ISBN:4061859404 文庫 1995/05 ¥680

著:石川 英輔
講談社文庫(講談社)


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部分的には正しいが・・・・
大小暦
和算
時刻と時計
からくり
富士塚
錦絵
銃と刀
天文学

錠と鍵
花火
朝顔
もう一つの合理性
対談 江戸の科学技術観を探る(中村桂子・石川英輔)

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モノクロの文庫本にこれだけ口絵を載せた編集サイドの
ご苦労がしのばれる(笑)

カラー/もう少し拡大した図で見られたら良かったのだが
カラー刷や写真図鑑をメインとしない文庫なのだから
仕方ないかもしれない。

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科学技術に頼った現代社会(書かれた1990年代はじめ)
を『累積による誤謬』とし、江戸時代日本人の先祖たちが
築いた文化、技術を振り返る必要を説く。

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著者は近代化に遅れた知識や技術について、
娯楽や趣味の域から発展しなかった技術について
すべて良しとしているわけではない。

だが、やみくもに西欧列強諸国を真似した上で
どんな国になってきたのか、つくづく考えさせられる。

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現代の便利な生活から、昔に戻れやしないとわかっていても
つい江戸の暮らしにうらやましさを感じさせるような
面白いものがいろいろ。

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歴史を遡り研究した本を読みながら
よく思うことは、どれが本当だったか、やっぱり
わからないのだな、ということ。

歴史上のことは全て残された史料に基づく推論でしかない。

残っている物質物品については、今現在正確に近いと言われる
「科学的な」方法を使って、当時のあらゆる資料と合わせて、
より真実に近づいた推定ができるだろう。

しかし、人の書いた文献を中心に頼りに推測したことは
たとえ定説であっても、その文献を最初に取り上げた人の
考えがまず上がるのだと思う。

『実際この目でみたわけでなし』って言葉は
歴史を研究する上で味気ないし言っても仕方ない。

だが、どれをその時代の「自分自身の定説」にするかは
毎回いろんな本によってぐらぐらする。

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書いてあることがこのあいだ読んだものと違う、
テレビの歴史ドキュメンタリーの説明と違う、
小説やドラマじゃない研究書や論文なのに
作者の推論、思い込み、フィクションなのだろうか・・・と
時たま思うことがある。

それは統計調査やアンケートなどでも思う。
統計学はやってないのでよくわからない。
国民これだけでこういう項目のアンケートなら
何千人調べればほぼこれくらいの精度の結果が出る、とか
よくわからない。

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自分で調べ物をするとき、困るだろうこと。

Aをやっていた人はこの時代たくさんいた。
調べたらそういう記述の文献が10も出てきた。

たくさんが100人のうちの10人か
1万人のうちの10人かわからなければ
その時代の「たくさん」はわからない。

Aは流行で、文章に残したくなる出来事かもしれない
文章に残すようなタイプの人がよくやることかもしれない
例えば地域が限られていて、今調べたら戦時中も焼け残った為
資料が他より残っていた・・・ってことはないのか。

何かを調べようと思ったら、ある程度仮説を立てて
それを証明するように追って行くほうが
絞ってできるから、まず推論があるのではないか。
推論に囚われるが故に、調べることは無意識に
立証できるようなものを選んでいないか。

とか何とか。

どうやって調べていってるんだろう・・・。

私の場合、溢れる資料の山に埋もれて、
何でもかんでも、まとめ切れないのだ。

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