国家の品格

2006年3月1日 読了本
ISBN:4106101416 2005/11 ¥714

「国家の品格」

著:藤原 正彦
新潮新書(新潮社)

第一章 近代的合理精神の限界
第二章 「論理」だけでは世界が破綻する
第三章 自由、平等、民主主義を疑う
第四章 「情緒」と「形」の国、日本
第五章 「武士道精神」の復活を
第六章 なぜ「情緒と形」が大事なのか
第七章 国家の品格

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無闇に「愛国心」を煽る書ではないです。
祖国を愛する心を養う本です。
同じことに見えて違うらしいのです。

難しいけど、何となくこういうことかな?と
自分のなかでたまには一生懸命考えることも大事。

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最初読み始めたときはちょっと「えー?」
「それはちょっと言い過ぎでは」と思う記述もありました。

『もしも私の愛する日本が世界を征服していたなら、今ごろ世界中の子供たちが泣きながら日本語を勉強していたはずです。まことに残念です。』『欧米は野蛮だった』『当時のヨーロッパはその程度のものでした』
そんな文章を読んでしまったら、ナンだろこのひとと思うかも。

ときどきツッコミ入れたくなっても、しかし、終わりまで読めば、筆者の言いたいことが伝わってくるような気がします。講演内容を原稿に起こしたもので、分かりやすい簡単な例えを多く引用して説明されています。

日本人としてのホコリがどうこう言われる本はたくさんあります。今まででも多くの本がベストセラーになっています。昔、『「NO」と言える日本』なんてのもありました。多くはアメリカの日本州なんて自分たちでさえ揶揄ってしまう立場の国を、憂うものです。

だからと言って、他国の文化や芸術、風俗や習慣などを貶めて、自国のそれを高みに据え、だから日本はすごいんだ、日本人は偉いんだと言っても詮無いことです。確かに比較する対象があれば、違いを楽しむことも出来ます。進化や変節を比べて、明らかにこっちのほうが優れているよなあ!と言いたくなる事もたくさんあるかもしれない。でも、大雑把な解釈だけで優劣を説明する本はあまり好きではありません。

この本ももしかしたら、そういうところで読者の鬱屈した感情を晴らそうとしているのかな、とカンチガイしていましたが、そればっかりではない。(ちょっと贔屓しているなあと思うトコもちらほら)

時事問題、海外からやってくるニュースなどを観ながら、ネット速報や新聞記事、テレビの画面にぶつぶつ言いたくなる人たちのモヤモヤした気持ちを、ちょっとだけピリっとさせて、僅かながら「そうそう、そういうことが言いたいのかも?」なんて思いたくなる。

それから面白かったのが、「論理を徹底すれば問題が解決出来る」という考え方が誤りだとはっきり言っているところ。逆に覚えていたり、論理的がいいんだ、そうじゃなきゃ頭が悪いって思われちゃう?なんて理系で知的なひとびとに憧れを抱いてるような数学嫌い文系人間はけっこういるんじゃないかと思います。そういう自分を慰めるには、かなり勇気づけられちゃうことが書いてありました(笑)

自分の言い訳にするだけじゃなくて、筆者の言っていることも一理あると思わせる持っていきかたは上手いと思いました。これは矛盾になりますが、ちゃんと筋道立ってて、論理の弱点を突くのに論理的に説明してるから?さて、そのへんは賢い人が読んでみた感想を聞いてみたいです。数学の先生がこういってるんだからあながち嘘じゃないだろう!と信じたくなるのも興味深いことだと思います。

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新渡戸さんの『武士道』はおじさまたちのロマンであり、
バイブルなんだろうな、と時々思います。
(おじさまに限らず、多くの老若男女にも?)
これは皮肉とかではなく、素直に。
確かに興味深いし、大切なこと、こうでありたいと
考えることは、たくさん書いてあります。

『武士道』が執筆された当時に武士道は失われつつあったし、
もしかしたらもう既に失われていたかもしれない。
そもそも武士道に書かれていたことが実際全部真かというと
今は推測しか出来ないです。たぶんそうでは無かったのでは
ないかと考えられます。
武士道も騎士道も、筆者がアメリカの事例を挙げていた
「ダブルスタンダード」だと言えるのでは、と思います。
男女の差なく、下層階級、身分で虐げられた人たちに対して
まんべんなく適用されたかというとそうではないだろうからです。

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でも、理想としていつも掲げていたいことはあると思います。
実際には身をもって行うことが困難であっても。

近代化をひた走る日本が失ったもの。
それは明治維新から今までずっと言われてきたことなのかも。

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今回の本を読むきっかけは・・・
またしても家族が、人に薦められて購入したものを
先に読ませてもらいました。
向こうはビジネス関係者によく勧められてくるんですねぇ。
仕事上のお付き合いでも、同僚との話でも、話題のひとつに
なるのかもしれないです。書いてあることをそのまま、さも
自分の意見のように言うのはイマイチだと思います。
酒の席で熱く語るお父さんはご注意。

しばらく読んでる本にファンタジーの香りが全然ない。
小説読みたいなー。

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