『オリバー・ツイスト』Oliver Twist
2004(英・仏・伊・チェコ)
監督:ロマン・ポランスキー
製作:ロベール・ベンムッサ
アラン・サルド
原作:チャールズ・ディケンズ
(1812-1870)
脚本:ロナルド・ハーウッド
出演:バーニー・クラーク(オリバー)
ベン・キングズレー(フェイギン)
ハリー・イーデン(ドジャー)
ジェイミー・フォアマン(ビル)
リアン・ロウ(ナンシー)他
音楽:レイチェル・ポートマン
撮影監督:パヴェル・エデルマン
衣装デザイン:アンナ・シェパード
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
孤児オリバーが救貧院での労働、丁稚奉公を経て
単身ロンドンに向かい、歩き通し、
精魂尽き果てて倒れ伏しているところを
声を掛けてきた少年の属する盗賊団に
内情をわからぬまま入り、初仕事でしくじって
裕福な紳士の同情を得て、運良く小間使いとして
引き取ってもらえたのも束の間、盗賊団一味から
執拗に狙われ、再びアジトに戻ってくることに・・・。
果たしてオリバー少年に救いの手はくるのか?
と、いうお話。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
19世紀のイギリス。
子供の人権なんてなかったような時代。
庇護者のない孤児になれば、悲惨な環境で
毎日を過ごす場合がほとんどだろうと思わせる。
救貧院のものごとを決定する大人たちは
ご馳走を食べながらぶくぶく太り、
子供たちには器の半分にも満たないほどの粥。
(オートミールみたいなのかな。しかも濁った色が
ものすごい不味そう)
連れまわす役人や係官の衣装と容貌は
その存在だけで子供を苛めそうに見え、
裁判所の判事は厳格で口答えを許さない様子が
これまた型にはまっていて、哀れな子供たちを囲む
大人それぞれが「やなやつ」を見事に演じていて、
すごいなと思いました。
==============================================
以下、
ラスト内容(主人公の行く末)まで言及してます。
映画未見の場合で今後観る予定がある場合
ご注意ください。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
日本向け映画予告編ではフェイギンを
『心優しき悪党』のようなキャプションをつけ
紹介していたが・・・
あれは「優しい」んじゃなくて
「心弱い」だと思うなぁ。
弱くて卑しい、小さい。
それでも哀れに見える。
身寄りのない子供を集めて窃盗団にして
あらゆる底辺の悪事に染めていく。
高級品が入った宝箱を隠し、目撃されたら
刃物で脅して、返答次第では殺そうとする。
保身のために嘘の証言をして、育てた子供を
絞首台に送る。「優しい」って冠をつけた人は
どんな深い考察を持ってつけたのか
宣伝担当に尋ねてみたい。
年端のいかない頃から、少女たちには
街角に立たせてたような印象を受けたが。
無垢な少年が最後に幸せを掴む、
のように物語を説明されているが・・・
本当にあれが幸せなのか。
永遠に消えない傷を負った少年は
無垢のままでいられるのか。
庇護者が表われ経済的にも困らず
充分な教育を受け、
また人の愛情も受けるだろう。
オリバーの境遇の変化以外の救いがない。
これから少年に開ける未来を予想すれば
明るい気持ちになっておかしくないのに
この映画ではそれが無いし、そういう終り方には
なっていないような気がする。
また、天使のような美しさや、
庇護欲をそそる寂しげで哀しげな様子が
もし少年になかったら、周囲の大人たちは
どうしたろう。
窃盗や詐欺が生きていくために
賢いとは決して思わないと断っておくが、
この映画を観ている限り、ロンドンに着いてからの
オリバーには、ほとんど受け身で周囲に流されるまま。
明確な意思表示をしても受け入れられないという
残酷な状況ではあったが、それにしても
最後まで「救い」を待っている無力で哀れな
少年だった。この物語が冒険小説などでは
ないからだし、少年が苦労してやがて成長して
成功するなんて話でもない。
無垢で居続けることは
生きるために知恵を働かせ、策を練り、
前向きに行動して、何かを自分の手で
獲得することとは相容れないのか。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
原作もこんななのかな〜・・・??
ディケンズ原作で読んだ事あるのは
「大いなる遺産」くらいか。映画も観た。
翻訳小説を探してみたら、すぐ見つかったのが
新潮と角川の文庫。映画公開に合わせてだろうか
2005年末と2006年初めにそれぞれ新装版として
刊行されている。
こういうとき、ネット書店でも物語の内容だけでなく
翻訳の比較や、読みやすいレイアウトかどうかも
わかるといいのに、とつくづく思う。
そりゃ本屋で実際に比べないと無理だ。
本を開いたとき受ける印象。
文字サイズ、字間書体といろいろ好みがある。
どっちもたいした違いはないようですが
手に取ってみると案外あるものです。
手元に置いて、実際に読むなら
読みやすいほうがいい。
昔の文庫に比べて今は本当に一ページに文字が少ない。
そのせいで頁が嵩み、本は厚くなって料金も高くなる。
・・・かもしれないが、私はパラッとした印刷のほうが
やっぱり好きです。
(06-10-20に鑑賞)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ひと月もまえだけど
下書きメモ残ってました。
観てすぐだからこんな感じの感想になったんだろう。
えーとこの前後にも何本か観てます。
機会があったら書きます。
2004(英・仏・伊・チェコ)
監督:ロマン・ポランスキー
製作:ロベール・ベンムッサ
アラン・サルド
原作:チャールズ・ディケンズ
(1812-1870)
脚本:ロナルド・ハーウッド
出演:バーニー・クラーク(オリバー)
ベン・キングズレー(フェイギン)
ハリー・イーデン(ドジャー)
ジェイミー・フォアマン(ビル)
リアン・ロウ(ナンシー)他
音楽:レイチェル・ポートマン
撮影監督:パヴェル・エデルマン
衣装デザイン:アンナ・シェパード
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
孤児オリバーが救貧院での労働、丁稚奉公を経て
単身ロンドンに向かい、歩き通し、
精魂尽き果てて倒れ伏しているところを
声を掛けてきた少年の属する盗賊団に
内情をわからぬまま入り、初仕事でしくじって
裕福な紳士の同情を得て、運良く小間使いとして
引き取ってもらえたのも束の間、盗賊団一味から
執拗に狙われ、再びアジトに戻ってくることに・・・。
果たしてオリバー少年に救いの手はくるのか?
と、いうお話。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
19世紀のイギリス。
子供の人権なんてなかったような時代。
庇護者のない孤児になれば、悲惨な環境で
毎日を過ごす場合がほとんどだろうと思わせる。
救貧院のものごとを決定する大人たちは
ご馳走を食べながらぶくぶく太り、
子供たちには器の半分にも満たないほどの粥。
(オートミールみたいなのかな。しかも濁った色が
ものすごい不味そう)
連れまわす役人や係官の衣装と容貌は
その存在だけで子供を苛めそうに見え、
裁判所の判事は厳格で口答えを許さない様子が
これまた型にはまっていて、哀れな子供たちを囲む
大人それぞれが「やなやつ」を見事に演じていて、
すごいなと思いました。
==============================================
以下、
ラスト内容(主人公の行く末)まで言及してます。
映画未見の場合で今後観る予定がある場合
ご注意ください。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
日本向け映画予告編ではフェイギンを
『心優しき悪党』のようなキャプションをつけ
紹介していたが・・・
あれは「優しい」んじゃなくて
「心弱い」だと思うなぁ。
弱くて卑しい、小さい。
それでも哀れに見える。
身寄りのない子供を集めて窃盗団にして
あらゆる底辺の悪事に染めていく。
高級品が入った宝箱を隠し、目撃されたら
刃物で脅して、返答次第では殺そうとする。
保身のために嘘の証言をして、育てた子供を
絞首台に送る。「優しい」って冠をつけた人は
どんな深い考察を持ってつけたのか
宣伝担当に尋ねてみたい。
年端のいかない頃から、少女たちには
街角に立たせてたような印象を受けたが。
無垢な少年が最後に幸せを掴む、
のように物語を説明されているが・・・
本当にあれが幸せなのか。
永遠に消えない傷を負った少年は
無垢のままでいられるのか。
庇護者が表われ経済的にも困らず
充分な教育を受け、
また人の愛情も受けるだろう。
オリバーの境遇の変化以外の救いがない。
これから少年に開ける未来を予想すれば
明るい気持ちになっておかしくないのに
この映画ではそれが無いし、そういう終り方には
なっていないような気がする。
また、天使のような美しさや、
庇護欲をそそる寂しげで哀しげな様子が
もし少年になかったら、周囲の大人たちは
どうしたろう。
窃盗や詐欺が生きていくために
賢いとは決して思わないと断っておくが、
この映画を観ている限り、ロンドンに着いてからの
オリバーには、ほとんど受け身で周囲に流されるまま。
明確な意思表示をしても受け入れられないという
残酷な状況ではあったが、それにしても
最後まで「救い」を待っている無力で哀れな
少年だった。この物語が冒険小説などでは
ないからだし、少年が苦労してやがて成長して
成功するなんて話でもない。
無垢で居続けることは
生きるために知恵を働かせ、策を練り、
前向きに行動して、何かを自分の手で
獲得することとは相容れないのか。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
原作もこんななのかな〜・・・??
ディケンズ原作で読んだ事あるのは
「大いなる遺産」くらいか。映画も観た。
翻訳小説を探してみたら、すぐ見つかったのが
新潮と角川の文庫。映画公開に合わせてだろうか
2005年末と2006年初めにそれぞれ新装版として
刊行されている。
こういうとき、ネット書店でも物語の内容だけでなく
翻訳の比較や、読みやすいレイアウトかどうかも
わかるといいのに、とつくづく思う。
そりゃ本屋で実際に比べないと無理だ。
本を開いたとき受ける印象。
文字サイズ、字間書体といろいろ好みがある。
どっちもたいした違いはないようですが
手に取ってみると案外あるものです。
手元に置いて、実際に読むなら
読みやすいほうがいい。
昔の文庫に比べて今は本当に一ページに文字が少ない。
そのせいで頁が嵩み、本は厚くなって料金も高くなる。
・・・かもしれないが、私はパラッとした印刷のほうが
やっぱり好きです。
(06-10-20に鑑賞)
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ひと月もまえだけど
下書きメモ残ってました。
観てすぐだからこんな感じの感想になったんだろう。
えーとこの前後にも何本か観てます。
機会があったら書きます。
コメント