水滸伝 痛快世界の冒険文学 (11)
2004年5月11日 読了本
ISBN:4062680114 単行本 1998/08 ¥1,575
「水滸伝」
文:嵐山光三郎
絵:譚小勇
原作:施 耐庵
痛快世界の冒険文学11(講談社)
遠い昔<伏魔殿>に封印された108の魔人どもが解き放たれた。
それは108星となって豪傑たちを梁山泊へ導いた。
社会からのはみ出し者やならず者、
冤罪のため囚われた者、
腐った官僚たちに反抗した者、
許せぬ悪を滅ぼしたことで我が身も悪に染まった者。
最初は山賊の砦に過ぎなかった梁山泊に次々と集う
豪傑たちの生き様を描く。
-------------------------------------------
今までは水滸伝というタイトルは知ってても
物語は大筋しか知らず。
それもゲームの「幻想水滸伝」シリーズを
やり始めて元ネタを仕入れた程度でした。
梁山泊、という単語。漢字が一発変換できるほど
有名であっても、水滸伝からだということは
子供の頃は知らなかったし。
これまた読んでびっくり。
義賊って言ったってみんなワルです。
「盗みはすれど非道はせず」なんて
甘っちょろい人たちじゃない。
報復するときは当のカタキだけじゃなくて
召使から女子供まで容赦なく皆殺し。
山賊をして罪もない人々を殺す、
金持ちから奪い尽くして宴会ざんまい。
しかし金品を奪って殺そうとしても
器の大きい人物や尊敬している名前を聞いただけで
ひれ伏して手厚くもてなすところもゲンキン。
そういう「義」はあるんだけど
正義とは違うというか・・。何だろ。
戦モノでも勢力争いでも、闘争ばっかりの話でも
善人悪役をある程度分けてあったり、
敵を討っても関係ない人たちについては、
かばったり見逃したりするヒーローってのが定番で、
対する悪人にも一理あったり、事情があったり・・・
どっちも元は善人なんだけどやむを得ず・・みたいな
物語を多く読んできて(漫画も小説も)
今回あまりの「ならずもの」ぶりに最初はちょっと驚いた。
確かに悪徳の限りを尽くす権力者に立ち向かう豪傑の
話ではありますが、名もない人々が巻き添えになって
ちょっとくらい善男善女が命を落とそうが
かまっちゃいられない大活躍。
好ましい女性といえば、これまた豪傑の仲間になる
扈三娘(こさんじょう)くらいで、他は
夫に卑怯な入れ知恵したりするような悪女ばかり。
今まで闘ってきた相手の豪傑を捕虜にして説き伏せ、
あっさり自分たちの仲間として受け入れ戦力にします。
解説にもありましたが将棋の一部の駒のよう。
『二君に従う』のが水滸伝の武将たち。
でもだんだん「ワル」に慣れてくると
どのように仲間を増やすのか、敵方の強い豪傑たちを
打ち破っていくのかを読むのが面白くなってきました。
この本のラスト。ある部分まっすぐで
純情な男たちの様子にホロリときました。
それにしても原作はもっとスケールがでかそうな話だ・・・。
-----------------------------------------
前述したように、残虐の限りを尽くす男たちですから
ちょっと読んでて合わないエピソードもありました。
それから、この筆者の書き方なのですが
台詞で人物を分けようとしてないのです。
シナリオではないし、台詞から人物像を推し量らずとも
お話の記述があるんだから・・・とは思っても
これだけ多くのキャラクターが揃うなら
ちょっとくらい台詞に特徴をつけたり、性格を出したり
台詞以外の人物描写ももうちょっと書き分けたほうが
面白かったんじゃないかなあ、と思いました。
みんなチンピラのようなべらんめぇ調で、小さな脇役端役から
メインの人物まで語尾も言い方も全部いっしょ。
自分より「上」だと思う人物に礼をつくす丁寧語もいっしょ。
登場人物が多いし、書き分けしてらんないのかどうなのか。
みんな筆者の分身のようでした。
漢字(中国)名に慣れていないと、場面が変わるたび
出てくる人物に「えーと誰だっけ」「どの人だっけ」って
なっちゃうので、面倒くさいときもありました。
「水滸伝」
文:嵐山光三郎
絵:譚小勇
原作:施 耐庵
痛快世界の冒険文学11(講談社)
遠い昔<伏魔殿>に封印された108の魔人どもが解き放たれた。
それは108星となって豪傑たちを梁山泊へ導いた。
社会からのはみ出し者やならず者、
冤罪のため囚われた者、
腐った官僚たちに反抗した者、
許せぬ悪を滅ぼしたことで我が身も悪に染まった者。
最初は山賊の砦に過ぎなかった梁山泊に次々と集う
豪傑たちの生き様を描く。
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今までは水滸伝というタイトルは知ってても
物語は大筋しか知らず。
それもゲームの「幻想水滸伝」シリーズを
やり始めて元ネタを仕入れた程度でした。
梁山泊、という単語。漢字が一発変換できるほど
有名であっても、水滸伝からだということは
子供の頃は知らなかったし。
これまた読んでびっくり。
義賊って言ったってみんなワルです。
「盗みはすれど非道はせず」なんて
甘っちょろい人たちじゃない。
報復するときは当のカタキだけじゃなくて
召使から女子供まで容赦なく皆殺し。
山賊をして罪もない人々を殺す、
金持ちから奪い尽くして宴会ざんまい。
しかし金品を奪って殺そうとしても
器の大きい人物や尊敬している名前を聞いただけで
ひれ伏して手厚くもてなすところもゲンキン。
そういう「義」はあるんだけど
正義とは違うというか・・。何だろ。
戦モノでも勢力争いでも、闘争ばっかりの話でも
善人悪役をある程度分けてあったり、
敵を討っても関係ない人たちについては、
かばったり見逃したりするヒーローってのが定番で、
対する悪人にも一理あったり、事情があったり・・・
どっちも元は善人なんだけどやむを得ず・・みたいな
物語を多く読んできて(漫画も小説も)
今回あまりの「ならずもの」ぶりに最初はちょっと驚いた。
確かに悪徳の限りを尽くす権力者に立ち向かう豪傑の
話ではありますが、名もない人々が巻き添えになって
ちょっとくらい善男善女が命を落とそうが
かまっちゃいられない大活躍。
好ましい女性といえば、これまた豪傑の仲間になる
扈三娘(こさんじょう)くらいで、他は
夫に卑怯な入れ知恵したりするような悪女ばかり。
今まで闘ってきた相手の豪傑を捕虜にして説き伏せ、
あっさり自分たちの仲間として受け入れ戦力にします。
解説にもありましたが将棋の一部の駒のよう。
『二君に従う』のが水滸伝の武将たち。
でもだんだん「ワル」に慣れてくると
どのように仲間を増やすのか、敵方の強い豪傑たちを
打ち破っていくのかを読むのが面白くなってきました。
この本のラスト。ある部分まっすぐで
純情な男たちの様子にホロリときました。
それにしても原作はもっとスケールがでかそうな話だ・・・。
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前述したように、残虐の限りを尽くす男たちですから
ちょっと読んでて合わないエピソードもありました。
それから、この筆者の書き方なのですが
台詞で人物を分けようとしてないのです。
シナリオではないし、台詞から人物像を推し量らずとも
お話の記述があるんだから・・・とは思っても
これだけ多くのキャラクターが揃うなら
ちょっとくらい台詞に特徴をつけたり、性格を出したり
台詞以外の人物描写ももうちょっと書き分けたほうが
面白かったんじゃないかなあ、と思いました。
みんなチンピラのようなべらんめぇ調で、小さな脇役端役から
メインの人物まで語尾も言い方も全部いっしょ。
自分より「上」だと思う人物に礼をつくす丁寧語もいっしょ。
登場人物が多いし、書き分けしてらんないのかどうなのか。
みんな筆者の分身のようでした。
漢字(中国)名に慣れていないと、場面が変わるたび
出てくる人物に「えーと誰だっけ」「どの人だっけ」って
なっちゃうので、面倒くさいときもありました。
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