ISBN:4062508079 単行本 1992/11 ¥1,890

少年少女古典文学館7(講談社)

<堤中納言物語>

文:干刈あがた
絵:ひらいたかこ
解説(コラム):神野藤昭夫

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花桜折る少将
このついで
虫愛ずる姫君
ほどほどの懸想
逢坂こえぬ権中納言
貝合わせ
はなだの女御
はいずみ

<うつほ物語>

文:津島 佑子
絵:藤川秀之
解説(コラム):室伏信助

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俊蔭
うつほ
仲忠
貴宮
親友
母の琴
犬宮
新東宮
よろこびの琴

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講談社の子供向け古典全集のうちの一冊。
語句のわかりやすい解説(注釈)を上段に置き、
口絵や挿絵も入っている。

著名な作家が文章を改めて書いているので
ただの訳文、またそれの簡略化したものではない。

「堤〜」担当の干刈あがたさんはこれが遺作となったらしい。
若くして亡くなって、惜しいと思っている。
この古典は短編集で、中納言や少将など麗しの公達が
繰り広げるお話。原作もこの本でも、喜劇的に落としたり、
なかなか風情があったり、面白い短編集。

「うつほ」は宇津保物語、芸術一家の四代に渡る大河ドラマ。
全20巻という世界最古(?)の長編小説らしい。
この話では長編を短く、それも一冊の半分で表現しなければ
ならないため、津島氏もかなり苦労なさったらしい。

この本では、既に亡くなった一代目の俊蔭が
霊魂のまま彷徨いつつ、娘や孫、その子供の行く末を
案じながらナレーションしていく、という内容。
琴という楽器を中心に、幻想的な演奏風景や
壮大な演出など、想像するとうっとり。
音が欲しいけど、実際はとても再現できないだろうなぁ。

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