梅原猛の『歎異抄』入門
2004年7月16日 読了本
ISBN:456963267X 新書 2004/05 ¥777
著:梅原 猛
PHP新書(PHP研究所)
優れた古典であり宗教書であると言われる『歎異抄』。
親鸞の教えや信仰について、弟子の唯円が記述したもの。
(・・・と判明したのが今も伝えられているらしい)
私は仏壇も神棚もない家に育ちましたが
向こうの実家が○宗○派のお寺の檀家(?)で
毎度法事等でお世話になっているため
生きてる間(予定)守るべき仏壇の背景くらい
勉強しておこうかとまた妙なトコから興味を持ってみたら
とりあえず『歎異抄』は読んでおいたら?という
家族のススメにより。(ながい!)
梅原さんのお話はいつも面白いし、
原文&現代語訳と解説つきってことで選ぶ。
欧州史本を読むとキリスト教と切り離せないわけで。
どうせなら世界のいろんな宗教史についても
大雑把でいいから知りたい。
実際のところ、神社仏閣巡りが好きな割にゃ〜、
寺ごとにいちいち何宗何派で開祖が誰で、ってのは
余程有名じゃないとあんまり意識してなかったのも
今頃になって悔やまれる。
日本史でオベンキョウしたのは「表(図)」ですねー。
なんとか宗(その特徴)−始めた人−寺名。
覚えているようでごっちゃになってたり。
で、本のナカミは・・・
仏教の日本伝来から法然・親鸞・そして(唯円により)
歎異抄が書かれた状況と、その内容についてなど
梅原さんの講義が前半あって、後半に原文と現代語訳
(序言、第一条〜第十八条、後序、附録、奥書)が
収録されています。
底本とされているのは蓮如上人が書き写した(と伝わる)
最古の写本を充実に版刻した『定本親鸞聖人』第四巻。
--------------------------------------
この「歎異抄」はながいこと、某寺に保管されたまま
外部の(もしかしたら内部にも)人間の目に
触れることがなかったらしいです。
その理由は、というと話すと長くなるので省略。
原文の<奥書>に蓮如の花押とともに
『於無宿善機、無左右不可許之者也。』
歎異抄の内容そのものについては
初めて読んだくらいじゃまだまだよくわかりません。
あらゆることで、サカサマが多くて。
もともと信仰については(どの宗教でも)
ツッコミ入れたくなる性質なので
(入れても詮無き事なんですがねえ)
書かれていることから何を読み取っていけばいいのか
一回目ではよくよく理解できませんでした。
『善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや』。
有名な一文について、また、宗教について
ちょっとでもこういうことなのかなと
考えるきっかけになったのは良かったです。
それから、歎異抄の内容にこだわるばかりでなく
親鸞という一人の宗教家の生涯や、その考え方を
いくつかの側面から追っていくのに、興味が尽きない本です。
著:梅原 猛
PHP新書(PHP研究所)
優れた古典であり宗教書であると言われる『歎異抄』。
親鸞の教えや信仰について、弟子の唯円が記述したもの。
(・・・と判明したのが今も伝えられているらしい)
私は仏壇も神棚もない家に育ちましたが
向こうの実家が○宗○派のお寺の檀家(?)で
毎度法事等でお世話になっているため
生きてる間(予定)守るべき仏壇の背景くらい
勉強しておこうかとまた妙なトコから興味を持ってみたら
とりあえず『歎異抄』は読んでおいたら?という
家族のススメにより。(ながい!)
梅原さんのお話はいつも面白いし、
原文&現代語訳と解説つきってことで選ぶ。
欧州史本を読むとキリスト教と切り離せないわけで。
どうせなら世界のいろんな宗教史についても
大雑把でいいから知りたい。
実際のところ、神社仏閣巡りが好きな割にゃ〜、
寺ごとにいちいち何宗何派で開祖が誰で、ってのは
余程有名じゃないとあんまり意識してなかったのも
今頃になって悔やまれる。
日本史でオベンキョウしたのは「表(図)」ですねー。
なんとか宗(その特徴)−始めた人−寺名。
覚えているようでごっちゃになってたり。
で、本のナカミは・・・
仏教の日本伝来から法然・親鸞・そして(唯円により)
歎異抄が書かれた状況と、その内容についてなど
梅原さんの講義が前半あって、後半に原文と現代語訳
(序言、第一条〜第十八条、後序、附録、奥書)が
収録されています。
底本とされているのは蓮如上人が書き写した(と伝わる)
最古の写本を充実に版刻した『定本親鸞聖人』第四巻。
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この「歎異抄」はながいこと、某寺に保管されたまま
外部の(もしかしたら内部にも)人間の目に
触れることがなかったらしいです。
その理由は、というと話すと長くなるので省略。
原文の<奥書>に蓮如の花押とともに
『於無宿善機、無左右不可許之者也。』
歎異抄の内容そのものについては
初めて読んだくらいじゃまだまだよくわかりません。
あらゆることで、サカサマが多くて。
もともと信仰については(どの宗教でも)
ツッコミ入れたくなる性質なので
(入れても詮無き事なんですがねえ)
書かれていることから何を読み取っていけばいいのか
一回目ではよくよく理解できませんでした。
『善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや』。
有名な一文について、また、宗教について
ちょっとでもこういうことなのかなと
考えるきっかけになったのは良かったです。
それから、歎異抄の内容にこだわるばかりでなく
親鸞という一人の宗教家の生涯や、その考え方を
いくつかの側面から追っていくのに、興味が尽きない本です。
だれも猫には気づかない
2004年7月15日 読了本
ISBN:4488597017 文庫 2003/02 ¥567
「だれも猫には気づかない」NO ONE NOTICED THE CAT
著:アン・マキャフリー Anne McCaffrey
訳:赤尾 秀子
創元推理文庫(東京創元社)
名摂政のマンガン・ティーゲが亡くなって
若き領主ジェイマス公を支えたのは、なんと
マンガンの遺した猫のニフィだった・・・
----------------------------------------
『天より授かりしもの』と同じく、
著者の孫娘に捧げられたファンタジー。
読みやすいパラッとした活字で、
Coverillustrationは末弥純さん。
大好きな物語『長靴をはいた猫』のように
しゃべる猫のお話かと思ったらそうではありませんでした。
それにしても最重要人物(?)のニフィ・キャットが
とても可愛く、また賢く勇敢で、
猫好きのひとにもたまらないかも。
脇役好きの私は、ジェイマスの最も信頼する友であり
臣下である侍従長、イリフィ男爵グレネジョンが大好きです。
「だれも猫には気づかない」NO ONE NOTICED THE CAT
著:アン・マキャフリー Anne McCaffrey
訳:赤尾 秀子
創元推理文庫(東京創元社)
名摂政のマンガン・ティーゲが亡くなって
若き領主ジェイマス公を支えたのは、なんと
マンガンの遺した猫のニフィだった・・・
----------------------------------------
『天より授かりしもの』と同じく、
著者の孫娘に捧げられたファンタジー。
読みやすいパラッとした活字で、
Coverillustrationは末弥純さん。
大好きな物語『長靴をはいた猫』のように
しゃべる猫のお話かと思ったらそうではありませんでした。
それにしても最重要人物(?)のニフィ・キャットが
とても可愛く、また賢く勇敢で、
猫好きのひとにもたまらないかも。
脇役好きの私は、ジェイマスの最も信頼する友であり
臣下である侍従長、イリフィ男爵グレネジョンが大好きです。
ISBN:4591081451 単行本 ポプラ社 2004/06/22 ¥1,000
グッドラック "Good Luck"
著:アレックス・ロビラ
フェルナンド・トリアス・デ・ベス
Alex Rovira & Fernand Trias de Bes
訳:田内 志文
『奇蹟のラストへ、七日間の旅が始まる』
(カバーあらすじより)
半世紀以上たってから、マックスが
公園で出会った旧友は変わり果てていた。
『君には運が微笑み、私には微笑まなかったのさ』
そう言う幼馴染のジムに、
マックスはひとつのお話を語り始める・・・。
------------------------------------
綺麗で可愛らしい装丁と
剣と魔法、騎士様が足を踏み入れる深い森・・・
<幸運のクローバー>を探す短い旅。
・・・などの御伽話のオブラートに包んだ
思いっきり人生指南&ビジネス書。
「金持ちA様と貧乏人B様」の童話版?(笑)
この本、売れているらしいですね〜・・・。
ええと、本にはさんであった
「グッドラックの言葉」というオマケのミニパンフの
たくさんの人の名言が面白かったです。
-----------------------------------------
家族が知人に薦められて、買ってきました。
ここ何年も滅多に読書をしなくなった人ですが
時折、仕事上の知り合いやら誰やらから
薦められたり(著作を買わされたり)して
いろいろ見せてくれます。
あと、自分で買うとするとP○P文庫とかな〜・・。
(こうのすけさん!)
嗜好がぜんぜん異なる為か、私が何か薦めても
サッパリ読む気が起こらないようですが
なーんか外の人に薦められるとイチコロらしい。何故だ。
そういや、私はあんまり人に本薦められたこと無いなぁ。
大好きジャンルが同じだったら、自分から
『何かない?』って尋ねて、読むことはあるけど、
そもそも薦められてもあんまり読まないのかしら。
(マンガは別〜)
本の広告や新聞記事の感想や批評なんかは、たまに参考にするのに。
うーんと。
七日たって、ですが
別に奇蹟でもなんでもなくて
もったいぶらなくても結果は歴然、序盤から予想がつく。
日本昔話の、いいじいさんわるいじいさんみたいな。
結末より、その途中、ふたりの騎士がそれぞれ
何をしたのか、何をしなかったのか・・・が重要、ってことで。
グッドラック "Good Luck"
著:アレックス・ロビラ
フェルナンド・トリアス・デ・ベス
Alex Rovira & Fernand Trias de Bes
訳:田内 志文
『奇蹟のラストへ、七日間の旅が始まる』
(カバーあらすじより)
半世紀以上たってから、マックスが
公園で出会った旧友は変わり果てていた。
『君には運が微笑み、私には微笑まなかったのさ』
そう言う幼馴染のジムに、
マックスはひとつのお話を語り始める・・・。
------------------------------------
綺麗で可愛らしい装丁と
剣と魔法、騎士様が足を踏み入れる深い森・・・
<幸運のクローバー>を探す短い旅。
・・・などの御伽話のオブラートに包んだ
思いっきり人生指南&ビジネス書。
「金持ちA様と貧乏人B様」の童話版?(笑)
この本、売れているらしいですね〜・・・。
ええと、本にはさんであった
「グッドラックの言葉」というオマケのミニパンフの
たくさんの人の名言が面白かったです。
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家族が知人に薦められて、買ってきました。
ここ何年も滅多に読書をしなくなった人ですが
時折、仕事上の知り合いやら誰やらから
薦められたり(著作を買わされたり)して
いろいろ見せてくれます。
あと、自分で買うとするとP○P文庫とかな〜・・。
(こうのすけさん!)
嗜好がぜんぜん異なる為か、私が何か薦めても
サッパリ読む気が起こらないようですが
なーんか外の人に薦められるとイチコロらしい。何故だ。
そういや、私はあんまり人に本薦められたこと無いなぁ。
大好きジャンルが同じだったら、自分から
『何かない?』って尋ねて、読むことはあるけど、
そもそも薦められてもあんまり読まないのかしら。
(マンガは別〜)
本の広告や新聞記事の感想や批評なんかは、たまに参考にするのに。
うーんと。
七日たって、ですが
別に奇蹟でもなんでもなくて
もったいぶらなくても結果は歴然、序盤から予想がつく。
日本昔話の、いいじいさんわるいじいさんみたいな。
結末より、その途中、ふたりの騎士がそれぞれ
何をしたのか、何をしなかったのか・・・が重要、ってことで。
ISBN:4167110083 文庫 2003/08 ¥490
著:東野 圭吾
文春文庫(文芸春秋)
『君が生まれる前から
僕たちが結ばれることは
決まっていた・・・・』(帯より)
第一章 夢想る ゆめみる
第二章 霊視る みえる
第三章 騒霊ぐ さわぐ
第四章 絞殺る しめる
第五章 予知る しる
-----------------------------------
草薙刑事が持ち込む不思議な事件を、
彼の学生時代からの友人、
物理学者の湯川のコンビ(?)のシリーズ2冊目。
予知夢や、幽霊としか思えない目撃証言、
ポルターガイスト・・・
事件に関わる奇妙なできごとを
湯川せんせーが「科学」で解きほぐす。
湯川、メガネなんですが・・・
モデルは佐野史郎さん。
この本の解説でも
前作「探偵ガリレオ」でも記述してある。
なので、このシリーズを読むときはだいたい
湯川が佐野さんに脳内変換(というか設定)されてます。
冒頭、帯に書いてあった文句ですが
ロマンスばっかの内容で
相思相愛の状態の王子様が言うならともかく
ストーカーの方が言う台詞となると
恐ろしい響きになりますな・・。
著:東野 圭吾
文春文庫(文芸春秋)
『君が生まれる前から
僕たちが結ばれることは
決まっていた・・・・』(帯より)
第一章 夢想る ゆめみる
第二章 霊視る みえる
第三章 騒霊ぐ さわぐ
第四章 絞殺る しめる
第五章 予知る しる
-----------------------------------
草薙刑事が持ち込む不思議な事件を、
彼の学生時代からの友人、
物理学者の湯川のコンビ(?)のシリーズ2冊目。
予知夢や、幽霊としか思えない目撃証言、
ポルターガイスト・・・
事件に関わる奇妙なできごとを
湯川せんせーが「科学」で解きほぐす。
湯川、メガネなんですが・・・
モデルは佐野史郎さん。
この本の解説でも
前作「探偵ガリレオ」でも記述してある。
なので、このシリーズを読むときはだいたい
湯川が佐野さんに脳内変換(というか設定)されてます。
冒頭、帯に書いてあった文句ですが
ロマンスばっかの内容で
相思相愛の状態の王子様が言うならともかく
ストーカーの方が言う台詞となると
恐ろしい響きになりますな・・。
ISBN:4151300031 文庫 2003/12 ¥714
アクロイド殺し
The Murder of Roger Ackroyd
著:アガサ・クリスティー Agatha Christie
訳:羽田詩津子
解説:笠井潔
クリスティー文庫3(早川書房)
-----------------------------------------
医師のジェームズ・シェパードは夜に連絡を受け
既に部屋で事切れたアクロイド氏を見つける・・・。
最愛の友ヘイスティングスが南米に行ってしまってから
引退生活を送るポワロ。ヘイスティングスの代わりに
シェパード医師と彼のおしゃべりな姉を相手に
彼独特の推理を披露していく。
------------------------------------------
読む前に「掟破り」だの「フェアかアンフェアか?の
議論を巻き起こした」だのという作品紹介コピーを
読んでしまった為、犯人が見当ついてしまった。
推理小説はもーまったくあらすじも紹介も触れずに
まっさら状態で読み始めるがいいのだ。
でも、あらかじめ『これくらいしか思い浮かばないな』という
「掟破り」を心に留めておいたため
クリスティーが蒔いたたくさんの種を見つけられて面白かった。
著者もそうだろうが、たぶん翻訳する人の、
ちょっとしたヒントの撒き散らし方(日本語表現)も
上手なんだろうなと思う。
犯人が予想通りのときって、
自分の賭けた馬が勝ったときの嬉しさに似てるなあ。
ヘイスティングスがいなくて寂しいわ。
すっかりポワロシリーズにはまったところで
そろそろクリスティ文庫は打ち止め。
他の本も持って行って良いと言ってくれたのだが
また実家に送り返すのも面倒だし、
手元にあるとどうしても読むのを後回しにしちゃいそう。
限られた時間内に読もう!とするから読めるのかな。
次回の帰省までどれだけクリスティ文庫が増えるか
楽しみにしてましょう。
その前に図書館で単行本借りて読んじゃいそうだな・・。
アクロイド殺し
The Murder of Roger Ackroyd
著:アガサ・クリスティー Agatha Christie
訳:羽田詩津子
解説:笠井潔
クリスティー文庫3(早川書房)
-----------------------------------------
医師のジェームズ・シェパードは夜に連絡を受け
既に部屋で事切れたアクロイド氏を見つける・・・。
最愛の友ヘイスティングスが南米に行ってしまってから
引退生活を送るポワロ。ヘイスティングスの代わりに
シェパード医師と彼のおしゃべりな姉を相手に
彼独特の推理を披露していく。
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読む前に「掟破り」だの「フェアかアンフェアか?の
議論を巻き起こした」だのという作品紹介コピーを
読んでしまった為、犯人が見当ついてしまった。
推理小説はもーまったくあらすじも紹介も触れずに
まっさら状態で読み始めるがいいのだ。
でも、あらかじめ『これくらいしか思い浮かばないな』という
「掟破り」を心に留めておいたため
クリスティーが蒔いたたくさんの種を見つけられて面白かった。
著者もそうだろうが、たぶん翻訳する人の、
ちょっとしたヒントの撒き散らし方(日本語表現)も
上手なんだろうなと思う。
犯人が予想通りのときって、
自分の賭けた馬が勝ったときの嬉しさに似てるなあ。
ヘイスティングスがいなくて寂しいわ。
すっかりポワロシリーズにはまったところで
そろそろクリスティ文庫は打ち止め。
他の本も持って行って良いと言ってくれたのだが
また実家に送り返すのも面倒だし、
手元にあるとどうしても読むのを後回しにしちゃいそう。
限られた時間内に読もう!とするから読めるのかな。
次回の帰省までどれだけクリスティ文庫が増えるか
楽しみにしてましょう。
その前に図書館で単行本借りて読んじゃいそうだな・・。
ISBN:4151300023 文庫 2004/01 ¥798
ゴルフ場殺人事件
The Murder on the Links
著:アガサ・クリスティー Agatha Christie
訳:田村隆一
解説:熊倉一雄
クリスティー文庫2(早川書房)
フランスに住むお金持ちのルノーが殺された。
そのあと、同じ形とデザインの短剣で刺され
正体不明の浮浪者が死んでいるのが見つかる。
二つの事件の関連はいったい・・・?
仏警察の嫌味〜なジロー刑事と推理を闘わせながら
(というか一方的にジローさんの負け)
ポワロが真相に近づいていく。
--------------------------------------
ヘイスティングスったら、シリーズずっと
登場するヒロインたちに惚れては振られるのかと
思ってたら、2作目にして・・・。あらあら。
翻訳者が作品ごとに違うみたいで
慣れたと思ったらまた違う訳文でちょっと読みづらいなあ。
でも作品数が膨大なので、仕方ないかな。
ゴルフ場殺人事件
The Murder on the Links
著:アガサ・クリスティー Agatha Christie
訳:田村隆一
解説:熊倉一雄
クリスティー文庫2(早川書房)
フランスに住むお金持ちのルノーが殺された。
そのあと、同じ形とデザインの短剣で刺され
正体不明の浮浪者が死んでいるのが見つかる。
二つの事件の関連はいったい・・・?
仏警察の嫌味〜なジロー刑事と推理を闘わせながら
(というか一方的にジローさんの負け)
ポワロが真相に近づいていく。
--------------------------------------
ヘイスティングスったら、シリーズずっと
登場するヒロインたちに惚れては振られるのかと
思ってたら、2作目にして・・・。あらあら。
翻訳者が作品ごとに違うみたいで
慣れたと思ったらまた違う訳文でちょっと読みづらいなあ。
でも作品数が膨大なので、仕方ないかな。
スタイルズ荘の怪事件
2004年7月8日 読了本
ISBN:4151300015 文庫 2003/10 ¥672
スタイルズ荘の怪事件
The Mysterious Affair at Styles
著:アガサ・クリスティー Agatha Christie
訳:矢沢聖子
解説:数藤康雄
クリスティー文庫1(早川書房)
-------------------------------------
アーサー・ヘイスティングズは友人の招待で
スタイルズ荘を訪れ、事件に巻き込まれる。
女主人エミリー・イングルソープが殺された。
ベルギーから亡命してきてまだ日が浅い頃の
かつての敏腕刑事ポワロが謎を解いていく。
ポワロシリーズの最初、またクリスティーの記念すべき作品。
-------------------------------------
今回の帰省は暑くてうだっていたので
あまり遠出もせず、読書三昧でした。
コレクターの母はやはりコレクターなのだ・・・。
実家ではママンが今度はクリスティー文庫(全百巻予定)を
集めだしたらしい。本人は読み出したのかと思いきや
以前集めた池波正太郎を再読していた・・・。
何冊かあったので最初から借りて読んでみました。
子供の頃読んだ児童向けの推理全集で
クリスティは何篇か読んで、そのあと
早川文庫(クリスティー文庫が出る前のやつ)で
数冊読んだかな・・・?どうだったかな。
買っといて読まないままだったのか。
ちゃんとポワロもの読んだのは初めてかも〜。
ヘイスティングスがこんなに女性にヨワヨワで
寅さんみたいな役回りだとは(笑)
ドラマも映画もちょこちょこ観ていたけど
そんなに没頭してなかったのです。
原作、けっこう面白いですね〜。
ポワロの意味ありげ〜な言葉に
「もうはっきり言ってよ!このヒゲオヤジ!」と
途中イライラさせられるのなんの。
スタイルズ荘の怪事件
The Mysterious Affair at Styles
著:アガサ・クリスティー Agatha Christie
訳:矢沢聖子
解説:数藤康雄
クリスティー文庫1(早川書房)
-------------------------------------
アーサー・ヘイスティングズは友人の招待で
スタイルズ荘を訪れ、事件に巻き込まれる。
女主人エミリー・イングルソープが殺された。
ベルギーから亡命してきてまだ日が浅い頃の
かつての敏腕刑事ポワロが謎を解いていく。
ポワロシリーズの最初、またクリスティーの記念すべき作品。
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今回の帰省は暑くてうだっていたので
あまり遠出もせず、読書三昧でした。
コレクターの母はやはりコレクターなのだ・・・。
実家ではママンが今度はクリスティー文庫(全百巻予定)を
集めだしたらしい。本人は読み出したのかと思いきや
以前集めた池波正太郎を再読していた・・・。
何冊かあったので最初から借りて読んでみました。
子供の頃読んだ児童向けの推理全集で
クリスティは何篇か読んで、そのあと
早川文庫(クリスティー文庫が出る前のやつ)で
数冊読んだかな・・・?どうだったかな。
買っといて読まないままだったのか。
ちゃんとポワロもの読んだのは初めてかも〜。
ヘイスティングスがこんなに女性にヨワヨワで
寅さんみたいな役回りだとは(笑)
ドラマも映画もちょこちょこ観ていたけど
そんなに没頭してなかったのです。
原作、けっこう面白いですね〜。
ポワロの意味ありげ〜な言葉に
「もうはっきり言ってよ!このヒゲオヤジ!」と
途中イライラさせられるのなんの。
ISBN:4488597025 文庫 2004/03/23 ¥567
「天より授かりしもの」An Exchange of Gifts
著:アン・マキャフリー Anne McCaffrey
訳:赤尾 秀子
創元推理文庫(東京創元社)
王国のお姫様、ミーアンは
宮廷の暮らしに嫌気がさし逃げ出す。
ただの家出じゃなくて、すっかり行方をくらますための
様々な演出がなかなか賢い。ヒロインとしては
度胸もあるしかなりしたたか、と思っていたら
一人暮らしを始めるあたりで「お姫様育ち」が露呈。
困っている彼女の前に礼儀正しい少年が現れる。
二人で協力しながら、森の中で一緒に暮らし始めるが・・・
--------------------------------------
著者の作品を以前読んだことがあったので
本屋で目に留まる。帰省前に読了。
ロマンあふるるファンタジー。
--------------------------------------
読了日 6/25
「天より授かりしもの」An Exchange of Gifts
著:アン・マキャフリー Anne McCaffrey
訳:赤尾 秀子
創元推理文庫(東京創元社)
王国のお姫様、ミーアンは
宮廷の暮らしに嫌気がさし逃げ出す。
ただの家出じゃなくて、すっかり行方をくらますための
様々な演出がなかなか賢い。ヒロインとしては
度胸もあるしかなりしたたか、と思っていたら
一人暮らしを始めるあたりで「お姫様育ち」が露呈。
困っている彼女の前に礼儀正しい少年が現れる。
二人で協力しながら、森の中で一緒に暮らし始めるが・・・
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著者の作品を以前読んだことがあったので
本屋で目に留まる。帰省前に読了。
ロマンあふるるファンタジー。
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読了日 6/25
堤中納言物語・うつほ物語
2004年6月18日 読了本
ISBN:4062508079 単行本 1992/11 ¥1,890
少年少女古典文学館7(講談社)
<堤中納言物語>
文:干刈あがた
絵:ひらいたかこ
解説(コラム):神野藤昭夫
-----------------------
花桜折る少将
このついで
虫愛ずる姫君
ほどほどの懸想
逢坂こえぬ権中納言
貝合わせ
はなだの女御
はいずみ
<うつほ物語>
文:津島 佑子
絵:藤川秀之
解説(コラム):室伏信助
-----------------------
俊蔭
うつほ
仲忠
貴宮
親友
母の琴
犬宮
新東宮
よろこびの琴
---------------------------------------
講談社の子供向け古典全集のうちの一冊。
語句のわかりやすい解説(注釈)を上段に置き、
口絵や挿絵も入っている。
著名な作家が文章を改めて書いているので
ただの訳文、またそれの簡略化したものではない。
「堤〜」担当の干刈あがたさんはこれが遺作となったらしい。
若くして亡くなって、惜しいと思っている。
この古典は短編集で、中納言や少将など麗しの公達が
繰り広げるお話。原作もこの本でも、喜劇的に落としたり、
なかなか風情があったり、面白い短編集。
「うつほ」は宇津保物語、芸術一家の四代に渡る大河ドラマ。
全20巻という世界最古(?)の長編小説らしい。
この話では長編を短く、それも一冊の半分で表現しなければ
ならないため、津島氏もかなり苦労なさったらしい。
この本では、既に亡くなった一代目の俊蔭が
霊魂のまま彷徨いつつ、娘や孫、その子供の行く末を
案じながらナレーションしていく、という内容。
琴という楽器を中心に、幻想的な演奏風景や
壮大な演出など、想像するとうっとり。
音が欲しいけど、実際はとても再現できないだろうなぁ。
少年少女古典文学館7(講談社)
<堤中納言物語>
文:干刈あがた
絵:ひらいたかこ
解説(コラム):神野藤昭夫
-----------------------
花桜折る少将
このついで
虫愛ずる姫君
ほどほどの懸想
逢坂こえぬ権中納言
貝合わせ
はなだの女御
はいずみ
<うつほ物語>
文:津島 佑子
絵:藤川秀之
解説(コラム):室伏信助
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俊蔭
うつほ
仲忠
貴宮
親友
母の琴
犬宮
新東宮
よろこびの琴
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講談社の子供向け古典全集のうちの一冊。
語句のわかりやすい解説(注釈)を上段に置き、
口絵や挿絵も入っている。
著名な作家が文章を改めて書いているので
ただの訳文、またそれの簡略化したものではない。
「堤〜」担当の干刈あがたさんはこれが遺作となったらしい。
若くして亡くなって、惜しいと思っている。
この古典は短編集で、中納言や少将など麗しの公達が
繰り広げるお話。原作もこの本でも、喜劇的に落としたり、
なかなか風情があったり、面白い短編集。
「うつほ」は宇津保物語、芸術一家の四代に渡る大河ドラマ。
全20巻という世界最古(?)の長編小説らしい。
この話では長編を短く、それも一冊の半分で表現しなければ
ならないため、津島氏もかなり苦労なさったらしい。
この本では、既に亡くなった一代目の俊蔭が
霊魂のまま彷徨いつつ、娘や孫、その子供の行く末を
案じながらナレーションしていく、という内容。
琴という楽器を中心に、幻想的な演奏風景や
壮大な演出など、想像するとうっとり。
音が欲しいけど、実際はとても再現できないだろうなぁ。
ヨーロッパを見る視角
2004年6月17日 読了本
ISBN:4000042289 単行本(ソフトカバー) 1996/03 ¥2,310
「ヨーロッパを見る視角」岩波セミナーブックス58
著:阿部 謹也 (岩波書店)
内容は岩波市民セミナー「ヨーロッパを見る視角」
1995年5〜6月(全5回)の講座をもとに、加筆したもの。
11世紀以前、日本同様の贈与互酬、長幼の序などを
重んじる『世間』が存在していた欧州。
どのようにして個人を重視する世界に変化していったか。
また日本は何故まだ『世間』が在り続けるのか。
第一講 「世間」からの離陸
第二講 個人の成立
第三講 恋愛の成立と新しい男女関係
第四講 市民意識の成立
第五講 キリスト教と伝統社会
----------------------------------------
講義を録音してから文章に起こしたような感じ。
多少「文」としては読みづらいところもある。
博学な人のあっちへ飛んだりこっちへ飛んだりの
余談だけでいくらでも話が続きそうな様々な逸話。
それから歴史の流れ。
多少断定的というか、「私はこう視る」部分については
(あれ、この間の本ではこう書いてあったなあ)などと
比べてしまったが、誰が研究しても同じ答えしか
出てこないなんてつまらないし発展も無い。
社会史や歴史も人の数だけ見方があるのだから
このセンセイのお話も楽しく読ませていただきました。
「ヨーロッパを見る視角」岩波セミナーブックス58
著:阿部 謹也 (岩波書店)
内容は岩波市民セミナー「ヨーロッパを見る視角」
1995年5〜6月(全5回)の講座をもとに、加筆したもの。
11世紀以前、日本同様の贈与互酬、長幼の序などを
重んじる『世間』が存在していた欧州。
どのようにして個人を重視する世界に変化していったか。
また日本は何故まだ『世間』が在り続けるのか。
第一講 「世間」からの離陸
第二講 個人の成立
第三講 恋愛の成立と新しい男女関係
第四講 市民意識の成立
第五講 キリスト教と伝統社会
----------------------------------------
講義を録音してから文章に起こしたような感じ。
多少「文」としては読みづらいところもある。
博学な人のあっちへ飛んだりこっちへ飛んだりの
余談だけでいくらでも話が続きそうな様々な逸話。
それから歴史の流れ。
多少断定的というか、「私はこう視る」部分については
(あれ、この間の本ではこう書いてあったなあ)などと
比べてしまったが、誰が研究しても同じ答えしか
出てこないなんてつまらないし発展も無い。
社会史や歴史も人の数だけ見方があるのだから
このセンセイのお話も楽しく読ませていただきました。
愛の手紙―文学者の様々な愛のかたち
2004年5月27日 読了本
ISBN:4791759486 単行本 2002/03 ¥2,310
「愛の手紙―文学者の様々な愛のかたち」
編:日本近代文学館(青土社)
解説執筆者:
池内輝雄・岩橋邦枝・久保忠夫・紅野敏郎・曾根博義・竹盛天雄
・十川信介・中島国彦・中村稔・保昌正夫・本多浩
現代語訳:中島稔
第1部 愛する人へ
北村透谷から石坂ミナへ
半井桃水から樋口一葉へ
田村俊子から岡田八千代へ
萩原朔太郎から馬場ナカへ
島木赤彦から今井邦子へ
深尾須磨子から平戸廉吉へ
島崎藤村から加藤静子へ
谷崎潤一郎から根津松子へ
斉藤茂吉から永井ふさ子へ
立原道造から若林つやへ
太宰治から山崎富栄へ
第2部 妻へ
福地桜痴からさとへ
二葉亭四迷から柳子へ
夏目漱石から鏡子へ
有島武郎から安子へ
大町桂月から長へ
芥川龍之介から文へ
室生犀星からとみ子へ
高見順から秋子へ
加藤道夫から治子へ
川口松太郎から愛子へ
第3部 家族へ
森静男から長男鴎外へ
池辺三山から弟穫三郎へ
樋口虎之助から妹一葉へ
萩原朔太郎から従兄栄次へ
石川啄木から妹光子へ
岡本かの子から兄大貫雪之助へ
与謝野晶子から子供たちへ
里見?から兄有島武郎へ
有島武郎から母幸子へ
平戸廉吉から姉岡村文子へ
芥川龍之介から子供たちへ
長谷川時雨から妹春子へ
---------------------------------
作家と、手紙にまつまる解説は、それぞれの手紙の紹介ごとに、
最初に500文字前後にまとめられている。
手紙そのものの写真、及び作家本人や手紙を宛てた当人の写真、
また、昔の資料写真を掲載しているビジュアル本。
手紙は原文と、難しい場合は現代語訳も載せている。
その後に解説はなく、手紙そのものを味わえる。
----------------------------------
先日の「愛の書簡」とは、抜粋した手紙文や解説から
人物相関の捉え方が多少違って見えるものもあり、
比較するのは面白い。
今回タイトルからレビュー画面を探していて、
こういった作家の書簡を集めた解説本が何点かあることに気づく。
確かに手紙と解説で、何冊も本できそうです。
名が残る作家の人生そのものが小説というか、ドラマになり得る。
時代が違うだけでそれらはやけに起伏に富んでいる様に感じたりする。
なにかロマンスの香り付けをしたくなって、後の世の人が推察したり
脚色した解説をしたところで、実際のところは、
今はもう知ることができない。
考えてみればウチのおばーちゃんの若い頃の話聞いたときも
頭の中ではすっかり少女漫画になっていた。
昔話はいつだってそんな感じ。
言い出したらキリないかな。日常も描き方でドラマになるしなぁ。
-----------------------------------
あと、その人の文面だけでなく、筆跡が見られるのも
(特に書をたしなんでる方には)興味深いのではないでしょうか。
時代が古くなれば、余計漢文に近いような文もあるわけで。
つながった字の文面を見てると「こ、古文書?」と思ったり。
「愛の書簡」でも書いてあったが、当時の郵便配達の人は
文字の判別に長けた人が多かったのかなあ、と。
行書ですらすら封筒のオモテ書をされても、読めないです〜。
しかも住所は、簡略化されてるの多いし。
『本郷千駄木 森鴎外先生』『陸軍省森林太郎様』だけで
届いたらしい、と「愛の書簡」まえがきにありました。
「愛の手紙―文学者の様々な愛のかたち」
編:日本近代文学館(青土社)
解説執筆者:
池内輝雄・岩橋邦枝・久保忠夫・紅野敏郎・曾根博義・竹盛天雄
・十川信介・中島国彦・中村稔・保昌正夫・本多浩
現代語訳:中島稔
第1部 愛する人へ
北村透谷から石坂ミナへ
半井桃水から樋口一葉へ
田村俊子から岡田八千代へ
萩原朔太郎から馬場ナカへ
島木赤彦から今井邦子へ
深尾須磨子から平戸廉吉へ
島崎藤村から加藤静子へ
谷崎潤一郎から根津松子へ
斉藤茂吉から永井ふさ子へ
立原道造から若林つやへ
太宰治から山崎富栄へ
第2部 妻へ
福地桜痴からさとへ
二葉亭四迷から柳子へ
夏目漱石から鏡子へ
有島武郎から安子へ
大町桂月から長へ
芥川龍之介から文へ
室生犀星からとみ子へ
高見順から秋子へ
加藤道夫から治子へ
川口松太郎から愛子へ
第3部 家族へ
森静男から長男鴎外へ
池辺三山から弟穫三郎へ
樋口虎之助から妹一葉へ
萩原朔太郎から従兄栄次へ
石川啄木から妹光子へ
岡本かの子から兄大貫雪之助へ
与謝野晶子から子供たちへ
里見?から兄有島武郎へ
有島武郎から母幸子へ
平戸廉吉から姉岡村文子へ
芥川龍之介から子供たちへ
長谷川時雨から妹春子へ
---------------------------------
作家と、手紙にまつまる解説は、それぞれの手紙の紹介ごとに、
最初に500文字前後にまとめられている。
手紙そのものの写真、及び作家本人や手紙を宛てた当人の写真、
また、昔の資料写真を掲載しているビジュアル本。
手紙は原文と、難しい場合は現代語訳も載せている。
その後に解説はなく、手紙そのものを味わえる。
----------------------------------
先日の「愛の書簡」とは、抜粋した手紙文や解説から
人物相関の捉え方が多少違って見えるものもあり、
比較するのは面白い。
今回タイトルからレビュー画面を探していて、
こういった作家の書簡を集めた解説本が何点かあることに気づく。
確かに手紙と解説で、何冊も本できそうです。
名が残る作家の人生そのものが小説というか、ドラマになり得る。
時代が違うだけでそれらはやけに起伏に富んでいる様に感じたりする。
なにかロマンスの香り付けをしたくなって、後の世の人が推察したり
脚色した解説をしたところで、実際のところは、
今はもう知ることができない。
考えてみればウチのおばーちゃんの若い頃の話聞いたときも
頭の中ではすっかり少女漫画になっていた。
昔話はいつだってそんな感じ。
言い出したらキリないかな。日常も描き方でドラマになるしなぁ。
-----------------------------------
あと、その人の文面だけでなく、筆跡が見られるのも
(特に書をたしなんでる方には)興味深いのではないでしょうか。
時代が古くなれば、余計漢文に近いような文もあるわけで。
つながった字の文面を見てると「こ、古文書?」と思ったり。
「愛の書簡」でも書いてあったが、当時の郵便配達の人は
文字の判別に長けた人が多かったのかなあ、と。
行書ですらすら封筒のオモテ書をされても、読めないです〜。
しかも住所は、簡略化されてるの多いし。
『本郷千駄木 森鴎外先生』『陸軍省森林太郎様』だけで
届いたらしい、と「愛の書簡」まえがきにありました。
千年の夢―文人たちの愛と死〈上巻〉
2004年5月26日 読了本
「愛の書簡」をつまみ読みし始めた先週から脳内芥川祭。
人生何度目の芥川モエ(まさに萌としか言いようの無い)でしょうかまったく。ここ数日、時間さえあれば古本屋サイトで芥川関連本を探しております。当時の「関係者」のエッセイや芥川論を集めた特集本は既に絶版。なかなか無いです。あっても定価より高くなってたり。旧かな使いの全集は実家にあったはずなので、電話して母に尋ねたら書簡集も入っているだろうとの答え。次回帰ったら開いてみよう。
集英社と角川、それからちくまが一冊きり。文庫である芥川作品はこれだけなので、他の出版社でも解説や資料が面白かったら欲しいんだけどなー。同じ本が何冊あってどうするというか。なんかお気に入り活字本って装丁変わると同じのでも欲しくなるのです。著作権期限が切れている文学について、作品によってはネットで読むことができる。全文掲載しているサイトがいくつかあるんだから、内容を知りたいだけならそれをもらってくれば良い。でも手元に本を置きたいのね〜。アイテムコレクター・・・。
-----------------------------------------
千年の夢―文人たちの愛と死〈上巻〉
ISBN:409415003X 文庫 斎藤 なずな 小学館 2002/02 ¥690
活字の文庫だと思って以前ネットで購入した「千年の夢」。
上下巻、何も考えずにまとめ買いしちゃいました。ひらいてびっくり漫画じゃん!ちゃんと説明文や紹介文を読め!
このなかで描かれる作家たちはどの人もかなりキョーレツ。絵もキョーレツ。醜悪さも不器用さもすべてひっくるめて、心に深く突き刺さるよーな伝記の数々。これで各作家の印象が変わってしまったり、変に偏って受け取ってしまったりするかもしれないですが、そしたらまた、作品を読み直して自分で修正していけばいいや・・・と思いました。・・・でも修正きくかなあ。私の場合、読んで「ちょっとしまった」と思うほど強く残るコミック。
ネットのお買い物では実際にページをめくれないので装丁や内容の文章のとっつきやすさなどわからないことが多い。このあいだもドイツ中世の軍隊の本を買ったら薄っぺらいビジュアル本で、見開きのイラストや資料写真で埋まってた。お値段はそれなり。これも大きさやページ数を確かめずにタイトルと目次だけで買ってしまった。
----------------------------------------
そんでもって欧州史はどうした。
今、積んでる待機中の本が3冊くらい、と買った本が数冊。
買ったのはいつでも読むことができるとして
図書館の本は早めに読まねば。
しかし新しいゲームソフトが届いてしまった。
むーん。開封して本体にセットしたが最後
しばらく網から消え失せてしまいそうな気がするので
タイミングをはかっているところ。うー早くやりたい。
人生何度目の芥川モエ(まさに萌としか言いようの無い)でしょうかまったく。ここ数日、時間さえあれば古本屋サイトで芥川関連本を探しております。当時の「関係者」のエッセイや芥川論を集めた特集本は既に絶版。なかなか無いです。あっても定価より高くなってたり。旧かな使いの全集は実家にあったはずなので、電話して母に尋ねたら書簡集も入っているだろうとの答え。次回帰ったら開いてみよう。
集英社と角川、それからちくまが一冊きり。文庫である芥川作品はこれだけなので、他の出版社でも解説や資料が面白かったら欲しいんだけどなー。同じ本が何冊あってどうするというか。なんかお気に入り活字本って装丁変わると同じのでも欲しくなるのです。著作権期限が切れている文学について、作品によってはネットで読むことができる。全文掲載しているサイトがいくつかあるんだから、内容を知りたいだけならそれをもらってくれば良い。でも手元に本を置きたいのね〜。アイテムコレクター・・・。
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千年の夢―文人たちの愛と死〈上巻〉
ISBN:409415003X 文庫 斎藤 なずな 小学館 2002/02 ¥690
活字の文庫だと思って以前ネットで購入した「千年の夢」。
上下巻、何も考えずにまとめ買いしちゃいました。ひらいてびっくり漫画じゃん!ちゃんと説明文や紹介文を読め!
このなかで描かれる作家たちはどの人もかなりキョーレツ。絵もキョーレツ。醜悪さも不器用さもすべてひっくるめて、心に深く突き刺さるよーな伝記の数々。これで各作家の印象が変わってしまったり、変に偏って受け取ってしまったりするかもしれないですが、そしたらまた、作品を読み直して自分で修正していけばいいや・・・と思いました。・・・でも修正きくかなあ。私の場合、読んで「ちょっとしまった」と思うほど強く残るコミック。
ネットのお買い物では実際にページをめくれないので装丁や内容の文章のとっつきやすさなどわからないことが多い。このあいだもドイツ中世の軍隊の本を買ったら薄っぺらいビジュアル本で、見開きのイラストや資料写真で埋まってた。お値段はそれなり。これも大きさやページ数を確かめずにタイトルと目次だけで買ってしまった。
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そんでもって欧州史はどうした。
今、積んでる待機中の本が3冊くらい、と買った本が数冊。
買ったのはいつでも読むことができるとして
図書館の本は早めに読まねば。
しかし新しいゲームソフトが届いてしまった。
むーん。開封して本体にセットしたが最後
しばらく網から消え失せてしまいそうな気がするので
タイミングをはかっているところ。うー早くやりたい。
ISBN:4892192325 単行本 2003/05 ¥1,890
「作家たちの愛の書簡」
著:大島 和雄 (風涛社)
森鴎外の手紙
・鴎外の生涯/やんちゃ妻茂子へ/愛する子供たちへ
夏目漱石の手紙
・心の友正岡子規/妻鏡子へ/愛弟子芥川龍之介へ
樋口一葉の手紙
・一葉と半井桃水/「日記」にみる心のゆらぎ
/師桃水の君へ
島村抱月の手紙
・秀才島村滝太郎(抱月)/抱月と須磨子の恋
/抱月のラブレター/二人の死
島崎藤村の手紙
・「破戒」と妻冬子の死/藤村とこま子・禁断の性
/加藤静子へ/終焉の地・大磯
竹久夢二の手紙
・夢二とたまき/「永遠の恋人」彦乃
/お葉と夢二の晩年/夢二の死
北原白秋の手紙
・トンカ・ジョン白秋/姦通事件・俊子との恋
/もろかった章子との結婚/菊子との晩年・こども
谷崎潤一郎の手紙
・妻の譲渡事件/「蓼喰ふ蟲」の重要性
/松子との出会い/根津松子へ
岡本かの子の手紙
・聖家族/宗教遍歴の旅/息子太郎へ
芥川龍之介の手紙
・塚本文へ/師夏目漱石へ/不如意な結婚生活
/心よわき人・その死
伊藤野枝の手紙
・「日蔭茶屋」事件/野枝から獄中の大杉へ
/虐殺−甘粕事件
林芙美子の手紙
・芙美子の放浪人生/欧州から夫緑敏へ
/成功から死へ
中島敦の手紙
・異常な文学的才能/橋本タカとの結婚
/南洋の島から息子へ
太宰治の手紙
・太宰治の執着/「斜陽」太田静子との恋
/山崎富栄との心中
堀辰雄の手紙
・「病」の詩人/「風立ちぬ」矢野綾子
/加藤多恵子との結婚
------------------------------------------
手紙が重要な連絡手段だった時代、
心のたけを文章にのせて、相手に届けていく。
15人の作家のプロフと、主に恋愛や結婚の履歴を
残された書簡の文面とともに紹介する。
明治から昭和の初期まで
なんとも味のあるちょっとした文学史でもあります。
芥川龍之介が十代の塚本文に書いたラブレターが印象的。
結婚したら、二人の(文通)書簡を残そう、と言うあたり
もしかしたら作家として手紙が残るということも
頭にあった演出つきの文章なのかもしれない、と
思ってはみたが、やはりここは素直に読むことにしました。
若者だった当時の芥川が誠実に求婚する文面は
もらった女の子としては嬉しかったのではないかと思いたい。
島村抱月は須磨子と恋に落ちたとき、だいたい40歳すぎ。
それでもってその文面たるや、たいしたたまげた・・・。
なんかオネエ言葉になってます。
『〜まっていて頂だい』『名前なんてどうでもいいでしょう』
『〜と思ってくれなくて?』
『恋はいろんなことをおしえるものね。けれども二人の仲だけは、
必ず必ず打ち明けっこよ。』などなど。うひゃー。
夫婦や恋人同士になると睦言にしても普段の生活にしても
会話が幼児語化したりすることは多々あると思うが、
それが文章になって後々まで残っちゃうとしたら
いたたまれない気がする・・。でもここまでらぶらぶだと
微笑ましい。抱月さんの奥さんは不憫だけど。
岡本かの子が息子太郎に会いたいと想いながら綴った手紙、
それから死後、夫と太郎が交わした電報は心を打つ。
苦手だった太宰や谷崎は文面見てさらに苦手になった(笑)
ついでに島崎藤村も最近嫌いになったので
イロメガネで読んでしまった。(単純すぎ)
夏目漱石の英国からの手紙は
寂しくて仕方ない様子がわかって、何か切ない。
--------------------------------------------
先週、期限のある本や手元のものも読んでしまったので
春に100円ショップで集めた日本文学シリーズを
開いてみた。芥川の作品は三冊出てたので全部買った。
このシリーズとってもお買い得。字大きいし注釈つき。
しかし途中の引用例は不要かなあ。
結婚式や入社式など、いろいろな場面で
スピーチに使えって言われても・・・。
『歯車』や『或阿呆の一生』などを改めて読んで
以前読んだ時より何か引っかかるものがあった。
なので久しぶりに日文の棚を見て作家論や作品論を探す。
どれも読む気になれなくて、何となく手に取ったのが
この本ともう一冊。どちらも作家の書簡集だ。
著名な作家がどんな人生を送ったか、
たとえば教科書や文庫本の作家紹介や解説から
ある程度は知っていても、人生そのものがゴシップ、
三面記事になりそうな作家以外は、
深く私生活に踏み込んでは知らなかった。
第三者の目を通したインタビューや作家についての
思い出話などの記述からしか推測しようがないし
本当はどんな人だったかなんて、やっぱりわからない。
当時の作家には所謂「私小説」が多く、それら作品は
たいてい彼らの人生を辿りながら論じられている。
作家の人生がどうであれ、どれだけ不実な人間だろうが
激しい恋愛をしようが、作品だけ受け取っていた時のほうが
素直に読んでいたような気がする。
現在活躍中の作家で好きな人は何人かいるが、彼らの
プライベートを知りたいとは特に思わない。
日常エッセイくらいなら楽しんで読ませていただくかも
しれないが、あまり本人たちに興味はない。
昔の作家については、私的な事柄についてまで
何となく読んでしまうのは妙なものです。
(森おう外の「おう」の字は略字にしました)
「作家たちの愛の書簡」
著:大島 和雄 (風涛社)
森鴎外の手紙
・鴎外の生涯/やんちゃ妻茂子へ/愛する子供たちへ
夏目漱石の手紙
・心の友正岡子規/妻鏡子へ/愛弟子芥川龍之介へ
樋口一葉の手紙
・一葉と半井桃水/「日記」にみる心のゆらぎ
/師桃水の君へ
島村抱月の手紙
・秀才島村滝太郎(抱月)/抱月と須磨子の恋
/抱月のラブレター/二人の死
島崎藤村の手紙
・「破戒」と妻冬子の死/藤村とこま子・禁断の性
/加藤静子へ/終焉の地・大磯
竹久夢二の手紙
・夢二とたまき/「永遠の恋人」彦乃
/お葉と夢二の晩年/夢二の死
北原白秋の手紙
・トンカ・ジョン白秋/姦通事件・俊子との恋
/もろかった章子との結婚/菊子との晩年・こども
谷崎潤一郎の手紙
・妻の譲渡事件/「蓼喰ふ蟲」の重要性
/松子との出会い/根津松子へ
岡本かの子の手紙
・聖家族/宗教遍歴の旅/息子太郎へ
芥川龍之介の手紙
・塚本文へ/師夏目漱石へ/不如意な結婚生活
/心よわき人・その死
伊藤野枝の手紙
・「日蔭茶屋」事件/野枝から獄中の大杉へ
/虐殺−甘粕事件
林芙美子の手紙
・芙美子の放浪人生/欧州から夫緑敏へ
/成功から死へ
中島敦の手紙
・異常な文学的才能/橋本タカとの結婚
/南洋の島から息子へ
太宰治の手紙
・太宰治の執着/「斜陽」太田静子との恋
/山崎富栄との心中
堀辰雄の手紙
・「病」の詩人/「風立ちぬ」矢野綾子
/加藤多恵子との結婚
------------------------------------------
手紙が重要な連絡手段だった時代、
心のたけを文章にのせて、相手に届けていく。
15人の作家のプロフと、主に恋愛や結婚の履歴を
残された書簡の文面とともに紹介する。
明治から昭和の初期まで
なんとも味のあるちょっとした文学史でもあります。
芥川龍之介が十代の塚本文に書いたラブレターが印象的。
結婚したら、二人の(文通)書簡を残そう、と言うあたり
もしかしたら作家として手紙が残るということも
頭にあった演出つきの文章なのかもしれない、と
思ってはみたが、やはりここは素直に読むことにしました。
若者だった当時の芥川が誠実に求婚する文面は
もらった女の子としては嬉しかったのではないかと思いたい。
島村抱月は須磨子と恋に落ちたとき、だいたい40歳すぎ。
それでもってその文面たるや、たいしたたまげた・・・。
なんかオネエ言葉になってます。
『〜まっていて頂だい』『名前なんてどうでもいいでしょう』
『〜と思ってくれなくて?』
『恋はいろんなことをおしえるものね。けれども二人の仲だけは、
必ず必ず打ち明けっこよ。』などなど。うひゃー。
夫婦や恋人同士になると睦言にしても普段の生活にしても
会話が幼児語化したりすることは多々あると思うが、
それが文章になって後々まで残っちゃうとしたら
いたたまれない気がする・・。でもここまでらぶらぶだと
微笑ましい。抱月さんの奥さんは不憫だけど。
岡本かの子が息子太郎に会いたいと想いながら綴った手紙、
それから死後、夫と太郎が交わした電報は心を打つ。
苦手だった太宰や谷崎は文面見てさらに苦手になった(笑)
ついでに島崎藤村も最近嫌いになったので
イロメガネで読んでしまった。(単純すぎ)
夏目漱石の英国からの手紙は
寂しくて仕方ない様子がわかって、何か切ない。
--------------------------------------------
先週、期限のある本や手元のものも読んでしまったので
春に100円ショップで集めた日本文学シリーズを
開いてみた。芥川の作品は三冊出てたので全部買った。
このシリーズとってもお買い得。字大きいし注釈つき。
しかし途中の引用例は不要かなあ。
結婚式や入社式など、いろいろな場面で
スピーチに使えって言われても・・・。
『歯車』や『或阿呆の一生』などを改めて読んで
以前読んだ時より何か引っかかるものがあった。
なので久しぶりに日文の棚を見て作家論や作品論を探す。
どれも読む気になれなくて、何となく手に取ったのが
この本ともう一冊。どちらも作家の書簡集だ。
著名な作家がどんな人生を送ったか、
たとえば教科書や文庫本の作家紹介や解説から
ある程度は知っていても、人生そのものがゴシップ、
三面記事になりそうな作家以外は、
深く私生活に踏み込んでは知らなかった。
第三者の目を通したインタビューや作家についての
思い出話などの記述からしか推測しようがないし
本当はどんな人だったかなんて、やっぱりわからない。
当時の作家には所謂「私小説」が多く、それら作品は
たいてい彼らの人生を辿りながら論じられている。
作家の人生がどうであれ、どれだけ不実な人間だろうが
激しい恋愛をしようが、作品だけ受け取っていた時のほうが
素直に読んでいたような気がする。
現在活躍中の作家で好きな人は何人かいるが、彼らの
プライベートを知りたいとは特に思わない。
日常エッセイくらいなら楽しんで読ませていただくかも
しれないが、あまり本人たちに興味はない。
昔の作家については、私的な事柄についてまで
何となく読んでしまうのは妙なものです。
(森おう外の「おう」の字は略字にしました)
魔女裁判―魔術と民衆のドイツ史
2004年5月20日 読了本
ISBN:4642055029 単行本(ソフトカバー) 2000/08 ¥1,785
「魔女裁判 魔術と民衆のドイツ史」
著:牟田 和男
吉川弘文館 歴史文化ライブラリー
------------------------------------
等身大の魔女−プロローグ
「魔女」というイメージ
魔女犯罪の中身
初期の魔女裁判
大迫害時代
近世の刑事司法
学識法曹とドイツの魔女裁判
下からの魔女狩り
儀礼化された闘争
なぜ女性なのか
魔女迫害の論理と心理
女性の犯罪
裁かれる者にとっての悪魔
現代の「魔女狩り」
呪術師と批判者
怪しげな文献
魔法使いから魔女へ−エピローグ
------------------------------------
楽しい物語本などしばらく読んで、ちょっと
気持ちが和らいだところで、再び欧州史へ。
先日読んだジェンダーからの魔女狩り本を読んで
かなり偏ったイメージが執拗に頭に残ってるため
別の視点から描かれた本を探してみた。
これは16−17世紀ドイツの魔女狩りに絞ってある。
それと、当時の法律や裁判の仕組みについて
詳しく書いてあった。
この本でより見えてくるのは、けして全ての魔女裁判が
「手順」をすっとばしてむやみに処刑をしていたわけじゃないこと。
当時の人は理性的に(それなりに)法を遵守しており
「魔女を狩る」という言葉からイメージされる
集団ヒステリーの様子は思ったほど感じられない。
なるほど、「なぜ女性だったのか」ということには
性差別の点から特に掘り下げて追求されていなかった。
『魔女狩りは男による女の迫害だったのだという
見解を支持する人は案外今でも多いようである』
(プロローグより抜粋)
とあるが、著者の見解からは、同意しているとは
あまり思えなかった。
共通してわかるのは、父権社会において
男性の庇護者がいない女性の立場の弱さと
民間に伝わる不可思議な「迷信」の多さ。
共同体で暮らすことの難しさ。
物知りおばあちゃん(賢女)のおまじないが
毒にも薬にもなったこと。
天気が悪くて作物がダメになった、
病が流行った、健康を害した、
家畜の調子が悪い・・・
マイナスの要素すべて、何か、誰かに
責任を転嫁しないといられない心理。
細かく書いていくとそれこそ引用ばかりの
魔女狩り(裁判)本比較研究みたいになってくるなぁ。
この本の冒頭と、そしてエピローグにあるように
「魔女」と「魔女裁判」の実像を掴むのは困難らしい。
欧州、または世界に魔女裁判の未発掘の史料は
まだ無数にあると考えるなら、現在わかっているだけの
裁判記録や、その数、告発された、あるいは裁かれた人数などを
上げて、この地域ではこうだ、とか一番ひどかった時代の傾向を
決定付けることは、ナンセンスであると著者は書く。
ある意味、それはすべての歴史的事柄に通じることだと思う。
ただ、まだ遙かに途上の研究テーマであることは確か。
この本も、そして先日読んだ本も、ほとんど
今までに世に出た「二次的文献」からの推測である。
最後にスイスで魔女が処刑されてから200年以上過ぎても民間ではついこの間まで魔女の疑いをかけられ迫害された人々がいたという。1950年代にドイツで起こった魔女事件についても書かれていた。驚きもあるが、何となくあり得そうと思ったり。
このテーマに関する人々の関心は、例えばフランス革命後に
正確にはどれだけの人が公正な裁判の結果によらず
ギロチンの露と消えたか、ということよりも集まりやすい。
「魔女」という日本語じたいがあまりにも幻想的だからか。
オカルト本からマジメな研究書、センセーショナルな部分にだけ焦点をあてた趣味の悪いもの、興味本位のものまで、文献はそれこそ山のようにありそうだが、しばらく魔女狩り本は読まないでおこう。読めば読むほど落ち込みそう。
「魔女裁判 魔術と民衆のドイツ史」
著:牟田 和男
吉川弘文館 歴史文化ライブラリー
------------------------------------
等身大の魔女−プロローグ
「魔女」というイメージ
魔女犯罪の中身
初期の魔女裁判
大迫害時代
近世の刑事司法
学識法曹とドイツの魔女裁判
下からの魔女狩り
儀礼化された闘争
なぜ女性なのか
魔女迫害の論理と心理
女性の犯罪
裁かれる者にとっての悪魔
現代の「魔女狩り」
呪術師と批判者
怪しげな文献
魔法使いから魔女へ−エピローグ
------------------------------------
楽しい物語本などしばらく読んで、ちょっと
気持ちが和らいだところで、再び欧州史へ。
先日読んだジェンダーからの魔女狩り本を読んで
かなり偏ったイメージが執拗に頭に残ってるため
別の視点から描かれた本を探してみた。
これは16−17世紀ドイツの魔女狩りに絞ってある。
それと、当時の法律や裁判の仕組みについて
詳しく書いてあった。
この本でより見えてくるのは、けして全ての魔女裁判が
「手順」をすっとばしてむやみに処刑をしていたわけじゃないこと。
当時の人は理性的に(それなりに)法を遵守しており
「魔女を狩る」という言葉からイメージされる
集団ヒステリーの様子は思ったほど感じられない。
なるほど、「なぜ女性だったのか」ということには
性差別の点から特に掘り下げて追求されていなかった。
『魔女狩りは男による女の迫害だったのだという
見解を支持する人は案外今でも多いようである』
(プロローグより抜粋)
とあるが、著者の見解からは、同意しているとは
あまり思えなかった。
共通してわかるのは、父権社会において
男性の庇護者がいない女性の立場の弱さと
民間に伝わる不可思議な「迷信」の多さ。
共同体で暮らすことの難しさ。
物知りおばあちゃん(賢女)のおまじないが
毒にも薬にもなったこと。
天気が悪くて作物がダメになった、
病が流行った、健康を害した、
家畜の調子が悪い・・・
マイナスの要素すべて、何か、誰かに
責任を転嫁しないといられない心理。
細かく書いていくとそれこそ引用ばかりの
魔女狩り(裁判)本比較研究みたいになってくるなぁ。
この本の冒頭と、そしてエピローグにあるように
「魔女」と「魔女裁判」の実像を掴むのは困難らしい。
欧州、または世界に魔女裁判の未発掘の史料は
まだ無数にあると考えるなら、現在わかっているだけの
裁判記録や、その数、告発された、あるいは裁かれた人数などを
上げて、この地域ではこうだ、とか一番ひどかった時代の傾向を
決定付けることは、ナンセンスであると著者は書く。
ある意味、それはすべての歴史的事柄に通じることだと思う。
ただ、まだ遙かに途上の研究テーマであることは確か。
この本も、そして先日読んだ本も、ほとんど
今までに世に出た「二次的文献」からの推測である。
最後にスイスで魔女が処刑されてから200年以上過ぎても民間ではついこの間まで魔女の疑いをかけられ迫害された人々がいたという。1950年代にドイツで起こった魔女事件についても書かれていた。驚きもあるが、何となくあり得そうと思ったり。
このテーマに関する人々の関心は、例えばフランス革命後に
正確にはどれだけの人が公正な裁判の結果によらず
ギロチンの露と消えたか、ということよりも集まりやすい。
「魔女」という日本語じたいがあまりにも幻想的だからか。
オカルト本からマジメな研究書、センセーショナルな部分にだけ焦点をあてた趣味の悪いもの、興味本位のものまで、文献はそれこそ山のようにありそうだが、しばらく魔女狩り本は読まないでおこう。読めば読むほど落ち込みそう。
紅はこべ 痛快世界の冒険文学 (14)
2004年5月19日 読了本
ISBN:4062680149 単行本 1998/11 ¥1,575
「紅はこべ」
文:山崎洋子
絵:永田千秋
原作:バロネス・オルツィ(オルツィ男爵夫人)
(=エムスカ・マドダレーナ・ローザーリフ・マリア・ヨゼファ・バルバーラ・オルツィ)
THE SCARLET PIMPERNEL
痛快世界の冒険文学14(講談社)
18世紀末に自由と平等、博愛の精神とともに、
フランス王権社会を覆した市民革命は
やがて恐怖政治と化して、人々を狂気の渦に巻き込んでいた。
ろくな裁判もなく、次々と処刑される貴族とその家族を
危ういところで救い出す「紅はこべ」とその部下たち。
フランス革命政府と彼の頭脳ゲームが
華やかなロマンスとともに展開される歴史活劇。
------------------------------------------------
物語は伯爵令嬢とその一家が逃亡する場面から始まります。
粗末な荷馬車のボロ布の下で神に祈るシュザンヌ。
脳裏には修道院で姉妹のように仲睦まじく過ごしたマルグリートとの
思い出が甦ります。パリから外の街へ出る西門には
亡命する貴族たちをひとりも逃すまいと革命派の市民たちが集まっています。
大胆な予告をして、処刑直前に貴族を逃がしてしまう「紅はこべ」を
今日こそ捕まえるべく、ギラギラした目の男たちが荷馬車を
点検しているあいだ、彼女は息を殺して耐えていました。
布の下に人が隠れていることを悟られ、
危うく見つかりそうになるのですが・・・。
------------------------------------------------
序盤からハラハラさせるところでツカミはばっちり(笑)。
変装の名人であるというところから、最初に誰が「紅はこべ」なのかは
すぐわかりますし、またそのイギリスでの正体も想像がつきます。
でもそれがいつ読者に明かされるのか、
またヒロインである美しいマルグリートが知るのか、が
中盤までのみどころ。
マルグリートはかつてフランスで兄のアルマンと革命のために
尽力しますが、密告と虐殺の街となったパリを離れて
従男爵で大富豪のイギリス人パーシー・ブレイクニーと結婚して
イギリスで暮らしています。
アルマンは祖国の状況を憂い、妹には心配をかけないように
真相を隠しながら、今は貴族を救うために奔走していました。
「紅はこべ」の正体を調査するためにフランス共和政府から
全権大使として派遣されたショーヴランは、マルグリートの兄が
「紅はこべ」一味と関係があることを掴み、彼女を卑怯な手で
脅してきます。彼女は情報をショーヴランに売ることに
なるのですが、そこで「紅はこべ」の正体に気づくのです。
それからヒロインの一途なこと。美しく行動力のある魅力溢れる女性です。
冒険活劇としても楽しく、またハーレクインばりの恋愛ロマンとしても
大人から子供まで楽しめます。少女漫画好きにもお薦め。
低年齢層にわかりやすいように、との配慮も高い評価のひとつですが
このシリーズの魅力は、文章を書いている作家さんご本人が
大好きな世界、かつて好きだった作品・ジャンルを扱っているからこそ
生き生きしていて面白いことだと思います。
-------------------------------------------------
さて、この「紅はこべ」。今まで聞いたことありせんでした。
最初はタイトルからして明治大正あたりの少女小説かと思ってました。
実際は怪傑ゾロとか、アルセーヌ・ルパンみたいな感じ。
もともと歴史上でフランスとよく仲違いしてる英国からすると
仏共和政府の裏をかいて暗躍する紅はこべはヒーローじゃないかな。
1930年代と1950年に映画化されているみたいです。
最近だと(数年前?)NHKでBBCのドラマを放送したらしい。
惜しい。観ておけば良かった〜。レンタルでないかな?
大昔「ラ・セーヌの星」ってアニメがあったわね・・・。
これも変装して義賊だか正義の味方みたいなことしてたような。
ヒロインがマリー・アントワネットの血縁だっけなんだっけ。
「紅はこべ」
文:山崎洋子
絵:永田千秋
原作:バロネス・オルツィ(オルツィ男爵夫人)
(=エムスカ・マドダレーナ・ローザーリフ・マリア・ヨゼファ・バルバーラ・オルツィ)
THE SCARLET PIMPERNEL
痛快世界の冒険文学14(講談社)
18世紀末に自由と平等、博愛の精神とともに、
フランス王権社会を覆した市民革命は
やがて恐怖政治と化して、人々を狂気の渦に巻き込んでいた。
ろくな裁判もなく、次々と処刑される貴族とその家族を
危ういところで救い出す「紅はこべ」とその部下たち。
フランス革命政府と彼の頭脳ゲームが
華やかなロマンスとともに展開される歴史活劇。
------------------------------------------------
物語は伯爵令嬢とその一家が逃亡する場面から始まります。
粗末な荷馬車のボロ布の下で神に祈るシュザンヌ。
脳裏には修道院で姉妹のように仲睦まじく過ごしたマルグリートとの
思い出が甦ります。パリから外の街へ出る西門には
亡命する貴族たちをひとりも逃すまいと革命派の市民たちが集まっています。
大胆な予告をして、処刑直前に貴族を逃がしてしまう「紅はこべ」を
今日こそ捕まえるべく、ギラギラした目の男たちが荷馬車を
点検しているあいだ、彼女は息を殺して耐えていました。
布の下に人が隠れていることを悟られ、
危うく見つかりそうになるのですが・・・。
------------------------------------------------
序盤からハラハラさせるところでツカミはばっちり(笑)。
変装の名人であるというところから、最初に誰が「紅はこべ」なのかは
すぐわかりますし、またそのイギリスでの正体も想像がつきます。
でもそれがいつ読者に明かされるのか、
またヒロインである美しいマルグリートが知るのか、が
中盤までのみどころ。
マルグリートはかつてフランスで兄のアルマンと革命のために
尽力しますが、密告と虐殺の街となったパリを離れて
従男爵で大富豪のイギリス人パーシー・ブレイクニーと結婚して
イギリスで暮らしています。
アルマンは祖国の状況を憂い、妹には心配をかけないように
真相を隠しながら、今は貴族を救うために奔走していました。
「紅はこべ」の正体を調査するためにフランス共和政府から
全権大使として派遣されたショーヴランは、マルグリートの兄が
「紅はこべ」一味と関係があることを掴み、彼女を卑怯な手で
脅してきます。彼女は情報をショーヴランに売ることに
なるのですが、そこで「紅はこべ」の正体に気づくのです。
それからヒロインの一途なこと。美しく行動力のある魅力溢れる女性です。
冒険活劇としても楽しく、またハーレクインばりの恋愛ロマンとしても
大人から子供まで楽しめます。少女漫画好きにもお薦め。
低年齢層にわかりやすいように、との配慮も高い評価のひとつですが
このシリーズの魅力は、文章を書いている作家さんご本人が
大好きな世界、かつて好きだった作品・ジャンルを扱っているからこそ
生き生きしていて面白いことだと思います。
-------------------------------------------------
さて、この「紅はこべ」。今まで聞いたことありせんでした。
最初はタイトルからして明治大正あたりの少女小説かと思ってました。
実際は怪傑ゾロとか、アルセーヌ・ルパンみたいな感じ。
もともと歴史上でフランスとよく仲違いしてる英国からすると
仏共和政府の裏をかいて暗躍する紅はこべはヒーローじゃないかな。
1930年代と1950年に映画化されているみたいです。
最近だと(数年前?)NHKでBBCのドラマを放送したらしい。
惜しい。観ておけば良かった〜。レンタルでないかな?
大昔「ラ・セーヌの星」ってアニメがあったわね・・・。
これも変装して義賊だか正義の味方みたいなことしてたような。
ヒロインがマリー・アントワネットの血縁だっけなんだっけ。
水滸伝 痛快世界の冒険文学 (11)
2004年5月11日 読了本
ISBN:4062680114 単行本 1998/08 ¥1,575
「水滸伝」
文:嵐山光三郎
絵:譚小勇
原作:施 耐庵
痛快世界の冒険文学11(講談社)
遠い昔<伏魔殿>に封印された108の魔人どもが解き放たれた。
それは108星となって豪傑たちを梁山泊へ導いた。
社会からのはみ出し者やならず者、
冤罪のため囚われた者、
腐った官僚たちに反抗した者、
許せぬ悪を滅ぼしたことで我が身も悪に染まった者。
最初は山賊の砦に過ぎなかった梁山泊に次々と集う
豪傑たちの生き様を描く。
-------------------------------------------
今までは水滸伝というタイトルは知ってても
物語は大筋しか知らず。
それもゲームの「幻想水滸伝」シリーズを
やり始めて元ネタを仕入れた程度でした。
梁山泊、という単語。漢字が一発変換できるほど
有名であっても、水滸伝からだということは
子供の頃は知らなかったし。
これまた読んでびっくり。
義賊って言ったってみんなワルです。
「盗みはすれど非道はせず」なんて
甘っちょろい人たちじゃない。
報復するときは当のカタキだけじゃなくて
召使から女子供まで容赦なく皆殺し。
山賊をして罪もない人々を殺す、
金持ちから奪い尽くして宴会ざんまい。
しかし金品を奪って殺そうとしても
器の大きい人物や尊敬している名前を聞いただけで
ひれ伏して手厚くもてなすところもゲンキン。
そういう「義」はあるんだけど
正義とは違うというか・・。何だろ。
戦モノでも勢力争いでも、闘争ばっかりの話でも
善人悪役をある程度分けてあったり、
敵を討っても関係ない人たちについては、
かばったり見逃したりするヒーローってのが定番で、
対する悪人にも一理あったり、事情があったり・・・
どっちも元は善人なんだけどやむを得ず・・みたいな
物語を多く読んできて(漫画も小説も)
今回あまりの「ならずもの」ぶりに最初はちょっと驚いた。
確かに悪徳の限りを尽くす権力者に立ち向かう豪傑の
話ではありますが、名もない人々が巻き添えになって
ちょっとくらい善男善女が命を落とそうが
かまっちゃいられない大活躍。
好ましい女性といえば、これまた豪傑の仲間になる
扈三娘(こさんじょう)くらいで、他は
夫に卑怯な入れ知恵したりするような悪女ばかり。
今まで闘ってきた相手の豪傑を捕虜にして説き伏せ、
あっさり自分たちの仲間として受け入れ戦力にします。
解説にもありましたが将棋の一部の駒のよう。
『二君に従う』のが水滸伝の武将たち。
でもだんだん「ワル」に慣れてくると
どのように仲間を増やすのか、敵方の強い豪傑たちを
打ち破っていくのかを読むのが面白くなってきました。
この本のラスト。ある部分まっすぐで
純情な男たちの様子にホロリときました。
それにしても原作はもっとスケールがでかそうな話だ・・・。
-----------------------------------------
前述したように、残虐の限りを尽くす男たちですから
ちょっと読んでて合わないエピソードもありました。
それから、この筆者の書き方なのですが
台詞で人物を分けようとしてないのです。
シナリオではないし、台詞から人物像を推し量らずとも
お話の記述があるんだから・・・とは思っても
これだけ多くのキャラクターが揃うなら
ちょっとくらい台詞に特徴をつけたり、性格を出したり
台詞以外の人物描写ももうちょっと書き分けたほうが
面白かったんじゃないかなあ、と思いました。
みんなチンピラのようなべらんめぇ調で、小さな脇役端役から
メインの人物まで語尾も言い方も全部いっしょ。
自分より「上」だと思う人物に礼をつくす丁寧語もいっしょ。
登場人物が多いし、書き分けしてらんないのかどうなのか。
みんな筆者の分身のようでした。
漢字(中国)名に慣れていないと、場面が変わるたび
出てくる人物に「えーと誰だっけ」「どの人だっけ」って
なっちゃうので、面倒くさいときもありました。
「水滸伝」
文:嵐山光三郎
絵:譚小勇
原作:施 耐庵
痛快世界の冒険文学11(講談社)
遠い昔<伏魔殿>に封印された108の魔人どもが解き放たれた。
それは108星となって豪傑たちを梁山泊へ導いた。
社会からのはみ出し者やならず者、
冤罪のため囚われた者、
腐った官僚たちに反抗した者、
許せぬ悪を滅ぼしたことで我が身も悪に染まった者。
最初は山賊の砦に過ぎなかった梁山泊に次々と集う
豪傑たちの生き様を描く。
-------------------------------------------
今までは水滸伝というタイトルは知ってても
物語は大筋しか知らず。
それもゲームの「幻想水滸伝」シリーズを
やり始めて元ネタを仕入れた程度でした。
梁山泊、という単語。漢字が一発変換できるほど
有名であっても、水滸伝からだということは
子供の頃は知らなかったし。
これまた読んでびっくり。
義賊って言ったってみんなワルです。
「盗みはすれど非道はせず」なんて
甘っちょろい人たちじゃない。
報復するときは当のカタキだけじゃなくて
召使から女子供まで容赦なく皆殺し。
山賊をして罪もない人々を殺す、
金持ちから奪い尽くして宴会ざんまい。
しかし金品を奪って殺そうとしても
器の大きい人物や尊敬している名前を聞いただけで
ひれ伏して手厚くもてなすところもゲンキン。
そういう「義」はあるんだけど
正義とは違うというか・・。何だろ。
戦モノでも勢力争いでも、闘争ばっかりの話でも
善人悪役をある程度分けてあったり、
敵を討っても関係ない人たちについては、
かばったり見逃したりするヒーローってのが定番で、
対する悪人にも一理あったり、事情があったり・・・
どっちも元は善人なんだけどやむを得ず・・みたいな
物語を多く読んできて(漫画も小説も)
今回あまりの「ならずもの」ぶりに最初はちょっと驚いた。
確かに悪徳の限りを尽くす権力者に立ち向かう豪傑の
話ではありますが、名もない人々が巻き添えになって
ちょっとくらい善男善女が命を落とそうが
かまっちゃいられない大活躍。
好ましい女性といえば、これまた豪傑の仲間になる
扈三娘(こさんじょう)くらいで、他は
夫に卑怯な入れ知恵したりするような悪女ばかり。
今まで闘ってきた相手の豪傑を捕虜にして説き伏せ、
あっさり自分たちの仲間として受け入れ戦力にします。
解説にもありましたが将棋の一部の駒のよう。
『二君に従う』のが水滸伝の武将たち。
でもだんだん「ワル」に慣れてくると
どのように仲間を増やすのか、敵方の強い豪傑たちを
打ち破っていくのかを読むのが面白くなってきました。
この本のラスト。ある部分まっすぐで
純情な男たちの様子にホロリときました。
それにしても原作はもっとスケールがでかそうな話だ・・・。
-----------------------------------------
前述したように、残虐の限りを尽くす男たちですから
ちょっと読んでて合わないエピソードもありました。
それから、この筆者の書き方なのですが
台詞で人物を分けようとしてないのです。
シナリオではないし、台詞から人物像を推し量らずとも
お話の記述があるんだから・・・とは思っても
これだけ多くのキャラクターが揃うなら
ちょっとくらい台詞に特徴をつけたり、性格を出したり
台詞以外の人物描写ももうちょっと書き分けたほうが
面白かったんじゃないかなあ、と思いました。
みんなチンピラのようなべらんめぇ調で、小さな脇役端役から
メインの人物まで語尾も言い方も全部いっしょ。
自分より「上」だと思う人物に礼をつくす丁寧語もいっしょ。
登場人物が多いし、書き分けしてらんないのかどうなのか。
みんな筆者の分身のようでした。
漢字(中国)名に慣れていないと、場面が変わるたび
出てくる人物に「えーと誰だっけ」「どの人だっけ」って
なっちゃうので、面倒くさいときもありました。
真田十勇士 猿飛佐助 痛快世界の冒険文学 (4)
2004年5月10日 読了本
ISBN:406268005X 単行本 1998/01 ¥1,575
「真田十勇士 猿飛佐助」
文:後藤竜二
挿絵:吉田光彦
痛快 世界の冒険文学4(講談社)
織田信長が本能寺で明智光秀に討たれた天正十年(1582)の秋、
信州鳥居峠の山中に、幼い男の子を連れた中年の男が住みつく。
左顔面に刀傷のあるその男は、薬師の鷲塚左太夫と名乗っていた。
男の子の名前は佐助。愛想のない子供だった。
鷲塚は里へは滅多に下りてこず、幼いながら佐助がひとりで
薬を売り歩いた。山中では黙々と薬草を採っている二人の姿が
よく村人に目撃された。その動作の俊敏さに、<天狗の親子>と
言われて不気味がられていた。
---------------------------------
孤児だった佐助が鷲塚と出会い、また別れる。
白雲斎という老人に忍術の稽古をつけられ
佐助は忍として成長した。
山中で暮らしていた彼は、ある日狩に来ていた
真田幸村の家臣と再会し、配下となる。
この本では、猿飛佐助を中心に、真田幸村の下に
豪傑・豪腕の戦士たちが集うまでを描く。
短気で暴れん坊の三好清海入道と、途中であった
穴山小助(サトリの能力を持つ)とともに
諸国を旅する佐助の前に様々な人物が現れる。
人買いに攫われて行方不明になった佐助の幼馴染、
おふゆを探すエピソードも加わって、ほんのり
淡い恋心(?)のような雰囲気も添えられている。
---------------------------------
へー。こんな話だったんだ〜!!と今更ですが思いました。
面白いです。講談が元らしいですが、それらのお話も
知りたくなりました。
霧隠才蔵が金髪碧眼!孤児を育てる尼さんも一癖あり。
これ、そのまま少年(少女)漫画にしたら面白いだろうな〜。
なんかおっとりして見える幸村や、配下の六郎(×2)、
クールな佐助と単純で豪快な入道のやり取りがコミカル。
読み物としてもとても楽しい。
---------------------------------
「真田十勇士」。人形劇のタイトルで初めて知って
それからずっとどんな物語なのか知りたかったのです。
イメージとしては、真田に仕える10人の腕のいい
剣士や仲間たちで、そのなかの「サスケ」だけ名前を知ってました。
子供の頃は、白土さんのサスケと同一人物だと思ってた。
人形劇の内容は全然覚えてないのですが
髪ふさふさの人形の様子だけは記憶に残ってます。
同じように剣士が集う「南総里見八犬伝」はオリジナルアニメーションの「THE八犬伝」を観てはまりました。この痛快シリーズではないのですが、同じ講談社の著名作家が文を書く古典児童書シリーズで「少年少女古典文学館」というのがあり、本屋で栗本薫版を見つけたときまっさきに買いました。
人形劇「新・八犬伝」はまったく記憶にありません。
家族は観ていたらしく、玉梓の怨霊の話をしてくれました。
三国志や水滸伝のような中国の古典は日本の物語に大きな影響を与えたと言われています。いつの時代も(主に)少年たちに受ける冒険譚は仲間が集まってきてでっかいことするお話だなぁと思いました。
RPGやファンタジーの祖のひとつとして「指輪物語」がありますが、パーティに新しく加わっては別れ、主人公(またはメインキャラ)が冒険を続けていく話のことを考えると、八犬伝や真田十勇士もそれっぽいです。
「真田十勇士 猿飛佐助」
文:後藤竜二
挿絵:吉田光彦
痛快 世界の冒険文学4(講談社)
織田信長が本能寺で明智光秀に討たれた天正十年(1582)の秋、
信州鳥居峠の山中に、幼い男の子を連れた中年の男が住みつく。
左顔面に刀傷のあるその男は、薬師の鷲塚左太夫と名乗っていた。
男の子の名前は佐助。愛想のない子供だった。
鷲塚は里へは滅多に下りてこず、幼いながら佐助がひとりで
薬を売り歩いた。山中では黙々と薬草を採っている二人の姿が
よく村人に目撃された。その動作の俊敏さに、<天狗の親子>と
言われて不気味がられていた。
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孤児だった佐助が鷲塚と出会い、また別れる。
白雲斎という老人に忍術の稽古をつけられ
佐助は忍として成長した。
山中で暮らしていた彼は、ある日狩に来ていた
真田幸村の家臣と再会し、配下となる。
この本では、猿飛佐助を中心に、真田幸村の下に
豪傑・豪腕の戦士たちが集うまでを描く。
短気で暴れん坊の三好清海入道と、途中であった
穴山小助(サトリの能力を持つ)とともに
諸国を旅する佐助の前に様々な人物が現れる。
人買いに攫われて行方不明になった佐助の幼馴染、
おふゆを探すエピソードも加わって、ほんのり
淡い恋心(?)のような雰囲気も添えられている。
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へー。こんな話だったんだ〜!!と今更ですが思いました。
面白いです。講談が元らしいですが、それらのお話も
知りたくなりました。
霧隠才蔵が金髪碧眼!孤児を育てる尼さんも一癖あり。
これ、そのまま少年(少女)漫画にしたら面白いだろうな〜。
なんかおっとりして見える幸村や、配下の六郎(×2)、
クールな佐助と単純で豪快な入道のやり取りがコミカル。
読み物としてもとても楽しい。
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「真田十勇士」。人形劇のタイトルで初めて知って
それからずっとどんな物語なのか知りたかったのです。
イメージとしては、真田に仕える10人の腕のいい
剣士や仲間たちで、そのなかの「サスケ」だけ名前を知ってました。
子供の頃は、白土さんのサスケと同一人物だと思ってた。
人形劇の内容は全然覚えてないのですが
髪ふさふさの人形の様子だけは記憶に残ってます。
同じように剣士が集う「南総里見八犬伝」はオリジナルアニメーションの「THE八犬伝」を観てはまりました。この痛快シリーズではないのですが、同じ講談社の著名作家が文を書く古典児童書シリーズで「少年少女古典文学館」というのがあり、本屋で栗本薫版を見つけたときまっさきに買いました。
人形劇「新・八犬伝」はまったく記憶にありません。
家族は観ていたらしく、玉梓の怨霊の話をしてくれました。
三国志や水滸伝のような中国の古典は日本の物語に大きな影響を与えたと言われています。いつの時代も(主に)少年たちに受ける冒険譚は仲間が集まってきてでっかいことするお話だなぁと思いました。
RPGやファンタジーの祖のひとつとして「指輪物語」がありますが、パーティに新しく加わっては別れ、主人公(またはメインキャラ)が冒険を続けていく話のことを考えると、八犬伝や真田十勇士もそれっぽいです。
ミスをしない人間はいない―ヒューマン・エラーの研究
2004年5月8日 読了本
ISBN:4870314843 単行本 2001/11 ¥1,575
「ミスをしない人間はいない
〜ヒューマンエラーの研究」
著:芳賀 繁 (飛鳥新社)
一般読者向けに日常生活のヒューマン・エラーについて解説し、ミスをしないための方策を述べた本である。著者の専門である心理学に加えて、人間工学やインタフェース論、行動科学など、広範囲な専門知識を駆使して、議論を展開している。(レビュー一部そのまま)
------------------------------------------
歴史本の棚から哲学・宗教の棚に移ろうとして
心理学の棚で引っかかって見つけました。
タイトルそのまま、ミスは「まったくあり得ない」「今後絶対に起こさない」とだけ考えるのではなく、ミスが起こることを前提に、ミスが起こる確率をどれだけ低くできるか、起こった後どれだけ安全が確保できるか、被害を少なくできるかなどについて考えさせられる本。
あらゆるビジネスの現場や病院、交通機関など、些細な間違いが大きな事故につながるところで、日々安全対策に頭を抱える人から、日常生活における「うっかりさん」まで幅広い層が楽しく読むことができると思います。
本によると人間のミスは大きく2種類。
認識や判断の段階で起こるミステイクと
行動の段階でおかすスリップ。
身近な例をたくさんあげて、わかりやすく順序だてて
丁寧語で話しかけるように書いてあります。
その例も、著者である大学の先生が家族や友だち
いろんなお知り合いから実際の体験を教わったもの。
勿論、著者ご自身のエラーもたくさん。
それから、「交通機関」についての引用例が多いのは
国鉄&JRに長くいて、現場に詳しいからみたいです。
章の終わりには2頁くらいのわかりやすい
要点とまとめがついていて、大事なところを復習。
途中出てきた表や図、専門的な考え方を理解するのが
ちょっと面倒くさくなっても、大丈夫(笑)。
目的の本を探すだけじゃなくて
ふと目にとまったタイトルの本が面白いと嬉しいです。
たくさん本があるところ(在庫が充実した本屋さんや図書館)を
ウロウロする楽しみというか。
「ミスをしない人間はいない
〜ヒューマンエラーの研究」
著:芳賀 繁 (飛鳥新社)
一般読者向けに日常生活のヒューマン・エラーについて解説し、ミスをしないための方策を述べた本である。著者の専門である心理学に加えて、人間工学やインタフェース論、行動科学など、広範囲な専門知識を駆使して、議論を展開している。(レビュー一部そのまま)
------------------------------------------
歴史本の棚から哲学・宗教の棚に移ろうとして
心理学の棚で引っかかって見つけました。
タイトルそのまま、ミスは「まったくあり得ない」「今後絶対に起こさない」とだけ考えるのではなく、ミスが起こることを前提に、ミスが起こる確率をどれだけ低くできるか、起こった後どれだけ安全が確保できるか、被害を少なくできるかなどについて考えさせられる本。
あらゆるビジネスの現場や病院、交通機関など、些細な間違いが大きな事故につながるところで、日々安全対策に頭を抱える人から、日常生活における「うっかりさん」まで幅広い層が楽しく読むことができると思います。
本によると人間のミスは大きく2種類。
認識や判断の段階で起こるミステイクと
行動の段階でおかすスリップ。
身近な例をたくさんあげて、わかりやすく順序だてて
丁寧語で話しかけるように書いてあります。
その例も、著者である大学の先生が家族や友だち
いろんなお知り合いから実際の体験を教わったもの。
勿論、著者ご自身のエラーもたくさん。
それから、「交通機関」についての引用例が多いのは
国鉄&JRに長くいて、現場に詳しいからみたいです。
章の終わりには2頁くらいのわかりやすい
要点とまとめがついていて、大事なところを復習。
途中出てきた表や図、専門的な考え方を理解するのが
ちょっと面倒くさくなっても、大丈夫(笑)。
目的の本を探すだけじゃなくて
ふと目にとまったタイトルの本が面白いと嬉しいです。
たくさん本があるところ(在庫が充実した本屋さんや図書館)を
ウロウロする楽しみというか。
ISBN:4422202243 単行本 2001/06 ¥2,625
「魔女狩りという狂気」
Witchcraze
〜a new history of the European witch hunts〜
(オリジナル版は1994刊行か)
著:アン・ルーエリン・バーストウ
Anne Llewellyn Barstow
訳:黒川 正剛
(創元社)
プロローグ
序章
第一章 なぜ女性なのか−ジェンダー、数、階層
第二章 魔女狩りの構造
第三章 ヨーロッパ中央諸地域における魔女熱狂(witchcraze)
第四章 ヨーロッパ周辺地域における魔女狩り
第五章 女性と仕事−経済的周辺化
第六章 病治し(ヒーラー)から魔女へ
第七章 女性の身体の支配−暴力とサディズム
第八章 女性を閉じ込める
エピローグ
付録 魔女裁判の犠牲者数
-------------------------------
16−17世紀の近代初期に西欧で吹き荒れた魔女狩りの嵐は
女性狩りであったという主張のもとに記された魔女裁判研究書。
多くの参考文献から引用された本著は、魔女裁判の歴史的事象
だけでなく、魔女狩り(魔女裁判)が今までどのように研究されて
きたのか、どんな側面から描かれてきたかという歴史も綴る。
また、単に過去の事件としてだけでなく、「絶えず現代社会と
照らし合わせながら理解していこうとする、著者の激烈な姿勢に
裏打ちされている(訳者あとがきより)」。
序章は、欧米の魔女裁判研究の概略を読まされているような
気がしたが、既にここでもう著者の冷静な論のなかの
かなり激しい怒りのようなものを感じる。(翻訳だが)
途中、何度も読むのがいやになった・・・。
(その原因は翻訳の読みにくさだけではない)
欧州史、それも神聖ローマ帝国のことをいろいろ調べたくて
読み始めたものだから、最後まで読もうと思った。
結局読むペースが遅くなってしまい、少しずつ頁をめくって
2週間もかかった。
先日、異常殺人の本を今読む気になるだろうかと
疑問符で書いた。狂人の殺人記録を読むのも苦痛かもしれない。
が、本人たちが正義だと信じ、「悪に復讐し、滅する」為に
想像もできない残虐性をもって「集団で公に」殺人を行う
歴史を淡々と語られた本を読むのはもっと苦痛だった。
それらは今起こり得ないとは限らない。
著者や訳者だけでなく多くの人はそう思うのではないか。
-------------------------------
とここまで書いていて、今更ながら
「それ」は継続されていたんだっけと思った。
ジェンダーとかなんとかもさることながら
(こういう言い方は語弊があるんだろうな)
ものすごく考えることが出てくる本。
あと何か夢に出そう・・・。
-------------------------------
公共機関から借りた本にさんざんラインが引かれてるのは
読みづらく不愉快だ。寄贈本なのだろうか
それとも入荷した新刊本に、過去に借りた者が
研究のために事細かに印をつけたのだろうか。
いずれにせよ邪魔である。
「魔女狩りという狂気」
Witchcraze
〜a new history of the European witch hunts〜
(オリジナル版は1994刊行か)
著:アン・ルーエリン・バーストウ
Anne Llewellyn Barstow
訳:黒川 正剛
(創元社)
プロローグ
序章
第一章 なぜ女性なのか−ジェンダー、数、階層
第二章 魔女狩りの構造
第三章 ヨーロッパ中央諸地域における魔女熱狂(witchcraze)
第四章 ヨーロッパ周辺地域における魔女狩り
第五章 女性と仕事−経済的周辺化
第六章 病治し(ヒーラー)から魔女へ
第七章 女性の身体の支配−暴力とサディズム
第八章 女性を閉じ込める
エピローグ
付録 魔女裁判の犠牲者数
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16−17世紀の近代初期に西欧で吹き荒れた魔女狩りの嵐は
女性狩りであったという主張のもとに記された魔女裁判研究書。
多くの参考文献から引用された本著は、魔女裁判の歴史的事象
だけでなく、魔女狩り(魔女裁判)が今までどのように研究されて
きたのか、どんな側面から描かれてきたかという歴史も綴る。
また、単に過去の事件としてだけでなく、「絶えず現代社会と
照らし合わせながら理解していこうとする、著者の激烈な姿勢に
裏打ちされている(訳者あとがきより)」。
序章は、欧米の魔女裁判研究の概略を読まされているような
気がしたが、既にここでもう著者の冷静な論のなかの
かなり激しい怒りのようなものを感じる。(翻訳だが)
途中、何度も読むのがいやになった・・・。
(その原因は翻訳の読みにくさだけではない)
欧州史、それも神聖ローマ帝国のことをいろいろ調べたくて
読み始めたものだから、最後まで読もうと思った。
結局読むペースが遅くなってしまい、少しずつ頁をめくって
2週間もかかった。
先日、異常殺人の本を今読む気になるだろうかと
疑問符で書いた。狂人の殺人記録を読むのも苦痛かもしれない。
が、本人たちが正義だと信じ、「悪に復讐し、滅する」為に
想像もできない残虐性をもって「集団で公に」殺人を行う
歴史を淡々と語られた本を読むのはもっと苦痛だった。
それらは今起こり得ないとは限らない。
著者や訳者だけでなく多くの人はそう思うのではないか。
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とここまで書いていて、今更ながら
「それ」は継続されていたんだっけと思った。
ジェンダーとかなんとかもさることながら
(こういう言い方は語弊があるんだろうな)
ものすごく考えることが出てくる本。
あと何か夢に出そう・・・。
-------------------------------
公共機関から借りた本にさんざんラインが引かれてるのは
読みづらく不愉快だ。寄贈本なのだろうか
それとも入荷した新刊本に、過去に借りた者が
研究のために事細かに印をつけたのだろうか。
いずれにせよ邪魔である。
痛快世界の冒険文学 (6) 宝島
2004年4月23日 読了本
ISBN:4062680041 単行本 1998/03 ¥1,575
「宝島」
文:宗田 理
原作:Robert Louis Stevenson
挿絵:徳田秀雄
痛快 世界の冒険文学6(講談社)
両親が経営する港の宿屋<ベンボー提督亭>で
ジム少年は、片頬に刀傷のある宿泊客と出会った。
男はジムに、『一本足の船乗りが来ないか見張れ』と言う。
ラム酒を飲んでばかりの男は、何ヶ月もジムの宿屋に
泊まり続けていたが、ある日潮風の匂いの漂う不気味な男が
宿泊客に会いにきた。それから海賊同士の揉め事に
巻き込まれ、偶然宝の地図を見つけたジム。
医者であり治安判事であるリブジーと地主のトリローニに
見せると、財宝探しの話が瞬く間に決まった。
脳溢血で死んでしまった宿泊客の男が言った
「一本足の船乗り」とは誰なのか。
雇い入れた水夫たちの不穏な空気に気づいたのは
とっつきにくそうで頑固な船長スモレットだった。
金に目が眩んだ大人たちと、正体を隠して乗り込んだ
水夫たち。目の前の冒険に胸を躍らせるジム。
それぞれの思惑を乗せて、ヒスパニオーラ号は船出した。
--------------------------------------------
何と言っても魅力的な人物がいろいろ出てくる。
また、正義と悪人とスパっと登場人物を区別しかねる
ところが、最後まで読ませる力にもなっている。
最初は人当たりのよいシルバーの凶悪な正体。
腹の底が読めないリブジーや、賢く勇敢だが、
かなり無鉄砲な主人公。
それからこの本では、どうやらオリジナルのキャラクター
らしいエミーという少女。ジム以外がみんな大人なので
宗田さんが創り上げた、原作にはない人物らしい。
彼女もなかなか魅力的で、奔放なところも前向きに
頑張るところも愛らしかった。
無人島で荒くれ者たちと闘うはめになる話は
「十五少年漂流記」でも語られていたが
地の利を生かし、先手を取ったり裏を掻いたりして
何とかしようとする双方のサバイバルゲームは
目が離せない。少年向け冒険小説なのだから
主人公は多分無事だろうと思いつつもハラハラ。
冒険小説なのだから、と思いつつ
次々と人が死んでいくことに、痛ましさもあり。
推理小説で顔の見えない連続殺人を読んでも
どうってことないが、こういう小説で
人が斃れていくことには何となく悲哀を感じる。
今、あまり大人が冒険小説を子供に薦めないのは
そういうことなんだろうか。
子供の頃読めば、ハラハラの展開にそんなことまで
考える余裕はないかもしれない。
冒険小説の代わりに、今は映像でも本でも
十分人殺しを目にする機会が増えている。
それをただ一方的に悪いと、よく少年犯罪の後で
影響を取り上げられることがあるが・・・。
どちらにしても虚構と現実の区別をつけさせるのは
周囲の大人の役割なんだろう。
「宝島」
文:宗田 理
原作:Robert Louis Stevenson
挿絵:徳田秀雄
痛快 世界の冒険文学6(講談社)
両親が経営する港の宿屋<ベンボー提督亭>で
ジム少年は、片頬に刀傷のある宿泊客と出会った。
男はジムに、『一本足の船乗りが来ないか見張れ』と言う。
ラム酒を飲んでばかりの男は、何ヶ月もジムの宿屋に
泊まり続けていたが、ある日潮風の匂いの漂う不気味な男が
宿泊客に会いにきた。それから海賊同士の揉め事に
巻き込まれ、偶然宝の地図を見つけたジム。
医者であり治安判事であるリブジーと地主のトリローニに
見せると、財宝探しの話が瞬く間に決まった。
脳溢血で死んでしまった宿泊客の男が言った
「一本足の船乗り」とは誰なのか。
雇い入れた水夫たちの不穏な空気に気づいたのは
とっつきにくそうで頑固な船長スモレットだった。
金に目が眩んだ大人たちと、正体を隠して乗り込んだ
水夫たち。目の前の冒険に胸を躍らせるジム。
それぞれの思惑を乗せて、ヒスパニオーラ号は船出した。
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何と言っても魅力的な人物がいろいろ出てくる。
また、正義と悪人とスパっと登場人物を区別しかねる
ところが、最後まで読ませる力にもなっている。
最初は人当たりのよいシルバーの凶悪な正体。
腹の底が読めないリブジーや、賢く勇敢だが、
かなり無鉄砲な主人公。
それからこの本では、どうやらオリジナルのキャラクター
らしいエミーという少女。ジム以外がみんな大人なので
宗田さんが創り上げた、原作にはない人物らしい。
彼女もなかなか魅力的で、奔放なところも前向きに
頑張るところも愛らしかった。
無人島で荒くれ者たちと闘うはめになる話は
「十五少年漂流記」でも語られていたが
地の利を生かし、先手を取ったり裏を掻いたりして
何とかしようとする双方のサバイバルゲームは
目が離せない。少年向け冒険小説なのだから
主人公は多分無事だろうと思いつつもハラハラ。
冒険小説なのだから、と思いつつ
次々と人が死んでいくことに、痛ましさもあり。
推理小説で顔の見えない連続殺人を読んでも
どうってことないが、こういう小説で
人が斃れていくことには何となく悲哀を感じる。
今、あまり大人が冒険小説を子供に薦めないのは
そういうことなんだろうか。
子供の頃読めば、ハラハラの展開にそんなことまで
考える余裕はないかもしれない。
冒険小説の代わりに、今は映像でも本でも
十分人殺しを目にする機会が増えている。
それをただ一方的に悪いと、よく少年犯罪の後で
影響を取り上げられることがあるが・・・。
どちらにしても虚構と現実の区別をつけさせるのは
周囲の大人の役割なんだろう。