
何篇か「あ、そうだよね」ってつい同意したくなる話があって
これもフシギな気分になる。
読後は書いてあったことをすっかり忘れてくれるといい、と
著者あとがきにあるので、そうしてみようと思います。
で、たまに何か思い出して「あ。」っと思うんだと思います。
著:リリーフランキー
河出文庫(河出書房新社)
========================
愛と哀しみのエッセイ集。
========================
えーと、前回(前読んだ本)同様、笑えるところあり
あーあーあー、と思うところもちょいあり。
バッカだなぁと読んだほうがいいのかな。
何篇か「あ、そうだよね」ってつい同意したくなる話があって
これもフシギな気分になる。
読後は書いてあったことをすっかり忘れてくれるといい、と
著者あとがきにあるので、そうしてみようと思います。
で、たまに何か思い出して「あ。」っと思うんだと思います。
彩雲国物語 朱にまじわれば紅
2006年4月29日 読了本
ISBN:4044499063 2005/04/28 ¥480
著:雪乃 紗衣
挿画:由羅カイリ
角川ビーンズ文庫 (角川書店)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
『彩雲国物語』シリーズ外伝一巻。短編集。
「幽霊退治大作戦!」
府庫にて、主上に会えない苛立ちを募らせる李絳攸。
邵可は彼の気を紛らわせるために幽霊の作り話をするが
真に受けた絳攸は幽霊退治をしようとする。
李絳攸のマジメさと楸瑛のおちゃらけぶりが発揮された一遍。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「会試直前大騒動!」
国試の前のできごと。
お金もなく困っていた杜影月を拾い上げたその人は。
官吏になる前の秀麗のバイト先についてと
杜影月の酒豪&二重人格がしっかり描かれてます。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「お見舞い戦線異状あり?」
読者サービス短篇。ヒロインがこれ以上ないほど
ちやほやされるお話。同人誌ネタでも少女漫画でもよく
扱われそうなネタだが、幸せならいいんじゃないかなーと。
大人たちの様子が面白かったです。
コミックのコマのイラストが浮かんできそうなギャグ。
イチバン可哀想なのは劉輝でした。
こういう描写を読むにつけ、今の作家さんはコミックを読んで育ち、
多大な影響を受けた世代なのだなと思います。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「薔薇姫」
上記三篇でも、コメディの合間に明かされる設定や
エピソードがありましたが、これも短いながら
秀麗の生い立ち、母親について想像させるお話。
タイトルは、秀麗が紫劉輝に寝る前に聞かせたお話。
その内容も書かれています。
また、劉輝の本心、秀麗への想い。
著:雪乃 紗衣
挿画:由羅カイリ
角川ビーンズ文庫 (角川書店)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
『彩雲国物語』シリーズ外伝一巻。短編集。
「幽霊退治大作戦!」
府庫にて、主上に会えない苛立ちを募らせる李絳攸。
邵可は彼の気を紛らわせるために幽霊の作り話をするが
真に受けた絳攸は幽霊退治をしようとする。
李絳攸のマジメさと楸瑛のおちゃらけぶりが発揮された一遍。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「会試直前大騒動!」
国試の前のできごと。
お金もなく困っていた杜影月を拾い上げたその人は。
官吏になる前の秀麗のバイト先についてと
杜影月の酒豪&二重人格がしっかり描かれてます。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「お見舞い戦線異状あり?」
読者サービス短篇。ヒロインがこれ以上ないほど
ちやほやされるお話。同人誌ネタでも少女漫画でもよく
扱われそうなネタだが、幸せならいいんじゃないかなーと。
大人たちの様子が面白かったです。
コミックのコマのイラストが浮かんできそうなギャグ。
イチバン可哀想なのは劉輝でした。
こういう描写を読むにつけ、今の作家さんはコミックを読んで育ち、
多大な影響を受けた世代なのだなと思います。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
「薔薇姫」
上記三篇でも、コメディの合間に明かされる設定や
エピソードがありましたが、これも短いながら
秀麗の生い立ち、母親について想像させるお話。
タイトルは、秀麗が紫劉輝に寝る前に聞かせたお話。
その内容も書かれています。
また、劉輝の本心、秀麗への想い。
彩雲国物語 漆黒の月の宴
2006年4月27日 読了本
ISBN:4044499055 2005/02/25 ¥500
著:雪乃 紗衣
挿画:由羅カイリ
角川ビーンズ文庫 (角川書店)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
『彩雲国物語』シリーズ第五巻。茶州編の後半。
前巻では茶仲障、茶家の孫たちと謀った殺刃賊によって
仲間と離れ離れになった秀麗。無事に金華で再会し
地元の経済を取り仕切る商人たちの組合や
街の実力者から認められ、徐々に味方につけていく。
着任期間は三月。期間内に正式に着任式が行えなければ
官位剥奪が待っている。茶家からの妨害により金華到着までは
随分かかってしまっている。
茶州州都へ向かう秀麗一行だったが、もう一刻の猶予もない。
秀麗は無事州牧として着任できるのか。
茶家内部の腐敗はなくなるのか、
呪縛は解かれるのか・・・がメインのお話。だと思う。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
今回は前巻から引き続き、静蘭の秀麗への気持ちが
逆に秀麗が静蘭をどう思っているか
丁寧に描かれていて興味深いです。
これも茶朔洵の存在ゆえか。
ヒロインが悪役や、立場上カタキ役に惹かれるのは
気持ちが揺らぐ様が見所になりますが、この作品でもそうでした。
紫劉輝は話題や回想に存在をアピールするくらいで
この巻でもほぼ出番なし。
お嬢さんの茶朔洵への想いは果たして恋なのか。
あと静蘭の真っ黒さがオモテに出てきていい感じ。
ビバ!腹黒!
あと商人切れ者眼鏡君が活躍して喜んでます。
著:雪乃 紗衣
挿画:由羅カイリ
角川ビーンズ文庫 (角川書店)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
『彩雲国物語』シリーズ第五巻。茶州編の後半。
前巻では茶仲障、茶家の孫たちと謀った殺刃賊によって
仲間と離れ離れになった秀麗。無事に金華で再会し
地元の経済を取り仕切る商人たちの組合や
街の実力者から認められ、徐々に味方につけていく。
着任期間は三月。期間内に正式に着任式が行えなければ
官位剥奪が待っている。茶家からの妨害により金華到着までは
随分かかってしまっている。
茶州州都へ向かう秀麗一行だったが、もう一刻の猶予もない。
秀麗は無事州牧として着任できるのか。
茶家内部の腐敗はなくなるのか、
呪縛は解かれるのか・・・がメインのお話。だと思う。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
今回は前巻から引き続き、静蘭の秀麗への気持ちが
逆に秀麗が静蘭をどう思っているか
丁寧に描かれていて興味深いです。
これも茶朔洵の存在ゆえか。
ヒロインが悪役や、立場上カタキ役に惹かれるのは
気持ちが揺らぐ様が見所になりますが、この作品でもそうでした。
紫劉輝は話題や回想に存在をアピールするくらいで
この巻でもほぼ出番なし。
お嬢さんの茶朔洵への想いは果たして恋なのか。
あと静蘭の真っ黒さがオモテに出てきていい感じ。
ビバ!腹黒!
あと商人切れ者眼鏡君が活躍して喜んでます。
想いは遙かなる茶都へ―彩雲国物語
2006年4月26日 読了本
ISBN:4044499047 2004/09/28 ¥480
著:雪乃 紗衣
挿画:由羅カイリ
角川ビーンズ文庫 (角川書店)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
『彩雲国物語』シリーズ第四巻。
国試に及第し、研修期間を終えた秀麗は、
同期合格者の杜影月と共に茶州州牧に任命された。
茶州は豪族茶家が牛耳る土地で、新たな州牧は
傀儡となるか死体となるかどちらか、そういうきな臭い処だ。
先ごろ茶家の当主が亡くなり(シリーズ一巻目参照)
一族の間では跡目争いも起こっている。
新州牧を確保し、佩玉と印を手に入れた者こそ
新たな茶家の当主となる。
赴任前から狙われることを予期して、
秀麗たちは目立たないように茶州へ向かおうとするが・・・。
前州牧の浪燕青の抹殺や、紅家直系の秀麗を茶家の人間に娶らせるという
茶仲障の策略を阻止できるのか。波乱の茶州編前篇。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
今回は静蘭と燕青の過去の一部も明らかに。
一方、前作で紫劉輝(主上)に本気で待つ、と示されていながら
応えられない秀麗の前に新たな男性キャラ・茶朔洵が登場。
当然美形。モノクロ挿絵のビジュアルからは、
光の守護聖を思い出しましたー。
(しかし次巻カラー表紙ではそういう見かけでもなさそう)
しばらく謎だった国試及第第二位の藍龍蓮も姿を現す。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
んー。アニメのおかげか、読んでても台詞の部分は脳内変換、
ヒロインの声は桑島さんだし、静蘭は緑川さん声になっちゃう。
animation版は小説と多少、どころか・・・
かなり脚色されていくみたい。
外伝も本編に組み込んでいくので、本の通りにはならないと
公式サイトなどの説明で書いてあったと思います。
それにしても、はしょるところや変更箇所も多くて、
もとからの原作ファンにとっては、気になることも
ありそうだなぁと思いました。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
アニメになると知ってから、またはアニメ一作目を観てから
原作小説やコミックを手に取ることがたびたびあります。
アニメはたいてい一週間に一度ですから、
先に原作をさくさく読んでしまって、すっかり物語のあとまで
知ってしまうわけですが、それからアニメ版を見る場合は
どうもすぐ「あ、ここは原作のほうが良かったな」と
思ってしまうことが多いです。
読んだとき受けたイメージや瑣末なことまで記憶が新しいので
余計そう思うのでしょう。
アニメはアニメ単品でじっくり観てから、後で原作を読むほうが、
私の場合は楽しめるのかもしれないです。
とは言いつつ、気になったら即読んでみるサガ。
『西の善き魔女』もいずれ読みたいです〜。
著:雪乃 紗衣
挿画:由羅カイリ
角川ビーンズ文庫 (角川書店)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
『彩雲国物語』シリーズ第四巻。
国試に及第し、研修期間を終えた秀麗は、
同期合格者の杜影月と共に茶州州牧に任命された。
茶州は豪族茶家が牛耳る土地で、新たな州牧は
傀儡となるか死体となるかどちらか、そういうきな臭い処だ。
先ごろ茶家の当主が亡くなり(シリーズ一巻目参照)
一族の間では跡目争いも起こっている。
新州牧を確保し、佩玉と印を手に入れた者こそ
新たな茶家の当主となる。
赴任前から狙われることを予期して、
秀麗たちは目立たないように茶州へ向かおうとするが・・・。
前州牧の浪燕青の抹殺や、紅家直系の秀麗を茶家の人間に娶らせるという
茶仲障の策略を阻止できるのか。波乱の茶州編前篇。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
今回は静蘭と燕青の過去の一部も明らかに。
一方、前作で紫劉輝(主上)に本気で待つ、と示されていながら
応えられない秀麗の前に新たな男性キャラ・茶朔洵が登場。
当然美形。モノクロ挿絵のビジュアルからは、
光の守護聖を思い出しましたー。
(しかし次巻カラー表紙ではそういう見かけでもなさそう)
しばらく謎だった国試及第第二位の藍龍蓮も姿を現す。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
んー。アニメのおかげか、読んでても台詞の部分は脳内変換、
ヒロインの声は桑島さんだし、静蘭は緑川さん声になっちゃう。
animation版は小説と多少、どころか・・・
かなり脚色されていくみたい。
外伝も本編に組み込んでいくので、本の通りにはならないと
公式サイトなどの説明で書いてあったと思います。
それにしても、はしょるところや変更箇所も多くて、
もとからの原作ファンにとっては、気になることも
ありそうだなぁと思いました。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
アニメになると知ってから、またはアニメ一作目を観てから
原作小説やコミックを手に取ることがたびたびあります。
アニメはたいてい一週間に一度ですから、
先に原作をさくさく読んでしまって、すっかり物語のあとまで
知ってしまうわけですが、それからアニメ版を見る場合は
どうもすぐ「あ、ここは原作のほうが良かったな」と
思ってしまうことが多いです。
読んだとき受けたイメージや瑣末なことまで記憶が新しいので
余計そう思うのでしょう。
アニメはアニメ単品でじっくり観てから、後で原作を読むほうが、
私の場合は楽しめるのかもしれないです。
とは言いつつ、気になったら即読んでみるサガ。
『西の善き魔女』もいずれ読みたいです〜。
彩雲国物語―花は紫宮に咲く
2006年4月25日 読了本
ISBN:4044499039 2004/07 ¥480
著:雪乃 紗衣
挿画:由羅カイリ
角川ビーンズ文庫 (角川書店)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
『彩雲国物語』シリーズ第三巻。
無事国試に第三位で合格した秀麗。
彩雲国では始めての女性官吏として、輝かしい第一歩を
踏み出すはずが・・・若い上に女性とあって風当たりは強く
研修期間のお役所では、同僚や先輩からお子様レベルの
低俗な苛めやイヤガラセにあう。
主上も、家人の静蘭も庇うことの出来ない、彼女の試練。
周囲の男たちはぐっと堪えて彼女を見守る。
やがて秀麗の頑張りも公に認められようかというとき
彼女の試験合格に不正疑惑が持ち上がり・・・。
誰が本当の味方なのか、秀麗のことを思って支えてくれているのか
ちょっとわからなくしておいて(読んでる側には予想がつく程度)
後で『実は・・・』の箱を開いてくれる楽しさはそのままに。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
秀麗が大モテ/周囲の美男全てに認められているのは
このシリーズの読者への大サービスだと思うが
それに加えて、男性キャラの男性にたいする親愛の情が
こと細やかに描かれます。(毎回反応しすぎなのか?)
今回は李絳攸の、紅黎深に対する尊敬や愛情の様子がよくわかります。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
黎深は兄の邵可が大好きだし、邵可にもかつて敬愛する上司(先代主上)や
同僚(=友)がいて、それぞれかなりウェットに想いが表現されます。
某三国志のドラマでは、友情や敬愛にともない、歓喜や悲哀などいろいろな事由により
よく男同士で滂沱の涙をがばーっと流してたようなイメージがありますが、
そういう暑苦しさや僅かながら感じることもあるやもしれません。
(感じ方の違いはおおいにあります)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
彩雲国は美形なだけに、ホモくさい。(あーハッキリ言っちゃ・・・)
その男たちをもってして、一目置かれる唯一女性キャラ筆頭が
ヒロインの秀麗ですから、読むほうも逆ハーを堪能できるのかなあと
ムリヤリ考えてみましたが・・・。
これ、どう観ても掛けてくださいと言わんばかりだよなあと
思っているのは私を含む一部の腐女子だけかもしれないので
素直に麗しき友情エピソードを噛み締めたほうがいいのかしら。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
毎回新キャラ(美形男子)が登場するため、だんだん性格や台詞、
態度や行動など書き分けが難しくなってきそうだなと思いました。
正体を隠す、能力を隠す、身分を隠す・・・
明かされるあたりは楽しいのですが、それゆえにパターンになりやすい。
イジワルそうなひとも結果、想う人のために奔走するいいひとばっかりだったり。
小物の悪役は見た目もいまいち、能無しとだいたい決まってるところも
安心して読める理由なのかな?
長く愛される連載漫画のように、読者をひきつけて
続きに誘う物語はすごいと思います。
日曜日にいっきに三冊読んじゃいました。
残り2冊は後日メモっておきます。
著:雪乃 紗衣
挿画:由羅カイリ
角川ビーンズ文庫 (角川書店)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
『彩雲国物語』シリーズ第三巻。
無事国試に第三位で合格した秀麗。
彩雲国では始めての女性官吏として、輝かしい第一歩を
踏み出すはずが・・・若い上に女性とあって風当たりは強く
研修期間のお役所では、同僚や先輩からお子様レベルの
低俗な苛めやイヤガラセにあう。
主上も、家人の静蘭も庇うことの出来ない、彼女の試練。
周囲の男たちはぐっと堪えて彼女を見守る。
やがて秀麗の頑張りも公に認められようかというとき
彼女の試験合格に不正疑惑が持ち上がり・・・。
誰が本当の味方なのか、秀麗のことを思って支えてくれているのか
ちょっとわからなくしておいて(読んでる側には予想がつく程度)
後で『実は・・・』の箱を開いてくれる楽しさはそのままに。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
秀麗が大モテ/周囲の美男全てに認められているのは
このシリーズの読者への大サービスだと思うが
それに加えて、男性キャラの男性にたいする親愛の情が
こと細やかに描かれます。(毎回反応しすぎなのか?)
今回は李絳攸の、紅黎深に対する尊敬や愛情の様子がよくわかります。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
黎深は兄の邵可が大好きだし、邵可にもかつて敬愛する上司(先代主上)や
同僚(=友)がいて、それぞれかなりウェットに想いが表現されます。
某三国志のドラマでは、友情や敬愛にともない、歓喜や悲哀などいろいろな事由により
よく男同士で滂沱の涙をがばーっと流してたようなイメージがありますが、
そういう暑苦しさや僅かながら感じることもあるやもしれません。
(感じ方の違いはおおいにあります)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
彩雲国は美形なだけに、ホモくさい。(あーハッキリ言っちゃ・・・)
その男たちをもってして、一目置かれる唯一女性キャラ筆頭が
ヒロインの秀麗ですから、読むほうも逆ハーを堪能できるのかなあと
ムリヤリ考えてみましたが・・・。
これ、どう観ても掛けてくださいと言わんばかりだよなあと
思っているのは私を含む一部の腐女子だけかもしれないので
素直に麗しき友情エピソードを噛み締めたほうがいいのかしら。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
毎回新キャラ(美形男子)が登場するため、だんだん性格や台詞、
態度や行動など書き分けが難しくなってきそうだなと思いました。
正体を隠す、能力を隠す、身分を隠す・・・
明かされるあたりは楽しいのですが、それゆえにパターンになりやすい。
イジワルそうなひとも結果、想う人のために奔走するいいひとばっかりだったり。
小物の悪役は見た目もいまいち、能無しとだいたい決まってるところも
安心して読める理由なのかな?
長く愛される連載漫画のように、読者をひきつけて
続きに誘う物語はすごいと思います。
日曜日にいっきに三冊読んじゃいました。
残り2冊は後日メモっておきます。
ISBN:4102900160 2000/10 ¥570
著:リリー・フランキー
新潮OH!文庫(新潮社)
==================================================
『東京タワー』だっけ?
買おうかなと思って本棚見たら
真っ白に金縁のハードカバーだったので
文庫落ちを待つことにしました。
フチはかけるしこの紙質だと白は汚れるし
買うときの表紙キレーキレー好きには困難な選択。
自分で読んでクッタリなったぶんには
諦めがつくというおバカでありますから。
リリーさんについては、
ブラウン管でおでんくんやトークショウや
インタビューや密着番組でやたら見かけてしまうので、
書店員さんの勧めるという本を読んでみたいなあと
思いました。
そんなわけで平積みで何冊か文庫があり、
なかみも見ないでリリー本を買いました。
表紙も可愛く、エッセイにせよ
あの取材の様子のひとが書く内容に興味あり。
家で早速頁を開いたら、乳首の出てる女の子の写真で
ちょっと驚いた。アレ?何か間違ったあたし。
面白かったです。と言ってみます。
笑っていいのかどうなのか考えちゃダメか。
挿絵付きでおじさんから観た女子の生態いろいろ。
わかりやすくありがたい教えがたくさんなので、
当人たちにどれだけ届くのか尋ねてみたい。
近現代史資料本として一冊。
著:リリー・フランキー
新潮OH!文庫(新潮社)
==================================================
『東京タワー』だっけ?
買おうかなと思って本棚見たら
真っ白に金縁のハードカバーだったので
文庫落ちを待つことにしました。
フチはかけるしこの紙質だと白は汚れるし
買うときの表紙キレーキレー好きには困難な選択。
自分で読んでクッタリなったぶんには
諦めがつくというおバカでありますから。
リリーさんについては、
ブラウン管でおでんくんやトークショウや
インタビューや密着番組でやたら見かけてしまうので、
書店員さんの勧めるという本を読んでみたいなあと
思いました。
そんなわけで平積みで何冊か文庫があり、
なかみも見ないでリリー本を買いました。
表紙も可愛く、エッセイにせよ
あの取材の様子のひとが書く内容に興味あり。
家で早速頁を開いたら、乳首の出てる女の子の写真で
ちょっと驚いた。アレ?何か間違ったあたし。
面白かったです。と言ってみます。
笑っていいのかどうなのか考えちゃダメか。
挿絵付きでおじさんから観た女子の生態いろいろ。
わかりやすくありがたい教えがたくさんなので、
当人たちにどれだけ届くのか尋ねてみたい。
近現代史資料本として一冊。
彩雲国物語―黄金の約束
2006年4月12日 読了本
ISBN:4044499020 2004/02 ¥460
著:雪乃 紗衣
挿画:由羅カイリ
角川ビーンズ文庫 (角川書店)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
彩雲国物語シリーズ二冊目。
第1作が後宮での主上との出会いと権力争いにまつわる騒動。
ヒロイン以外はメインで出張ってくるのは、ほぼ美形男子。
能あるタカはツメ隠し、「実は・・・」を明かされるときの
楽しさをてんこ盛り。
今回はなんと男の子に変装して公務員のお手伝い。
新たに登場するキャラクターも謎が多いが、後半からラストまで
一気に明かされていく様子は、読者の予想を裏切らず、
その手応えは「やっぱそうでしょ?!」といい気分(?)に
させてくれるんじゃないかなと思いました。
最後の数ページでものすごく説明的なのは前作でもそうなので
たぶんずっとこの調子なのだろうと思いました。
それでも、広げた風呂敷をちゃんと畳んで行く様子は好ましい。
そして次回作につながるネタもしっかり編みこまれていて
続きが読みたくなる。
ファンタジーだけど現実的に女性がぶち当たる壁についても
典型的ではあるが描かれていて、前向きに進む主人公の様子は
嫌味がなく、応援したくなる。
影に日向に援けてくれる男子はすべて能力の在る美形で
ヒロインの他に、目だった女性は今のところ無い。
しかもその美形男子同士がみんな仲良しなのだ。
友愛と尊敬、慈しみ、信頼。親子兄弟の愛情。
固く結ばれた男どもの絆は、特殊な層の読者にもアピール。
その美男子たちが一目置く少女がヒロイン。という
ステキなポジション。
恋愛未経験な彼女はまだ決まった相手を決めておらず
自分の夢、仕事に邁進しています。
主上とのじれったい関係も読者をヤキモキさせつつ、
はっきり相手を決めないことで逆ハーの夢も叶える。
顔は十人並としながら、挿絵では美少女に描かれるこれが少女向け作品の掟。
・・・・などといろいろ余計な解説したくなるものの、
かなり誉めてます。
現在三巻目を開いたところ。
ようやく夢の第一歩、女性官吏として
スタートしたヒロインの苦難の道が描かれてます。
挿絵とともに拾い読みして、だいたい内容はわかりましたが
最初からちゃんと読んでいこうと思います。
著:雪乃 紗衣
挿画:由羅カイリ
角川ビーンズ文庫 (角川書店)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
彩雲国物語シリーズ二冊目。
第1作が後宮での主上との出会いと権力争いにまつわる騒動。
ヒロイン以外はメインで出張ってくるのは、ほぼ美形男子。
能あるタカはツメ隠し、「実は・・・」を明かされるときの
楽しさをてんこ盛り。
今回はなんと男の子に変装して公務員のお手伝い。
新たに登場するキャラクターも謎が多いが、後半からラストまで
一気に明かされていく様子は、読者の予想を裏切らず、
その手応えは「やっぱそうでしょ?!」といい気分(?)に
させてくれるんじゃないかなと思いました。
最後の数ページでものすごく説明的なのは前作でもそうなので
たぶんずっとこの調子なのだろうと思いました。
それでも、広げた風呂敷をちゃんと畳んで行く様子は好ましい。
そして次回作につながるネタもしっかり編みこまれていて
続きが読みたくなる。
ファンタジーだけど現実的に女性がぶち当たる壁についても
典型的ではあるが描かれていて、前向きに進む主人公の様子は
嫌味がなく、応援したくなる。
影に日向に援けてくれる男子はすべて能力の在る美形で
ヒロインの他に、目だった女性は今のところ無い。
しかもその美形男子同士がみんな仲良しなのだ。
友愛と尊敬、慈しみ、信頼。親子兄弟の愛情。
固く結ばれた男どもの絆は、特殊な層の読者にもアピール。
その美男子たちが一目置く少女がヒロイン。という
ステキなポジション。
恋愛未経験な彼女はまだ決まった相手を決めておらず
自分の夢、仕事に邁進しています。
主上とのじれったい関係も読者をヤキモキさせつつ、
はっきり相手を決めないことで逆ハーの夢も叶える。
顔は十人並としながら、挿絵では美少女に描かれるこれが少女向け作品の掟。
・・・・などといろいろ余計な解説したくなるものの、
かなり誉めてます。
現在三巻目を開いたところ。
ようやく夢の第一歩、女性官吏として
スタートしたヒロインの苦難の道が描かれてます。
挿絵とともに拾い読みして、だいたい内容はわかりましたが
最初からちゃんと読んでいこうと思います。
彩雲国物語―はじまりの風は紅く
2006年4月11日 読了本
ISBN:4044499012 2003/10 ¥460
著:雪乃 紗衣
挿画:由羅カイリ
角川ビーンズ文庫 (角川書店)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
NHK衛星放送でanimationが始まるというので
(先週土曜朝に第一話放映済み)
以前から気になっていた原作を読みました。
イラストはネオロマでおなじみの方なので
とっつきやすい。
すぐ読めました。面白いです。
小中高生女子に人気があるのも頷けました。
読者を意識したサービスも心憎いばかりだし、
上手いなあと思います。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
しかしNHKもマ王で味をしめたな〜。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
未だにコミックは少年・青年誌から少女漫画まで
なんでも読んでるんだから、ライトノベルも
とっかかりがあれば読めることをここんとこ認めました。
挿絵が〜とか
コーナーの前に立つのが〜とか
言い訳しないで、知っている作家以外でも
これからいろいろ探してみます。
まとめて通販で買えばよし・・・。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ホントに読書しなくなってます。
書店に行っては欧州史関連本を買ってきて、
その都度、部屋に積み重ねる日々です。
今のところ、気恥ずかしい自己啓発本や絵本、
癒しになるよな本、簡単に読める薄い新書など
「最後まで読む」本の種類が狭くなってます。
動機はどうあれ、また活字三昧に戻れるように
コレがツルになるといいんですが。
著:雪乃 紗衣
挿画:由羅カイリ
角川ビーンズ文庫 (角川書店)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
NHK衛星放送でanimationが始まるというので
(先週土曜朝に第一話放映済み)
以前から気になっていた原作を読みました。
イラストはネオロマでおなじみの方なので
とっつきやすい。
すぐ読めました。面白いです。
小中高生女子に人気があるのも頷けました。
読者を意識したサービスも心憎いばかりだし、
上手いなあと思います。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
しかしNHKもマ王で味をしめたな〜。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
未だにコミックは少年・青年誌から少女漫画まで
なんでも読んでるんだから、ライトノベルも
とっかかりがあれば読めることをここんとこ認めました。
挿絵が〜とか
コーナーの前に立つのが〜とか
言い訳しないで、知っている作家以外でも
これからいろいろ探してみます。
まとめて通販で買えばよし・・・。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ホントに読書しなくなってます。
書店に行っては欧州史関連本を買ってきて、
その都度、部屋に積み重ねる日々です。
今のところ、気恥ずかしい自己啓発本や絵本、
癒しになるよな本、簡単に読める薄い新書など
「最後まで読む」本の種類が狭くなってます。
動機はどうあれ、また活字三昧に戻れるように
コレがツルになるといいんですが。
ISBN:4106101416 2005/11 ¥714
「国家の品格」
著:藤原 正彦
新潮新書(新潮社)
第一章 近代的合理精神の限界
第二章 「論理」だけでは世界が破綻する
第三章 自由、平等、民主主義を疑う
第四章 「情緒」と「形」の国、日本
第五章 「武士道精神」の復活を
第六章 なぜ「情緒と形」が大事なのか
第七章 国家の品格
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
無闇に「愛国心」を煽る書ではないです。
祖国を愛する心を養う本です。
同じことに見えて違うらしいのです。
難しいけど、何となくこういうことかな?と
自分のなかでたまには一生懸命考えることも大事。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
最初読み始めたときはちょっと「えー?」
「それはちょっと言い過ぎでは」と思う記述もありました。
『もしも私の愛する日本が世界を征服していたなら、今ごろ世界中の子供たちが泣きながら日本語を勉強していたはずです。まことに残念です。』『欧米は野蛮だった』『当時のヨーロッパはその程度のものでした』
そんな文章を読んでしまったら、ナンだろこのひとと思うかも。
ときどきツッコミ入れたくなっても、しかし、終わりまで読めば、筆者の言いたいことが伝わってくるような気がします。講演内容を原稿に起こしたもので、分かりやすい簡単な例えを多く引用して説明されています。
日本人としてのホコリがどうこう言われる本はたくさんあります。今まででも多くの本がベストセラーになっています。昔、『「NO」と言える日本』なんてのもありました。多くはアメリカの日本州なんて自分たちでさえ揶揄ってしまう立場の国を、憂うものです。
だからと言って、他国の文化や芸術、風俗や習慣などを貶めて、自国のそれを高みに据え、だから日本はすごいんだ、日本人は偉いんだと言っても詮無いことです。確かに比較する対象があれば、違いを楽しむことも出来ます。進化や変節を比べて、明らかにこっちのほうが優れているよなあ!と言いたくなる事もたくさんあるかもしれない。でも、大雑把な解釈だけで優劣を説明する本はあまり好きではありません。
この本ももしかしたら、そういうところで読者の鬱屈した感情を晴らそうとしているのかな、とカンチガイしていましたが、そればっかりではない。(ちょっと贔屓しているなあと思うトコもちらほら)
時事問題、海外からやってくるニュースなどを観ながら、ネット速報や新聞記事、テレビの画面にぶつぶつ言いたくなる人たちのモヤモヤした気持ちを、ちょっとだけピリっとさせて、僅かながら「そうそう、そういうことが言いたいのかも?」なんて思いたくなる。
それから面白かったのが、「論理を徹底すれば問題が解決出来る」という考え方が誤りだとはっきり言っているところ。逆に覚えていたり、論理的がいいんだ、そうじゃなきゃ頭が悪いって思われちゃう?なんて理系で知的なひとびとに憧れを抱いてるような数学嫌い文系人間はけっこういるんじゃないかと思います。そういう自分を慰めるには、かなり勇気づけられちゃうことが書いてありました(笑)
自分の言い訳にするだけじゃなくて、筆者の言っていることも一理あると思わせる持っていきかたは上手いと思いました。これは矛盾になりますが、ちゃんと筋道立ってて、論理の弱点を突くのに論理的に説明してるから?さて、そのへんは賢い人が読んでみた感想を聞いてみたいです。数学の先生がこういってるんだからあながち嘘じゃないだろう!と信じたくなるのも興味深いことだと思います。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
新渡戸さんの『武士道』はおじさまたちのロマンであり、
バイブルなんだろうな、と時々思います。
(おじさまに限らず、多くの老若男女にも?)
これは皮肉とかではなく、素直に。
確かに興味深いし、大切なこと、こうでありたいと
考えることは、たくさん書いてあります。
『武士道』が執筆された当時に武士道は失われつつあったし、
もしかしたらもう既に失われていたかもしれない。
そもそも武士道に書かれていたことが実際全部真かというと
今は推測しか出来ないです。たぶんそうでは無かったのでは
ないかと考えられます。
武士道も騎士道も、筆者がアメリカの事例を挙げていた
「ダブルスタンダード」だと言えるのでは、と思います。
男女の差なく、下層階級、身分で虐げられた人たちに対して
まんべんなく適用されたかというとそうではないだろうからです。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
でも、理想としていつも掲げていたいことはあると思います。
実際には身をもって行うことが困難であっても。
近代化をひた走る日本が失ったもの。
それは明治維新から今までずっと言われてきたことなのかも。
==================================================
今回の本を読むきっかけは・・・
またしても家族が、人に薦められて購入したものを
先に読ませてもらいました。
向こうはビジネス関係者によく勧められてくるんですねぇ。
仕事上のお付き合いでも、同僚との話でも、話題のひとつに
なるのかもしれないです。書いてあることをそのまま、さも
自分の意見のように言うのはイマイチだと思います。
酒の席で熱く語るお父さんはご注意。
しばらく読んでる本にファンタジーの香りが全然ない。
小説読みたいなー。
「国家の品格」
著:藤原 正彦
新潮新書(新潮社)
第一章 近代的合理精神の限界
第二章 「論理」だけでは世界が破綻する
第三章 自由、平等、民主主義を疑う
第四章 「情緒」と「形」の国、日本
第五章 「武士道精神」の復活を
第六章 なぜ「情緒と形」が大事なのか
第七章 国家の品格
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
無闇に「愛国心」を煽る書ではないです。
祖国を愛する心を養う本です。
同じことに見えて違うらしいのです。
難しいけど、何となくこういうことかな?と
自分のなかでたまには一生懸命考えることも大事。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
最初読み始めたときはちょっと「えー?」
「それはちょっと言い過ぎでは」と思う記述もありました。
『もしも私の愛する日本が世界を征服していたなら、今ごろ世界中の子供たちが泣きながら日本語を勉強していたはずです。まことに残念です。』『欧米は野蛮だった』『当時のヨーロッパはその程度のものでした』
そんな文章を読んでしまったら、ナンだろこのひとと思うかも。
ときどきツッコミ入れたくなっても、しかし、終わりまで読めば、筆者の言いたいことが伝わってくるような気がします。講演内容を原稿に起こしたもので、分かりやすい簡単な例えを多く引用して説明されています。
日本人としてのホコリがどうこう言われる本はたくさんあります。今まででも多くの本がベストセラーになっています。昔、『「NO」と言える日本』なんてのもありました。多くはアメリカの日本州なんて自分たちでさえ揶揄ってしまう立場の国を、憂うものです。
だからと言って、他国の文化や芸術、風俗や習慣などを貶めて、自国のそれを高みに据え、だから日本はすごいんだ、日本人は偉いんだと言っても詮無いことです。確かに比較する対象があれば、違いを楽しむことも出来ます。進化や変節を比べて、明らかにこっちのほうが優れているよなあ!と言いたくなる事もたくさんあるかもしれない。でも、大雑把な解釈だけで優劣を説明する本はあまり好きではありません。
この本ももしかしたら、そういうところで読者の鬱屈した感情を晴らそうとしているのかな、とカンチガイしていましたが、そればっかりではない。(ちょっと贔屓しているなあと思うトコもちらほら)
時事問題、海外からやってくるニュースなどを観ながら、ネット速報や新聞記事、テレビの画面にぶつぶつ言いたくなる人たちのモヤモヤした気持ちを、ちょっとだけピリっとさせて、僅かながら「そうそう、そういうことが言いたいのかも?」なんて思いたくなる。
それから面白かったのが、「論理を徹底すれば問題が解決出来る」という考え方が誤りだとはっきり言っているところ。逆に覚えていたり、論理的がいいんだ、そうじゃなきゃ頭が悪いって思われちゃう?なんて理系で知的なひとびとに憧れを抱いてるような数学嫌い文系人間はけっこういるんじゃないかと思います。そういう自分を慰めるには、かなり勇気づけられちゃうことが書いてありました(笑)
自分の言い訳にするだけじゃなくて、筆者の言っていることも一理あると思わせる持っていきかたは上手いと思いました。これは矛盾になりますが、ちゃんと筋道立ってて、論理の弱点を突くのに論理的に説明してるから?さて、そのへんは賢い人が読んでみた感想を聞いてみたいです。数学の先生がこういってるんだからあながち嘘じゃないだろう!と信じたくなるのも興味深いことだと思います。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
新渡戸さんの『武士道』はおじさまたちのロマンであり、
バイブルなんだろうな、と時々思います。
(おじさまに限らず、多くの老若男女にも?)
これは皮肉とかではなく、素直に。
確かに興味深いし、大切なこと、こうでありたいと
考えることは、たくさん書いてあります。
『武士道』が執筆された当時に武士道は失われつつあったし、
もしかしたらもう既に失われていたかもしれない。
そもそも武士道に書かれていたことが実際全部真かというと
今は推測しか出来ないです。たぶんそうでは無かったのでは
ないかと考えられます。
武士道も騎士道も、筆者がアメリカの事例を挙げていた
「ダブルスタンダード」だと言えるのでは、と思います。
男女の差なく、下層階級、身分で虐げられた人たちに対して
まんべんなく適用されたかというとそうではないだろうからです。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
でも、理想としていつも掲げていたいことはあると思います。
実際には身をもって行うことが困難であっても。
近代化をひた走る日本が失ったもの。
それは明治維新から今までずっと言われてきたことなのかも。
==================================================
今回の本を読むきっかけは・・・
またしても家族が、人に薦められて購入したものを
先に読ませてもらいました。
向こうはビジネス関係者によく勧められてくるんですねぇ。
仕事上のお付き合いでも、同僚との話でも、話題のひとつに
なるのかもしれないです。書いてあることをそのまま、さも
自分の意見のように言うのはイマイチだと思います。
酒の席で熱く語るお父さんはご注意。
しばらく読んでる本にファンタジーの香りが全然ない。
小説読みたいなー。
ISBN:4887594011 単行本 2005/08/18 ¥1,365
『自分を磨く方法』
著:アレクサンダー・ロックハート
訳:弓場 隆
ディスカヴァートゥエンティワン
THE PORTABLE PEP TALK:Motivational Morsels
for Inspiring You to Succeed by Alexander Lockhart
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
やればできる
自分を信じる
言い訳をしない
行動を起こす
大志を抱く
成功を確信する
決意する
努力を重ねる
励ます
情熱を持つ
意欲を燃やす
粘り強く挑む
逆境に立ち向かう
怒りをコントロールする
人格を高める
勇気を持つ
批判にうまく対処する
失敗の意味を考える
失敗への恐怖を乗り越える
忍耐力を持つ
他人のうわさ話をしない
欲をかきすぎない
自分を過小評価しない
間違いに固執しない
ネガティブな姿勢を取り除く
障害から学ぶ
苦闘を大切にする
状況をすなおに受け入れる
さらにもっと努力する
目標を設定する
よい習慣を身につける
正直に徹する
よい影響だけを受ける
自分の能力に気づく
自尊心を高める
自分を高める
時間をうまく使う
バリバリ仕事をする
希望を持つ
親切心を持つ
ポジティブ思考を心がける
勝利をおさめる
チームワークを大切にする
変化を受け入れる
ネガティブな予想をしない
楽天的になる
成長する
知識を活用する
明確な目的を持つ
許す
喜んで代償を払う
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
平易な言葉で、比喩を用いて説明される
これらのコトバの意味。
あまりにももっともで、改めて言われることが
かえって新鮮(?)
途中、綺麗な写真とともに、文中の大切らしいコトバが
再び綴られているので、そこだけ眺めても
なんとなく激励にはなりそう。
誰でも「わかってるそんなこと」と思うかもしれない。
でも、ちゃんと整理して、そりゃもっともだと
思われるように説明するのは、案外難しい。
こういう内容の割には説教臭くない。
特に押し付けられている気がしない。
訳文が上手いんだろうか。どうだろう。
自分自身に言い聞かせるだけじゃなく、
上司が部下に、同僚が仲間に
親御さんがお子さんに・・・友達を励ますとき、
噛み砕いて説明したくなったときに
ちょっとだけ役に立つかもしれない(笑)
全てを肯定しなくても、なんでも鵜呑みにしなくても
自分がそうだと思うことは、見習えば良い。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
日本経済新聞の紙面下欄の広告を読んで
面白そうだと思い、購入。
このところカタログやらネットの紹介やら、
新聞記事等でうっかり本を買っちゃうところがあるので
どうも勧誘されやすくなっているらしい。
こういうときに妙に高い壺やお守り札なんか
よく考えもしないで買っちゃうんだろうかと思った。
このテの本は、人に読んでいることが知れるのが
何となく恥ずかしいような気がする。
自己啓発本の多くはそうかもしれない。
迷って聖書やら仏教の経典を読むことについては
特にツッコミを受けないような(いや、どうかな?)
気がするが、人生(生きかた)指南本ってのはどうも。
大人になれば、もう誰も言ってはくれないこと。
自分でもうすうすわかっていながら
ちゃんと観ようとしないこと。
そういうのを、活字で読むのもいいかも。
しかし・・・「ごもっとも、そのとおりだよ!
うんうんいいこというねえ」なんて、
ただ感心しておおいに頷くだけじゃあ、
なんにもならないのであった。
何回も読み返して鼓舞するのがいいんだろうなあ。
『自分を磨く方法』
著:アレクサンダー・ロックハート
訳:弓場 隆
ディスカヴァートゥエンティワン
THE PORTABLE PEP TALK:Motivational Morsels
for Inspiring You to Succeed by Alexander Lockhart
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
やればできる
自分を信じる
言い訳をしない
行動を起こす
大志を抱く
成功を確信する
決意する
努力を重ねる
励ます
情熱を持つ
意欲を燃やす
粘り強く挑む
逆境に立ち向かう
怒りをコントロールする
人格を高める
勇気を持つ
批判にうまく対処する
失敗の意味を考える
失敗への恐怖を乗り越える
忍耐力を持つ
他人のうわさ話をしない
欲をかきすぎない
自分を過小評価しない
間違いに固執しない
ネガティブな姿勢を取り除く
障害から学ぶ
苦闘を大切にする
状況をすなおに受け入れる
さらにもっと努力する
目標を設定する
よい習慣を身につける
正直に徹する
よい影響だけを受ける
自分の能力に気づく
自尊心を高める
自分を高める
時間をうまく使う
バリバリ仕事をする
希望を持つ
親切心を持つ
ポジティブ思考を心がける
勝利をおさめる
チームワークを大切にする
変化を受け入れる
ネガティブな予想をしない
楽天的になる
成長する
知識を活用する
明確な目的を持つ
許す
喜んで代償を払う
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
平易な言葉で、比喩を用いて説明される
これらのコトバの意味。
あまりにももっともで、改めて言われることが
かえって新鮮(?)
途中、綺麗な写真とともに、文中の大切らしいコトバが
再び綴られているので、そこだけ眺めても
なんとなく激励にはなりそう。
誰でも「わかってるそんなこと」と思うかもしれない。
でも、ちゃんと整理して、そりゃもっともだと
思われるように説明するのは、案外難しい。
こういう内容の割には説教臭くない。
特に押し付けられている気がしない。
訳文が上手いんだろうか。どうだろう。
自分自身に言い聞かせるだけじゃなく、
上司が部下に、同僚が仲間に
親御さんがお子さんに・・・友達を励ますとき、
噛み砕いて説明したくなったときに
ちょっとだけ役に立つかもしれない(笑)
全てを肯定しなくても、なんでも鵜呑みにしなくても
自分がそうだと思うことは、見習えば良い。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
日本経済新聞の紙面下欄の広告を読んで
面白そうだと思い、購入。
このところカタログやらネットの紹介やら、
新聞記事等でうっかり本を買っちゃうところがあるので
どうも勧誘されやすくなっているらしい。
こういうときに妙に高い壺やお守り札なんか
よく考えもしないで買っちゃうんだろうかと思った。
このテの本は、人に読んでいることが知れるのが
何となく恥ずかしいような気がする。
自己啓発本の多くはそうかもしれない。
迷って聖書やら仏教の経典を読むことについては
特にツッコミを受けないような(いや、どうかな?)
気がするが、人生(生きかた)指南本ってのはどうも。
大人になれば、もう誰も言ってはくれないこと。
自分でもうすうすわかっていながら
ちゃんと観ようとしないこと。
そういうのを、活字で読むのもいいかも。
しかし・・・「ごもっとも、そのとおりだよ!
うんうんいいこというねえ」なんて、
ただ感心しておおいに頷くだけじゃあ、
なんにもならないのであった。
何回も読み返して鼓舞するのがいいんだろうなあ。
ISBN:4872901517 単行本 2003/04 ¥1,050
藤本雅秋<写真>
坂崎千春<文>
WAVE出版
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
タイトルも可愛い、うさぎの写真集。
ぎゃあああぁぁぁかわいいいいいいいぃぃ!!
・・・と悶える本。
またはフワフワを想像して癒される本。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
小動物は何でも可愛いが、写真の摂り方もまた上手い。
自然の姿より演出された写真が多いです。
カワイイが目的のものはそういうのが多いかな。
おうちのなかで階段にちょこんと置いたり、
カゴのなかに入れちゃったり。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
極寒の大自然でペンギンを追う、とか
サバンナを駆ける動物たち、とか
そういうのとはぜんぜん趣向が違います。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ウサギがそれほど好きだったわけじゃないのですが。
冬物を扱うツーハンカタログを眺めていたら
丁度欲しいものの横にうまいこと掲載されていて
ふわふわぽかぽかな気分に釣られて取り寄せ。
私が感心したのは、本を扱ってる頁じゃない
コーナーにこの本を紹介したことだ。
少なくとも確実に一人はつられたんだし。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
秋から冬に店頭に並ぶ「うさぎの毛」を使ったマフラー、
あったかそうだけどときどきぞっとすることもある。
ああ、ウサギなんだなあ。何羽分かな。
と店先で考え込んでたら、家族に
毎年何万も何千万もそれよかもっとかな、
うさぎ使われてるんだ、という話をされてしまった。
えーと・・・それとは関係ないけど
今年は結局出さなかったなあ。うさぎマフラー。
マフラーもそうだけど、かばんについたフワフワとか。
かわいいし、あったかいんだけどね。
ぴよぴよひよこが可愛くても
ヤキトリ屋で一杯やるのは好きだ。
ウサギを大事に飼っているひとが、いっさいがっさい
兎製品を排除してるってことは無さそうだし。
モトのカタチをちょっとだけ思い浮かべる気持ちすら
「偽善」だと思わないといけないのかなと
ぐるぐるまわって、まあでも、考えすぎてもダメだ、
というほうに落ち着きます。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
本は、うさぎ好きにはもれなくお薦めする
愛情に溢れた写真集です。
藤本雅秋<写真>
坂崎千春<文>
WAVE出版
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
タイトルも可愛い、うさぎの写真集。
ぎゃあああぁぁぁかわいいいいいいいぃぃ!!
・・・と悶える本。
またはフワフワを想像して癒される本。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
小動物は何でも可愛いが、写真の摂り方もまた上手い。
自然の姿より演出された写真が多いです。
カワイイが目的のものはそういうのが多いかな。
おうちのなかで階段にちょこんと置いたり、
カゴのなかに入れちゃったり。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
極寒の大自然でペンギンを追う、とか
サバンナを駆ける動物たち、とか
そういうのとはぜんぜん趣向が違います。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ウサギがそれほど好きだったわけじゃないのですが。
冬物を扱うツーハンカタログを眺めていたら
丁度欲しいものの横にうまいこと掲載されていて
ふわふわぽかぽかな気分に釣られて取り寄せ。
私が感心したのは、本を扱ってる頁じゃない
コーナーにこの本を紹介したことだ。
少なくとも確実に一人はつられたんだし。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
秋から冬に店頭に並ぶ「うさぎの毛」を使ったマフラー、
あったかそうだけどときどきぞっとすることもある。
ああ、ウサギなんだなあ。何羽分かな。
と店先で考え込んでたら、家族に
毎年何万も何千万もそれよかもっとかな、
うさぎ使われてるんだ、という話をされてしまった。
えーと・・・それとは関係ないけど
今年は結局出さなかったなあ。うさぎマフラー。
マフラーもそうだけど、かばんについたフワフワとか。
かわいいし、あったかいんだけどね。
ぴよぴよひよこが可愛くても
ヤキトリ屋で一杯やるのは好きだ。
ウサギを大事に飼っているひとが、いっさいがっさい
兎製品を排除してるってことは無さそうだし。
モトのカタチをちょっとだけ思い浮かべる気持ちすら
「偽善」だと思わないといけないのかなと
ぐるぐるまわって、まあでも、考えすぎてもダメだ、
というほうに落ち着きます。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
本は、うさぎ好きにはもれなくお薦めする
愛情に溢れた写真集です。
ISBN:4062131676 単行本 2005/11/03 ¥1,000
「生協の白石さん」
著:白石昌則
東京農工大学の学生の皆さん (講談社)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
大学生協のひとことカードの話だと知って
懐かしくなって読んでみた。(買っちゃったよ!)
なるほどー。
面白かった。
だからどうとかなんとか、特に要らないのだろう。
ビジネス書に無理に仕立てることもない。
しかし、モノを売る人なら読んでみるといいかも。
学校の先生も。親も。
何でこんなに「ひとこと返事」が欲しいのかなあとか
寂しいんだろうとか、たまーに誰かに聞いて欲しいことある、
とか。そういうくくりばっかりで〆ることもなさそう。
でも、今こうしてこんなに誠実に、向かい合って、
(たまに変化球で)
返事をしてくれるひとが身近にいるだろうか。
それと、些細なことやくだらないこと書いて送る人が
けっこういるもんだなあ・・・と。
つぶやきが溢れてるネットのなかを観れば
それもそうかなーと思ったり。
自分も毎日のように意味のないようなダダモレの
言葉をえんえんと出力してるわけで。
お気に入りはやっぱり「ロックの三大要素」。ステキー!
「生協の白石さん」
著:白石昌則
東京農工大学の学生の皆さん (講談社)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
大学生協のひとことカードの話だと知って
懐かしくなって読んでみた。(買っちゃったよ!)
なるほどー。
面白かった。
だからどうとかなんとか、特に要らないのだろう。
ビジネス書に無理に仕立てることもない。
しかし、モノを売る人なら読んでみるといいかも。
学校の先生も。親も。
何でこんなに「ひとこと返事」が欲しいのかなあとか
寂しいんだろうとか、たまーに誰かに聞いて欲しいことある、
とか。そういうくくりばっかりで〆ることもなさそう。
でも、今こうしてこんなに誠実に、向かい合って、
(たまに変化球で)
返事をしてくれるひとが身近にいるだろうか。
それと、些細なことやくだらないこと書いて送る人が
けっこういるもんだなあ・・・と。
つぶやきが溢れてるネットのなかを観れば
それもそうかなーと思ったり。
自分も毎日のように意味のないようなダダモレの
言葉をえんえんと出力してるわけで。
お気に入りはやっぱり「ロックの三大要素」。ステキー!
ISBN:403516500X 単行本 2005/04/05 ¥1,050
「雪の女王」The Snow Queen
著:ハンス・クリスチャン・アンデルセン
Hans Christian Andersen
訳:木村由利子
挿絵:朝比奈かおる
偕成社
==================================================
第一話 かがみとそのかけらについて
第ニ話 男の子と女の子
第三話 魔法使いのおばあさんの花園
第四話 王子さまと王女さま
第五話 小さな山ぞくのむすめ
第六話 ラップ女とフィン女
第七話 雪の女王のお城でおこったことと、
それからどうなったか
あとがき
==================================================
悪魔がつくったひとつの鏡。
映すものをすべて歪ませてしまいます。
人間のみならず、神や天使をもバカにしようと
小悪魔たちが鏡を持って空高く上っていくうち、鏡が笑い始め
その揺れのおかげで、鏡は地面に落っこちてしまいます。
砕けた散った無数の欠片は、ひとびとの瞳や心臓に刺さり
その心を歪ませるのでした・・・。
ゲルダと仲良しのカイの瞳にもその欠片が入り
別人のようになってしまいました。やがて彼は
雪の女王といっしょにどこかへ行ってしまいます。
カイのことを心配したゲルダは、彼の居所を尋ねようと
河に近付き、流されてしまいました。
そうしてゲルダのカイを探す旅が始まります。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
NHKで放映している「雪の女王」のアニメーションは
観ていないのですが、たまに予告などを見た際に、
そういえばどんな話だったかなあと懐かしく思い、
装丁が綺麗なものを探して買いました。
訳文もわかりやすく、字も大きく、子供から大人まで
楽しめる本になっていると思います。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
大人が童話と呼ばれる作品を読むとき、
どうしても今までの知りえた脳内の「情報」
無駄な「知識」を照らし合わせ、思い浮かべ、
文面から素直に受け取るより、自分の解釈で深読みするのは
仕方の無いことだと思います。
また、例え子供たちのために作られたものであっても
作品を綴る側は大人であり、平易な言葉の中に比喩をこめ
さまざまなメッセージを織り込んでいるでしょう。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
印象的だったのは魔法使いのおばあさんの家での話。
庭で、たくさんの花たちがそれぞれ夢のような物語を
ゲルダに話してくれます。短く不思議なエピソードには
もっと長い物語が隠されているような気がしました。
好きなのは山賊の娘。
ラストの台詞がいいのです。
幼いころの友情や愛を信じて、けなげに必死に捜し求め、
自分の力で進んでいくゲルダの様子には打たれるものがありますが、
その対象であるカイちゃんにあんまり魅力を感じないのは、
なんででしょう。
どんどん大人解釈してみても楽しい、味わいのある一篇です。
「雪の女王」The Snow Queen
著:ハンス・クリスチャン・アンデルセン
Hans Christian Andersen
訳:木村由利子
挿絵:朝比奈かおる
偕成社
==================================================
第一話 かがみとそのかけらについて
第ニ話 男の子と女の子
第三話 魔法使いのおばあさんの花園
第四話 王子さまと王女さま
第五話 小さな山ぞくのむすめ
第六話 ラップ女とフィン女
第七話 雪の女王のお城でおこったことと、
それからどうなったか
あとがき
==================================================
悪魔がつくったひとつの鏡。
映すものをすべて歪ませてしまいます。
人間のみならず、神や天使をもバカにしようと
小悪魔たちが鏡を持って空高く上っていくうち、鏡が笑い始め
その揺れのおかげで、鏡は地面に落っこちてしまいます。
砕けた散った無数の欠片は、ひとびとの瞳や心臓に刺さり
その心を歪ませるのでした・・・。
ゲルダと仲良しのカイの瞳にもその欠片が入り
別人のようになってしまいました。やがて彼は
雪の女王といっしょにどこかへ行ってしまいます。
カイのことを心配したゲルダは、彼の居所を尋ねようと
河に近付き、流されてしまいました。
そうしてゲルダのカイを探す旅が始まります。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
NHKで放映している「雪の女王」のアニメーションは
観ていないのですが、たまに予告などを見た際に、
そういえばどんな話だったかなあと懐かしく思い、
装丁が綺麗なものを探して買いました。
訳文もわかりやすく、字も大きく、子供から大人まで
楽しめる本になっていると思います。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
大人が童話と呼ばれる作品を読むとき、
どうしても今までの知りえた脳内の「情報」
無駄な「知識」を照らし合わせ、思い浮かべ、
文面から素直に受け取るより、自分の解釈で深読みするのは
仕方の無いことだと思います。
また、例え子供たちのために作られたものであっても
作品を綴る側は大人であり、平易な言葉の中に比喩をこめ
さまざまなメッセージを織り込んでいるでしょう。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
印象的だったのは魔法使いのおばあさんの家での話。
庭で、たくさんの花たちがそれぞれ夢のような物語を
ゲルダに話してくれます。短く不思議なエピソードには
もっと長い物語が隠されているような気がしました。
好きなのは山賊の娘。
ラストの台詞がいいのです。
幼いころの友情や愛を信じて、けなげに必死に捜し求め、
自分の力で進んでいくゲルダの様子には打たれるものがありますが、
その対象であるカイちゃんにあんまり魅力を感じないのは、
なんででしょう。
どんどん大人解釈してみても楽しい、味わいのある一篇です。
エスターハージー王子の冒険
2005年10月24日 読了本
ISBN:4566012859 1999/10 ¥1,680
『エスターハージー王子の冒険』
ESTERHAZY
Eine Hasengeschichte
著:イレーネ・ディーシェ
ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー
絵:ミヒャエル・ゾーヴァ
by Irene Dische/Hans Magnus Enzensberger
Illustrated by Michael Sowa
翻訳:那須田 淳/木本 栄(共訳)
評論社
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
エスターハージー家はオーストリアでは有名な貴族ウサギの家系。
先祖代々、子沢山で栄えてきたのだが、ここんとこ数代に渡り
徐々に身体が小柄になってきています。
ちゃんと野菜を食べないで、チョコレートやケーキを食べてるから。
このままだとエスターハージーのウサギたちはミニチュアウサギに
なってしまう。ご当主ウサギは心配して、自分の孫たちを
世界に派遣し、体格のいいお嫁を探すように命じるのでした。
かくしてエスターハージー王子、本名が・・・
ミヒャエル・パウル・アントン・マリア・エスターハージー殿下
・サラダの王子一万二千七百九十二世・ニンジン河の王・・・・云々の
彼は、まだベルリンの壁のあったドイツに旅することになったのです。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
お話の作者さんより、挿絵のゾーヴァさんが有名かもしれない本。
私もゾーヴァさんの絵の展示会を観て、おっきな豹柄パンツを
気に入ってしまったウサギ王子の絵が好きになって、本を買いました。
絵も可愛いが、お話も良いです。
これ、絵本か児童書だと思ってましたが、
どうも内容からすると、大人のための童話でもあるようです。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ウサギが街中にいてもちっともおかしくないかわりに
人間たちに翻弄される世間知らずの王子様。
それから、ドイツの東西を分断した、「壁」。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
味のある素敵な挿絵も満足。
深く考えても、さらさら読んでも、
どっちにしても何か残る本だと思います。
『エスターハージー王子の冒険』
ESTERHAZY
Eine Hasengeschichte
著:イレーネ・ディーシェ
ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー
絵:ミヒャエル・ゾーヴァ
by Irene Dische/Hans Magnus Enzensberger
Illustrated by Michael Sowa
翻訳:那須田 淳/木本 栄(共訳)
評論社
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
エスターハージー家はオーストリアでは有名な貴族ウサギの家系。
先祖代々、子沢山で栄えてきたのだが、ここんとこ数代に渡り
徐々に身体が小柄になってきています。
ちゃんと野菜を食べないで、チョコレートやケーキを食べてるから。
このままだとエスターハージーのウサギたちはミニチュアウサギに
なってしまう。ご当主ウサギは心配して、自分の孫たちを
世界に派遣し、体格のいいお嫁を探すように命じるのでした。
かくしてエスターハージー王子、本名が・・・
ミヒャエル・パウル・アントン・マリア・エスターハージー殿下
・サラダの王子一万二千七百九十二世・ニンジン河の王・・・・云々の
彼は、まだベルリンの壁のあったドイツに旅することになったのです。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
お話の作者さんより、挿絵のゾーヴァさんが有名かもしれない本。
私もゾーヴァさんの絵の展示会を観て、おっきな豹柄パンツを
気に入ってしまったウサギ王子の絵が好きになって、本を買いました。
絵も可愛いが、お話も良いです。
これ、絵本か児童書だと思ってましたが、
どうも内容からすると、大人のための童話でもあるようです。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ウサギが街中にいてもちっともおかしくないかわりに
人間たちに翻弄される世間知らずの王子様。
それから、ドイツの東西を分断した、「壁」。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
味のある素敵な挿絵も満足。
深く考えても、さらさら読んでも、
どっちにしても何か残る本だと思います。
ISBN:4199051511 2005/06/07 ¥700
著:田中芳樹/荻野目 悠樹
イラスト:九織ちまき
徳間デュアル文庫(徳間書店)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
オルヴィエート元首の娘エレオノーラはかろうじて<宙峡>崩壊の危機を
救った。しかし身を挺して自分を守ってくれたコンラットの言葉に
彼女の復讐心は微妙に揺れ動く。何もかも捨てて新しく生きていく道も
目の前にはあるかもしれない。重傷を負ったコンラットは、彼女への想いから、
また令嬢のある秘密を知るが故に、その野心を捨てさせようとする。
しかしエレオノーラはボスポラス帝国と対抗するローレンシア条約機構の
政治的な策略にはまってしまう。彼女の腹心の侍女であり親友のベアトリーチェと
共に、エレファンティナ=ローンセストン管制要塞に軟禁されてしまう。
一方、エレオノーラの父親、国家元首レオポルト・ファルネーゼの元に
娘の調査報告が届けられた。差出人からのメッセージは
<あなたの娘には宇宙の歴史を塗り替える力があります…>
父親が下した結論は、娘を欠片残さず宇宙から消し去るという事だった。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
久しぶりの続刊。
それまでどんな話だったかちょっと忘れてた。
前巻のラストで覚えているのは、<宙峡>の崩壊を食い止めるお嬢さんたちと
いつも危機になると助けに来る工作員コンビが奮闘するところ。
あとはコンラットがこれまたオイシイところを持って行ったなあと。
でもこれで死んじゃったら一気に読む気失くすだろうなと思ったこと。
良かった無事で。令嬢と彼のイライラするくらい焦れったい関係が
このシリーズの見所のひとつであるからして、まだ終局まで長そうなのに
こんなところで逝かれては悲しい。しかし今回はまた二人のすれ違いが明確に。
あと、やっぱり田中芳樹さん風味。
なんというか、ハシバシで銀英伝を思い出すのは仕方ないとしても
腹心の部下が主人を庇う、というのは何回も使えるエピソードでは
無さそうな気がする。今後どうするんだろ。
ベアトリーチェにしてもノーラの兄ジェラルドの部下アルフォンソも
二人とも常に生命の危機に曝されているような気がします。
実際の筆者はどのくらい自分の味を出せているのか
今のところよくわからない。
今回は兄妹二人ともそれぞれの敵から暗殺されそうになるのだが、
エピソードとしてはさらに大きく動く前の準備段階という気がする。
たくさん読んだなあ、と思うわりには、ぎっちり内容が濃かった気がしない。
この先どうなるのか、また数年新刊が出るのを待たされるのだろうか。
設定や状況説明、人物について細かくてそれを把握するのが大変。
壮大な物語を読むとき、それも楽しみのひとつではあるが・・・。
複雑にからみあう人物関係やら、勢力図やら・・・癖のあるキャラクター
それぞれを主役にしてもおかしくないので、相変わらずノーラの存在が
際立たない。何かと周囲に助けてもらうことが多いからか。
彼女が自分自身で運命を切り拓く様子がもっと派手だといいのだけれど
兄ジェラルドが主人公みたいなときもあるし、それぞれの腹心がメインで
事情を抱えているときはそっちに目移りするし。
今回の巻では、脇役のガーラも強烈に出張ってきてました。
このイラストが彼なら、美形悪役でけってい。
前の巻までは意識してなくて、嫌なタイプだなーと思ってましたが。
顔がいいとやはり得なのだ。あ、でももしかしてもう出ない?
野望を抱く男性が主人公の場合、恋心を抱く対象から、
「危ないことはせず自分のためにその野心を捨ててくれ」と言われても、
こんなに揺れるだろうか。
女性が主人公ならではの揺らぎっぷり、その描写かな。
野望円舞曲のシリーズを読むたびに思うのは
ヒロインにあまり共感することができないということだ。
目的のために手段を選ばなくとも、自分の決めた道に邁進する姿は
少なくとももっと主人公に寄り添える要素になると思うのに。
彼女の場合は極めて個人的=父親に復讐するという理由のために
多くの人間を滅ぼし、窮地に立たせ、宇宙を混乱させる要因の一部を作っている。
彼女自身の秘密や、暗躍する団体や個人がからむので複雑化していることは
確かにあるのだが。それは置いておいて。
野望を抱くきっかけなど、些細なものであることは多い。
貧乏で苦しみ金が欲しい、名誉と力が欲しい。
誰かを見返したい、そんな「個人的」な理由から始まることは多い。
ほとんどそうかもしれない。
好きな人の言葉にも、親友や関係のない人々を巻き込んでいるという自責にも
揺れながら、頑張って前を向いて、振り返ることをヨシとしない・・・
こうして書くと如何にも主人公としての魅力があるような彼女が
どうして時折ただのエゴイストにしか見えないのか。
禁忌の技がノーラに人間ではない力を持たせたとしても、今はそれで
どうなるものでもない。力の無い小娘が大きな力を持つ父親に反抗する様子に
振り回されて、時々死にそうな程の迷惑を被る周りの人間が哀れだと
あえてそう書いているとしか思えない。
だからこそコンラットにああいう台詞を言わせるのだと思う。
その彼女が今後どうするのか、どうなるのかはまだ気になるので
続刊を気長に待とうと思います。
願わくばもうちょっと、ヒロインが生きる活躍の場を与えて欲しい。
著:田中芳樹/荻野目 悠樹
イラスト:九織ちまき
徳間デュアル文庫(徳間書店)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
オルヴィエート元首の娘エレオノーラはかろうじて<宙峡>崩壊の危機を
救った。しかし身を挺して自分を守ってくれたコンラットの言葉に
彼女の復讐心は微妙に揺れ動く。何もかも捨てて新しく生きていく道も
目の前にはあるかもしれない。重傷を負ったコンラットは、彼女への想いから、
また令嬢のある秘密を知るが故に、その野心を捨てさせようとする。
しかしエレオノーラはボスポラス帝国と対抗するローレンシア条約機構の
政治的な策略にはまってしまう。彼女の腹心の侍女であり親友のベアトリーチェと
共に、エレファンティナ=ローンセストン管制要塞に軟禁されてしまう。
一方、エレオノーラの父親、国家元首レオポルト・ファルネーゼの元に
娘の調査報告が届けられた。差出人からのメッセージは
<あなたの娘には宇宙の歴史を塗り替える力があります…>
父親が下した結論は、娘を欠片残さず宇宙から消し去るという事だった。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
久しぶりの続刊。
それまでどんな話だったかちょっと忘れてた。
前巻のラストで覚えているのは、<宙峡>の崩壊を食い止めるお嬢さんたちと
いつも危機になると助けに来る工作員コンビが奮闘するところ。
あとはコンラットがこれまたオイシイところを持って行ったなあと。
でもこれで死んじゃったら一気に読む気失くすだろうなと思ったこと。
良かった無事で。令嬢と彼のイライラするくらい焦れったい関係が
このシリーズの見所のひとつであるからして、まだ終局まで長そうなのに
こんなところで逝かれては悲しい。しかし今回はまた二人のすれ違いが明確に。
あと、やっぱり田中芳樹さん風味。
なんというか、ハシバシで銀英伝を思い出すのは仕方ないとしても
腹心の部下が主人を庇う、というのは何回も使えるエピソードでは
無さそうな気がする。今後どうするんだろ。
ベアトリーチェにしてもノーラの兄ジェラルドの部下アルフォンソも
二人とも常に生命の危機に曝されているような気がします。
実際の筆者はどのくらい自分の味を出せているのか
今のところよくわからない。
今回は兄妹二人ともそれぞれの敵から暗殺されそうになるのだが、
エピソードとしてはさらに大きく動く前の準備段階という気がする。
たくさん読んだなあ、と思うわりには、ぎっちり内容が濃かった気がしない。
この先どうなるのか、また数年新刊が出るのを待たされるのだろうか。
設定や状況説明、人物について細かくてそれを把握するのが大変。
壮大な物語を読むとき、それも楽しみのひとつではあるが・・・。
複雑にからみあう人物関係やら、勢力図やら・・・癖のあるキャラクター
それぞれを主役にしてもおかしくないので、相変わらずノーラの存在が
際立たない。何かと周囲に助けてもらうことが多いからか。
彼女が自分自身で運命を切り拓く様子がもっと派手だといいのだけれど
兄ジェラルドが主人公みたいなときもあるし、それぞれの腹心がメインで
事情を抱えているときはそっちに目移りするし。
今回の巻では、脇役のガーラも強烈に出張ってきてました。
このイラストが彼なら、美形悪役でけってい。
前の巻までは意識してなくて、嫌なタイプだなーと思ってましたが。
顔がいいとやはり得なのだ。あ、でももしかしてもう出ない?
野望を抱く男性が主人公の場合、恋心を抱く対象から、
「危ないことはせず自分のためにその野心を捨ててくれ」と言われても、
こんなに揺れるだろうか。
女性が主人公ならではの揺らぎっぷり、その描写かな。
野望円舞曲のシリーズを読むたびに思うのは
ヒロインにあまり共感することができないということだ。
目的のために手段を選ばなくとも、自分の決めた道に邁進する姿は
少なくとももっと主人公に寄り添える要素になると思うのに。
彼女の場合は極めて個人的=父親に復讐するという理由のために
多くの人間を滅ぼし、窮地に立たせ、宇宙を混乱させる要因の一部を作っている。
彼女自身の秘密や、暗躍する団体や個人がからむので複雑化していることは
確かにあるのだが。それは置いておいて。
野望を抱くきっかけなど、些細なものであることは多い。
貧乏で苦しみ金が欲しい、名誉と力が欲しい。
誰かを見返したい、そんな「個人的」な理由から始まることは多い。
ほとんどそうかもしれない。
好きな人の言葉にも、親友や関係のない人々を巻き込んでいるという自責にも
揺れながら、頑張って前を向いて、振り返ることをヨシとしない・・・
こうして書くと如何にも主人公としての魅力があるような彼女が
どうして時折ただのエゴイストにしか見えないのか。
禁忌の技がノーラに人間ではない力を持たせたとしても、今はそれで
どうなるものでもない。力の無い小娘が大きな力を持つ父親に反抗する様子に
振り回されて、時々死にそうな程の迷惑を被る周りの人間が哀れだと
あえてそう書いているとしか思えない。
だからこそコンラットにああいう台詞を言わせるのだと思う。
その彼女が今後どうするのか、どうなるのかはまだ気になるので
続刊を気長に待とうと思います。
願わくばもうちょっと、ヒロインが生きる活躍の場を与えて欲しい。