ISBN:4892192325 単行本 2003/05 ¥1,890
「作家たちの愛の書簡」
著:大島 和雄 (風涛社)
森鴎外の手紙
・鴎外の生涯/やんちゃ妻茂子へ/愛する子供たちへ
夏目漱石の手紙
・心の友正岡子規/妻鏡子へ/愛弟子芥川龍之介へ
樋口一葉の手紙
・一葉と半井桃水/「日記」にみる心のゆらぎ
/師桃水の君へ
島村抱月の手紙
・秀才島村滝太郎(抱月)/抱月と須磨子の恋
/抱月のラブレター/二人の死
島崎藤村の手紙
・「破戒」と妻冬子の死/藤村とこま子・禁断の性
/加藤静子へ/終焉の地・大磯
竹久夢二の手紙
・夢二とたまき/「永遠の恋人」彦乃
/お葉と夢二の晩年/夢二の死
北原白秋の手紙
・トンカ・ジョン白秋/姦通事件・俊子との恋
/もろかった章子との結婚/菊子との晩年・こども
谷崎潤一郎の手紙
・妻の譲渡事件/「蓼喰ふ蟲」の重要性
/松子との出会い/根津松子へ
岡本かの子の手紙
・聖家族/宗教遍歴の旅/息子太郎へ
芥川龍之介の手紙
・塚本文へ/師夏目漱石へ/不如意な結婚生活
/心よわき人・その死
伊藤野枝の手紙
・「日蔭茶屋」事件/野枝から獄中の大杉へ
/虐殺−甘粕事件
林芙美子の手紙
・芙美子の放浪人生/欧州から夫緑敏へ
/成功から死へ
中島敦の手紙
・異常な文学的才能/橋本タカとの結婚
/南洋の島から息子へ
太宰治の手紙
・太宰治の執着/「斜陽」太田静子との恋
/山崎富栄との心中
堀辰雄の手紙
・「病」の詩人/「風立ちぬ」矢野綾子
/加藤多恵子との結婚
------------------------------------------
手紙が重要な連絡手段だった時代、
心のたけを文章にのせて、相手に届けていく。
15人の作家のプロフと、主に恋愛や結婚の履歴を
残された書簡の文面とともに紹介する。
明治から昭和の初期まで
なんとも味のあるちょっとした文学史でもあります。
芥川龍之介が十代の塚本文に書いたラブレターが印象的。
結婚したら、二人の(文通)書簡を残そう、と言うあたり
もしかしたら作家として手紙が残るということも
頭にあった演出つきの文章なのかもしれない、と
思ってはみたが、やはりここは素直に読むことにしました。
若者だった当時の芥川が誠実に求婚する文面は
もらった女の子としては嬉しかったのではないかと思いたい。
島村抱月は須磨子と恋に落ちたとき、だいたい40歳すぎ。
それでもってその文面たるや、たいしたたまげた・・・。
なんかオネエ言葉になってます。
『〜まっていて頂だい』『名前なんてどうでもいいでしょう』
『〜と思ってくれなくて?』
『恋はいろんなことをおしえるものね。けれども二人の仲だけは、
必ず必ず打ち明けっこよ。』などなど。うひゃー。
夫婦や恋人同士になると睦言にしても普段の生活にしても
会話が幼児語化したりすることは多々あると思うが、
それが文章になって後々まで残っちゃうとしたら
いたたまれない気がする・・。でもここまでらぶらぶだと
微笑ましい。抱月さんの奥さんは不憫だけど。
岡本かの子が息子太郎に会いたいと想いながら綴った手紙、
それから死後、夫と太郎が交わした電報は心を打つ。
苦手だった太宰や谷崎は文面見てさらに苦手になった(笑)
ついでに島崎藤村も最近嫌いになったので
イロメガネで読んでしまった。(単純すぎ)
夏目漱石の英国からの手紙は
寂しくて仕方ない様子がわかって、何か切ない。
--------------------------------------------
先週、期限のある本や手元のものも読んでしまったので
春に100円ショップで集めた日本文学シリーズを
開いてみた。芥川の作品は三冊出てたので全部買った。
このシリーズとってもお買い得。字大きいし注釈つき。
しかし途中の引用例は不要かなあ。
結婚式や入社式など、いろいろな場面で
スピーチに使えって言われても・・・。
『歯車』や『或阿呆の一生』などを改めて読んで
以前読んだ時より何か引っかかるものがあった。
なので久しぶりに日文の棚を見て作家論や作品論を探す。
どれも読む気になれなくて、何となく手に取ったのが
この本ともう一冊。どちらも作家の書簡集だ。
著名な作家がどんな人生を送ったか、
たとえば教科書や文庫本の作家紹介や解説から
ある程度は知っていても、人生そのものがゴシップ、
三面記事になりそうな作家以外は、
深く私生活に踏み込んでは知らなかった。
第三者の目を通したインタビューや作家についての
思い出話などの記述からしか推測しようがないし
本当はどんな人だったかなんて、やっぱりわからない。
当時の作家には所謂「私小説」が多く、それら作品は
たいてい彼らの人生を辿りながら論じられている。
作家の人生がどうであれ、どれだけ不実な人間だろうが
激しい恋愛をしようが、作品だけ受け取っていた時のほうが
素直に読んでいたような気がする。
現在活躍中の作家で好きな人は何人かいるが、彼らの
プライベートを知りたいとは特に思わない。
日常エッセイくらいなら楽しんで読ませていただくかも
しれないが、あまり本人たちに興味はない。
昔の作家については、私的な事柄についてまで
何となく読んでしまうのは妙なものです。
(森おう外の「おう」の字は略字にしました)
「作家たちの愛の書簡」
著:大島 和雄 (風涛社)
森鴎外の手紙
・鴎外の生涯/やんちゃ妻茂子へ/愛する子供たちへ
夏目漱石の手紙
・心の友正岡子規/妻鏡子へ/愛弟子芥川龍之介へ
樋口一葉の手紙
・一葉と半井桃水/「日記」にみる心のゆらぎ
/師桃水の君へ
島村抱月の手紙
・秀才島村滝太郎(抱月)/抱月と須磨子の恋
/抱月のラブレター/二人の死
島崎藤村の手紙
・「破戒」と妻冬子の死/藤村とこま子・禁断の性
/加藤静子へ/終焉の地・大磯
竹久夢二の手紙
・夢二とたまき/「永遠の恋人」彦乃
/お葉と夢二の晩年/夢二の死
北原白秋の手紙
・トンカ・ジョン白秋/姦通事件・俊子との恋
/もろかった章子との結婚/菊子との晩年・こども
谷崎潤一郎の手紙
・妻の譲渡事件/「蓼喰ふ蟲」の重要性
/松子との出会い/根津松子へ
岡本かの子の手紙
・聖家族/宗教遍歴の旅/息子太郎へ
芥川龍之介の手紙
・塚本文へ/師夏目漱石へ/不如意な結婚生活
/心よわき人・その死
伊藤野枝の手紙
・「日蔭茶屋」事件/野枝から獄中の大杉へ
/虐殺−甘粕事件
林芙美子の手紙
・芙美子の放浪人生/欧州から夫緑敏へ
/成功から死へ
中島敦の手紙
・異常な文学的才能/橋本タカとの結婚
/南洋の島から息子へ
太宰治の手紙
・太宰治の執着/「斜陽」太田静子との恋
/山崎富栄との心中
堀辰雄の手紙
・「病」の詩人/「風立ちぬ」矢野綾子
/加藤多恵子との結婚
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手紙が重要な連絡手段だった時代、
心のたけを文章にのせて、相手に届けていく。
15人の作家のプロフと、主に恋愛や結婚の履歴を
残された書簡の文面とともに紹介する。
明治から昭和の初期まで
なんとも味のあるちょっとした文学史でもあります。
芥川龍之介が十代の塚本文に書いたラブレターが印象的。
結婚したら、二人の(文通)書簡を残そう、と言うあたり
もしかしたら作家として手紙が残るということも
頭にあった演出つきの文章なのかもしれない、と
思ってはみたが、やはりここは素直に読むことにしました。
若者だった当時の芥川が誠実に求婚する文面は
もらった女の子としては嬉しかったのではないかと思いたい。
島村抱月は須磨子と恋に落ちたとき、だいたい40歳すぎ。
それでもってその文面たるや、たいしたたまげた・・・。
なんかオネエ言葉になってます。
『〜まっていて頂だい』『名前なんてどうでもいいでしょう』
『〜と思ってくれなくて?』
『恋はいろんなことをおしえるものね。けれども二人の仲だけは、
必ず必ず打ち明けっこよ。』などなど。うひゃー。
夫婦や恋人同士になると睦言にしても普段の生活にしても
会話が幼児語化したりすることは多々あると思うが、
それが文章になって後々まで残っちゃうとしたら
いたたまれない気がする・・。でもここまでらぶらぶだと
微笑ましい。抱月さんの奥さんは不憫だけど。
岡本かの子が息子太郎に会いたいと想いながら綴った手紙、
それから死後、夫と太郎が交わした電報は心を打つ。
苦手だった太宰や谷崎は文面見てさらに苦手になった(笑)
ついでに島崎藤村も最近嫌いになったので
イロメガネで読んでしまった。(単純すぎ)
夏目漱石の英国からの手紙は
寂しくて仕方ない様子がわかって、何か切ない。
--------------------------------------------
先週、期限のある本や手元のものも読んでしまったので
春に100円ショップで集めた日本文学シリーズを
開いてみた。芥川の作品は三冊出てたので全部買った。
このシリーズとってもお買い得。字大きいし注釈つき。
しかし途中の引用例は不要かなあ。
結婚式や入社式など、いろいろな場面で
スピーチに使えって言われても・・・。
『歯車』や『或阿呆の一生』などを改めて読んで
以前読んだ時より何か引っかかるものがあった。
なので久しぶりに日文の棚を見て作家論や作品論を探す。
どれも読む気になれなくて、何となく手に取ったのが
この本ともう一冊。どちらも作家の書簡集だ。
著名な作家がどんな人生を送ったか、
たとえば教科書や文庫本の作家紹介や解説から
ある程度は知っていても、人生そのものがゴシップ、
三面記事になりそうな作家以外は、
深く私生活に踏み込んでは知らなかった。
第三者の目を通したインタビューや作家についての
思い出話などの記述からしか推測しようがないし
本当はどんな人だったかなんて、やっぱりわからない。
当時の作家には所謂「私小説」が多く、それら作品は
たいてい彼らの人生を辿りながら論じられている。
作家の人生がどうであれ、どれだけ不実な人間だろうが
激しい恋愛をしようが、作品だけ受け取っていた時のほうが
素直に読んでいたような気がする。
現在活躍中の作家で好きな人は何人かいるが、彼らの
プライベートを知りたいとは特に思わない。
日常エッセイくらいなら楽しんで読ませていただくかも
しれないが、あまり本人たちに興味はない。
昔の作家については、私的な事柄についてまで
何となく読んでしまうのは妙なものです。
(森おう外の「おう」の字は略字にしました)
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