女の園

2006年7月18日 観た映像
DVD 松竹 2006/06/24 ¥3,990

「女の園 」 1954年/日本/モノクロ

監督/脚本:木下惠介

原作:阿部知二
撮影:楠田浩之
美術:中村公彦
音楽:木下忠司
製作:山本武

出演 高峰三枝子/高峰秀子/岸惠子
/久我美子/田村高廣/東山千栄子 他

京都の女子大学では、良妻賢母を教育の柱とし
厳格で古い校則にのっとり、学生たちを締め付けていた。
遠方から入学した生徒のための寮には、地方の裕福な家の
お嬢様が数多く生活していたが、門限から就寝時間に至るまで
こと細かに規則を重視、寮監(寮母)に絶対的に服従を強いられていた。
それぞれの理由により反発し、不満を募らせる生徒たちは
とうとう集団で声を上げるのだが・・・。

他の女子学生より年上の芳江は、学業に追いつかず
悩んでいた。心の慰めであった恋人との書簡のやり取りも、
すべて寮監たちに検閲され、しつこく干渉される彼女は
生徒たちの反対運動にも否応無く巻き込まれ
次第に精神を蝕まれていく。

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥

大御所女優たちの若き姿が美しい。
今なら信じられないような「締め付け」に対し
若いなりに反発し、懸命にもがく様子が、
可愛らしくもあり痛々しいときもある。

なんといっても怪物高峰三枝子。ホラー映画かと
思いました。こわい。撮影の仕方もあるにせよ、
あの雰囲気、能面のような冷たい表情。
言葉はなくとも圧迫感があり、ぞっとした。

追いつかないから就寝時間後も勉強がしたいという
至極まっとうな希望さえ叶えられず、融通のきかない
規則をぎちぎちに守らせる学校側の石頭には
観ているほうもしんどくなった。

芳江と恋人のやりとりは、相手を思うあまりの
すれ違いではあるが、壮大な夢を持つよりも
愛する人と小さくても身近な倖を望む男と
自分のために小さくまとまっていくことを憂う女が
噛み合わなくなっていくのは、今も昔も
物語で描かれるような気がした。

ただ、ここまで彼女を気遣い、受け入れようとする男の
どこが不満なのだろうと、外国映画の「男が女の愛するとき」
を思い出したりして、結局、想うだけで二人とも、
相手のことを本当にわかってないのかなと考えた。

ラストは重苦しく、後味の悪く、切ない結果となったが
何か突き放したような、冷静な目が作り手にあって
ただ悲しませるだけではなかった。
これは、いつまでも心に残りそうな作品です。

(NHKで放映されたものを鑑賞)

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