ISBN:4791759486 単行本 2002/03 ¥2,310

「愛の手紙―文学者の様々な愛のかたち」

編:日本近代文学館(青土社)

解説執筆者:
池内輝雄・岩橋邦枝・久保忠夫・紅野敏郎・曾根博義・竹盛天雄
・十川信介・中島国彦・中村稔・保昌正夫・本多浩

現代語訳:中島稔

第1部 愛する人へ

北村透谷から石坂ミナへ
半井桃水から樋口一葉へ
田村俊子から岡田八千代へ
萩原朔太郎から馬場ナカへ
島木赤彦から今井邦子へ
深尾須磨子から平戸廉吉へ
島崎藤村から加藤静子へ
谷崎潤一郎から根津松子へ
斉藤茂吉から永井ふさ子へ
立原道造から若林つやへ
太宰治から山崎富栄へ

第2部 妻へ

福地桜痴からさとへ
二葉亭四迷から柳子へ
夏目漱石から鏡子へ
有島武郎から安子へ
大町桂月から長へ
芥川龍之介から文へ
室生犀星からとみ子へ
高見順から秋子へ
加藤道夫から治子へ
川口松太郎から愛子へ

第3部 家族へ

森静男から長男鴎外へ
池辺三山から弟穫三郎へ
樋口虎之助から妹一葉へ
萩原朔太郎から従兄栄次へ
石川啄木から妹光子へ
岡本かの子から兄大貫雪之助へ
与謝野晶子から子供たちへ
里見?から兄有島武郎へ
有島武郎から母幸子へ
平戸廉吉から姉岡村文子へ
芥川龍之介から子供たちへ
長谷川時雨から妹春子へ

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作家と、手紙にまつまる解説は、それぞれの手紙の紹介ごとに、
最初に500文字前後にまとめられている。

手紙そのものの写真、及び作家本人や手紙を宛てた当人の写真、
また、昔の資料写真を掲載しているビジュアル本。

手紙は原文と、難しい場合は現代語訳も載せている。
その後に解説はなく、手紙そのものを味わえる。

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先日の「愛の書簡」とは、抜粋した手紙文や解説から
人物相関の捉え方が多少違って見えるものもあり、
比較するのは面白い。

今回タイトルからレビュー画面を探していて、
こういった作家の書簡を集めた解説本が何点かあることに気づく。
確かに手紙と解説で、何冊も本できそうです。

名が残る作家の人生そのものが小説というか、ドラマになり得る。
時代が違うだけでそれらはやけに起伏に富んでいる様に感じたりする。
なにかロマンスの香り付けをしたくなって、後の世の人が推察したり
脚色した解説をしたところで、実際のところは、
今はもう知ることができない。

考えてみればウチのおばーちゃんの若い頃の話聞いたときも
頭の中ではすっかり少女漫画になっていた。
昔話はいつだってそんな感じ。
言い出したらキリないかな。日常も描き方でドラマになるしなぁ。

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あと、その人の文面だけでなく、筆跡が見られるのも
(特に書をたしなんでる方には)興味深いのではないでしょうか。
時代が古くなれば、余計漢文に近いような文もあるわけで。
つながった字の文面を見てると「こ、古文書?」と思ったり。

「愛の書簡」でも書いてあったが、当時の郵便配達の人は
文字の判別に長けた人が多かったのかなあ、と。
行書ですらすら封筒のオモテ書をされても、読めないです〜。
しかも住所は、簡略化されてるの多いし。
『本郷千駄木 森鴎外先生』『陸軍省森林太郎様』だけで
届いたらしい、と「愛の書簡」まえがきにありました。

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