ISBN:4566012859 1999/10 ¥1,680

『エスターハージー王子の冒険』

ESTERHAZY
Eine Hasengeschichte

著:イレーネ・ディーシェ
  ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー
絵:ミヒャエル・ゾーヴァ

by Irene Dische/Hans Magnus Enzensberger
Illustrated by Michael Sowa

翻訳:那須田 淳/木本 栄(共訳)

評論社

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エスターハージー家はオーストリアでは有名な貴族ウサギの家系。
先祖代々、子沢山で栄えてきたのだが、ここんとこ数代に渡り
徐々に身体が小柄になってきています。
ちゃんと野菜を食べないで、チョコレートやケーキを食べてるから。
このままだとエスターハージーのウサギたちはミニチュアウサギに
なってしまう。ご当主ウサギは心配して、自分の孫たちを
世界に派遣し、体格のいいお嫁を探すように命じるのでした。

かくしてエスターハージー王子、本名が・・・
ミヒャエル・パウル・アントン・マリア・エスターハージー殿下
・サラダの王子一万二千七百九十二世・ニンジン河の王・・・・云々の
彼は、まだベルリンの壁のあったドイツに旅することになったのです。

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お話の作者さんより、挿絵のゾーヴァさんが有名かもしれない本。
私もゾーヴァさんの絵の展示会を観て、おっきな豹柄パンツを
気に入ってしまったウサギ王子の絵が好きになって、本を買いました。

絵も可愛いが、お話も良いです。
これ、絵本か児童書だと思ってましたが、
どうも内容からすると、大人のための童話でもあるようです。

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ウサギが街中にいてもちっともおかしくないかわりに
人間たちに翻弄される世間知らずの王子様。

それから、ドイツの東西を分断した、「壁」。

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味のある素敵な挿絵も満足。

深く考えても、さらさら読んでも、
どっちにしても何か残る本だと思います。

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