DVD 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
2000/12/01 ¥4,179
「渚にて」ON THE BEACH 1959年アメリカ
制作/監督:スタンリー・クレイマー
脚本:ジョン・パクストン
撮影:ジュゼッペ・ロートゥノ
音楽:アーネスト・ゴールド
出演:
グレゴリー・ペック(艦長)
エヴァ・ガードナー(モイラ)
アンソニー・パーキンス(ピーター)
フレッド・アステア(ジュリアン)
ドナ・アンダーソン(マリー)
==================================================
第3次世界大戦が勃発し、核兵器使用のために北半球はすでに全滅、戦闘をのがれた南半球の一部の地域にも死の灰は近づきつつある。そんななか、生き残った米国原子力潜水艦の艦長(グレゴリー・ペック)は、オーストラリアのメルボルンに寄港後、アメリカ本国から届いた謎の無線を調査すべく出発したが、祖国にはもはや人影すらなかった。
====================================あらすじ引用ここまで
原作は古典SFの名作、ネビル・シュートの「渚にて−人類最後の日−」
(サブタイは創元推理文庫/井上勇:翻訳による)
この映画では設定は生かしつつ、大人の恋愛メロドラマの要素を濃くした印象。
全編に渡って流れる"Waltzing Matilda"は、私にとって長いこと
イメージの中の映画音楽でしかなかったが、今回初めて映画を観ることができ
やっと映像と重なった。
子供の頃に、昔この映画を観て感動した親から繰り返し聞かされた
この映画のラストシーンは、残念ながら思い描いていたものと違い、
たぶん親の記憶違いなのだろう、途中にそのエピソードが出てきていた。
大人になってから原作を見つけて読み、心に残る想像のシーンと合わせて
心の中の大好きなSF小説に殿堂入り。
死ぬ間際まで静かに運命を受け入れようとする様が
奇麗事だと言われることもあるかもしれないが・・・
原作を読んだときは、それでも、最後の日が哀しかった。
この小説に出てきた人間たちはみんな愛しい。
あまりにも特別で、イメージだけが広がっていた映画だったが、
実際観てガッカリするなら、一生観ない方が良いとも思っていた。
このたびたまたま見つけて、届いてすぐに観てしまいました。
結果的には観てよかったかな。
観る前に、実は映画としての評価がいろいろあることはネットで
読んでしまっていたので、過度な期待をしていなかったのかも。
モイラ役のガードナーは小説のイメージと違ってたかな。
解釈の違いかなー。
でも、表情に泣かされるくらいいい女優さんだなあと思いました。
アステアが出演しててびっくり。
Roman’s Holidayから、クラシック映画のスターではペック大好きなので
メロ展開がお似合いでした。
あと、この頃の映画はたいてい、白人しか出てこないのですね。
アフリカ系アメリカ人は潜水艦に乗ってなかったのだろうか・・・。
勿論、小説には遙かに及ばず。
しかし原作の良さは・・・そこそこ入ってたと思う。
戦闘や爆撃などの場面もなく、ヒトの死体もなく。
ただ静かに終るときを待つ善良なひとびと。その哀しさ。
滅亡した国に寄港すると、町は無人で静まり返っている。
人の愚かしい行いから来る結果、その恐ろしさを表現。
いくら滅亡しても、建物などに損壊が無くて生物だけが死に絶える場合、
街のどこにも死体が無いのは不自然なのですが、あえて
そうするのもありかなと思いました。
「人間は死ぬときはベッドに行くものだ」って言ってましたし。
SF映画とは言えず、また警鐘を鳴らす意味での社会派映画としても
迫力や説得力にはちょっと欠けているんですが・・・。
当時のアメリカ社会からすれば、制限もあったろうし、その中で
やっぱり言いたかったことが、皆あったんじゃないかと思いました。
アステアの台詞もそうですし、最後を迎えるそれぞれの様子に
感じ取ることが出来ると思います。
この映画から半世紀以上過ぎても悪くなる一方の情勢を考えると
映画や小説で訴えたところで、本当に人の心に響いているのかどうか。
絵空事として現実と区別する分別だけは長けているかに見えても、
実際に起こったらどうなるか想像し、それを止めようとする力は
どんどん衰えているような気もします。
2000/12/01 ¥4,179
「渚にて」ON THE BEACH 1959年アメリカ
制作/監督:スタンリー・クレイマー
脚本:ジョン・パクストン
撮影:ジュゼッペ・ロートゥノ
音楽:アーネスト・ゴールド
出演:
グレゴリー・ペック(艦長)
エヴァ・ガードナー(モイラ)
アンソニー・パーキンス(ピーター)
フレッド・アステア(ジュリアン)
ドナ・アンダーソン(マリー)
==================================================
第3次世界大戦が勃発し、核兵器使用のために北半球はすでに全滅、戦闘をのがれた南半球の一部の地域にも死の灰は近づきつつある。そんななか、生き残った米国原子力潜水艦の艦長(グレゴリー・ペック)は、オーストラリアのメルボルンに寄港後、アメリカ本国から届いた謎の無線を調査すべく出発したが、祖国にはもはや人影すらなかった。
====================================あらすじ引用ここまで
原作は古典SFの名作、ネビル・シュートの「渚にて−人類最後の日−」
(サブタイは創元推理文庫/井上勇:翻訳による)
この映画では設定は生かしつつ、大人の恋愛メロドラマの要素を濃くした印象。
全編に渡って流れる"Waltzing Matilda"は、私にとって長いこと
イメージの中の映画音楽でしかなかったが、今回初めて映画を観ることができ
やっと映像と重なった。
子供の頃に、昔この映画を観て感動した親から繰り返し聞かされた
この映画のラストシーンは、残念ながら思い描いていたものと違い、
たぶん親の記憶違いなのだろう、途中にそのエピソードが出てきていた。
大人になってから原作を見つけて読み、心に残る想像のシーンと合わせて
心の中の大好きなSF小説に殿堂入り。
死ぬ間際まで静かに運命を受け入れようとする様が
奇麗事だと言われることもあるかもしれないが・・・
原作を読んだときは、それでも、最後の日が哀しかった。
この小説に出てきた人間たちはみんな愛しい。
あまりにも特別で、イメージだけが広がっていた映画だったが、
実際観てガッカリするなら、一生観ない方が良いとも思っていた。
このたびたまたま見つけて、届いてすぐに観てしまいました。
結果的には観てよかったかな。
観る前に、実は映画としての評価がいろいろあることはネットで
読んでしまっていたので、過度な期待をしていなかったのかも。
モイラ役のガードナーは小説のイメージと違ってたかな。
解釈の違いかなー。
でも、表情に泣かされるくらいいい女優さんだなあと思いました。
アステアが出演しててびっくり。
Roman’s Holidayから、クラシック映画のスターではペック大好きなので
メロ展開がお似合いでした。
あと、この頃の映画はたいてい、白人しか出てこないのですね。
アフリカ系アメリカ人は潜水艦に乗ってなかったのだろうか・・・。
勿論、小説には遙かに及ばず。
しかし原作の良さは・・・そこそこ入ってたと思う。
戦闘や爆撃などの場面もなく、ヒトの死体もなく。
ただ静かに終るときを待つ善良なひとびと。その哀しさ。
滅亡した国に寄港すると、町は無人で静まり返っている。
人の愚かしい行いから来る結果、その恐ろしさを表現。
いくら滅亡しても、建物などに損壊が無くて生物だけが死に絶える場合、
街のどこにも死体が無いのは不自然なのですが、あえて
そうするのもありかなと思いました。
「人間は死ぬときはベッドに行くものだ」って言ってましたし。
SF映画とは言えず、また警鐘を鳴らす意味での社会派映画としても
迫力や説得力にはちょっと欠けているんですが・・・。
当時のアメリカ社会からすれば、制限もあったろうし、その中で
やっぱり言いたかったことが、皆あったんじゃないかと思いました。
アステアの台詞もそうですし、最後を迎えるそれぞれの様子に
感じ取ることが出来ると思います。
この映画から半世紀以上過ぎても悪くなる一方の情勢を考えると
映画や小説で訴えたところで、本当に人の心に響いているのかどうか。
絵空事として現実と区別する分別だけは長けているかに見えても、
実際に起こったらどうなるか想像し、それを止めようとする力は
どんどん衰えているような気もします。
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