ISBN:4062680092 単行本 1998/06 ¥1,575

「鉄仮面」
文:さとうまきこ
原作:フォルチュネ・イポリート・オーギュスト
   ・アブラハム・デュ・ボアゴベイ
挿絵:建石修志

痛快 世界の冒険文学9(講談社)


子供から大人まで楽しめる冒険文学シリーズ。
どの作品タイトルも、読んだことはなくとも
聞いたことがあるものばかりです。

とは言っても活字離れの昨今、どれだけの子供や大人が
このシリーズで刊行されている物語を知っているかどうか。
年配の方たちだったら、子供の頃どきどきしながら
読んだ冒険譚の数々を覚えているかもしれないです。
私自身、子供の頃から図書室や書店の背表紙でなじんでいるものの、
実際の内容についてはほとんど覚えてなかったり
登場人物やあらすじ、イメージだけしか浮かばないものが多いです。

このシリーズの特徴は普段ミステリーやハードボイルド、
児童文学など様々な分野で活躍している作家たちが
文章を担当していることです。

字が大きく、ルビもしっかりふってあるし
作品背景や歴史の解説もあって面白いシリーズです。

刊行して少したってから、とりあえず読みたかった
菊池秀行さん担当の「吸血鬼ドラキュラ」(挿絵:天野喜孝氏)と
藤本ひとみさんの「三銃士」(挿絵:東 逸子氏)だけ
買いました。最近は全巻揃えて置いてある書店が少なくなりました。
出来れば揃えたいくらいですが、値段と巻数、収納場所を
考えると今のところ無理そうです。

今回「鉄仮面」は公立の図書館で見つけました。
先日読んだ「ブルボンの封印」で、鉄仮面について
もともとの話や伝説を知りたくなりました。

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17世紀後半、フランスをルーヴォワの悪政から救おうと
青年貴族モーリスは、同意する貴族たちの連判状を密かに
恋人ヴァンダに託し、かねてからの計画を実行しようとする。
しかし身内に内通者がいた為に、罠にはまり捕らえられてしまう。

ヴァンダはモーリスを救うためにパリに赴き、
かつてルイ14世の恋人だったソワソン伯爵夫人と共謀して
モーリスとおぼしき鉄仮面を被った囚人を脱獄させるが
それはまったくの別人だった。

いったいモーリスはどこに。
また鉄仮面を被っていた囚人の正体は・・・。

ヒロインは初恋の人の追跡と奪還のため、一方で
高官たちは鉄仮面の正体を世間に知られまいとし
それぞれ画策する30年以上の月日が描かれる。

ヴァンダが波乱に満ちた薄幸(?)の生涯を閉じ
「鉄仮面の男」がそれを知るラストシーン。
描写はとても短いが、場面が目に浮かぶようでした。

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