痛快世界の冒険文学 (6) 宝島
2004年4月23日 読了本
ISBN:4062680041 単行本 1998/03 ¥1,575
「宝島」
文:宗田 理
原作:Robert Louis Stevenson
挿絵:徳田秀雄
痛快 世界の冒険文学6(講談社)
両親が経営する港の宿屋<ベンボー提督亭>で
ジム少年は、片頬に刀傷のある宿泊客と出会った。
男はジムに、『一本足の船乗りが来ないか見張れ』と言う。
ラム酒を飲んでばかりの男は、何ヶ月もジムの宿屋に
泊まり続けていたが、ある日潮風の匂いの漂う不気味な男が
宿泊客に会いにきた。それから海賊同士の揉め事に
巻き込まれ、偶然宝の地図を見つけたジム。
医者であり治安判事であるリブジーと地主のトリローニに
見せると、財宝探しの話が瞬く間に決まった。
脳溢血で死んでしまった宿泊客の男が言った
「一本足の船乗り」とは誰なのか。
雇い入れた水夫たちの不穏な空気に気づいたのは
とっつきにくそうで頑固な船長スモレットだった。
金に目が眩んだ大人たちと、正体を隠して乗り込んだ
水夫たち。目の前の冒険に胸を躍らせるジム。
それぞれの思惑を乗せて、ヒスパニオーラ号は船出した。
--------------------------------------------
何と言っても魅力的な人物がいろいろ出てくる。
また、正義と悪人とスパっと登場人物を区別しかねる
ところが、最後まで読ませる力にもなっている。
最初は人当たりのよいシルバーの凶悪な正体。
腹の底が読めないリブジーや、賢く勇敢だが、
かなり無鉄砲な主人公。
それからこの本では、どうやらオリジナルのキャラクター
らしいエミーという少女。ジム以外がみんな大人なので
宗田さんが創り上げた、原作にはない人物らしい。
彼女もなかなか魅力的で、奔放なところも前向きに
頑張るところも愛らしかった。
無人島で荒くれ者たちと闘うはめになる話は
「十五少年漂流記」でも語られていたが
地の利を生かし、先手を取ったり裏を掻いたりして
何とかしようとする双方のサバイバルゲームは
目が離せない。少年向け冒険小説なのだから
主人公は多分無事だろうと思いつつもハラハラ。
冒険小説なのだから、と思いつつ
次々と人が死んでいくことに、痛ましさもあり。
推理小説で顔の見えない連続殺人を読んでも
どうってことないが、こういう小説で
人が斃れていくことには何となく悲哀を感じる。
今、あまり大人が冒険小説を子供に薦めないのは
そういうことなんだろうか。
子供の頃読めば、ハラハラの展開にそんなことまで
考える余裕はないかもしれない。
冒険小説の代わりに、今は映像でも本でも
十分人殺しを目にする機会が増えている。
それをただ一方的に悪いと、よく少年犯罪の後で
影響を取り上げられることがあるが・・・。
どちらにしても虚構と現実の区別をつけさせるのは
周囲の大人の役割なんだろう。
「宝島」
文:宗田 理
原作:Robert Louis Stevenson
挿絵:徳田秀雄
痛快 世界の冒険文学6(講談社)
両親が経営する港の宿屋<ベンボー提督亭>で
ジム少年は、片頬に刀傷のある宿泊客と出会った。
男はジムに、『一本足の船乗りが来ないか見張れ』と言う。
ラム酒を飲んでばかりの男は、何ヶ月もジムの宿屋に
泊まり続けていたが、ある日潮風の匂いの漂う不気味な男が
宿泊客に会いにきた。それから海賊同士の揉め事に
巻き込まれ、偶然宝の地図を見つけたジム。
医者であり治安判事であるリブジーと地主のトリローニに
見せると、財宝探しの話が瞬く間に決まった。
脳溢血で死んでしまった宿泊客の男が言った
「一本足の船乗り」とは誰なのか。
雇い入れた水夫たちの不穏な空気に気づいたのは
とっつきにくそうで頑固な船長スモレットだった。
金に目が眩んだ大人たちと、正体を隠して乗り込んだ
水夫たち。目の前の冒険に胸を躍らせるジム。
それぞれの思惑を乗せて、ヒスパニオーラ号は船出した。
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何と言っても魅力的な人物がいろいろ出てくる。
また、正義と悪人とスパっと登場人物を区別しかねる
ところが、最後まで読ませる力にもなっている。
最初は人当たりのよいシルバーの凶悪な正体。
腹の底が読めないリブジーや、賢く勇敢だが、
かなり無鉄砲な主人公。
それからこの本では、どうやらオリジナルのキャラクター
らしいエミーという少女。ジム以外がみんな大人なので
宗田さんが創り上げた、原作にはない人物らしい。
彼女もなかなか魅力的で、奔放なところも前向きに
頑張るところも愛らしかった。
無人島で荒くれ者たちと闘うはめになる話は
「十五少年漂流記」でも語られていたが
地の利を生かし、先手を取ったり裏を掻いたりして
何とかしようとする双方のサバイバルゲームは
目が離せない。少年向け冒険小説なのだから
主人公は多分無事だろうと思いつつもハラハラ。
冒険小説なのだから、と思いつつ
次々と人が死んでいくことに、痛ましさもあり。
推理小説で顔の見えない連続殺人を読んでも
どうってことないが、こういう小説で
人が斃れていくことには何となく悲哀を感じる。
今、あまり大人が冒険小説を子供に薦めないのは
そういうことなんだろうか。
子供の頃読めば、ハラハラの展開にそんなことまで
考える余裕はないかもしれない。
冒険小説の代わりに、今は映像でも本でも
十分人殺しを目にする機会が増えている。
それをただ一方的に悪いと、よく少年犯罪の後で
影響を取り上げられることがあるが・・・。
どちらにしても虚構と現実の区別をつけさせるのは
周囲の大人の役割なんだろう。
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