ISBN:4087202283 01/2004 ¥735

著:広瀬 弘忠
(集英社新書)

プロローグ>古い「災害観」からの脱却を目指して

第1章・・・災害と人間

災害とは何か
災害時の人間行動−災害心理学的アプローチとそこからわかること
災害対応の類型
災害の衝撃から回復まで
防災のジレンマ

第2章・・・災害被害を左右するもの

避難行動の重要性
避難行動の仕組み
避難行動に影響するヒューマン・ファクター

第3章・・・危険の予知と災害被害の相関

災害の予知
災害警報とは何か
伝達と受容
リスク・コミュニケーションの必要性

第4章・・・「パニック」という神話

パニックとは何か
パニックが発生する時
パニック恐怖症がもたらすもの

第5章・・・生きのびるための条件

生きのびるとは
どんな人が生きのびるのか
サバイバーはどう生きるか

第6章・・・災害現場で働く善意の力

援助行動と愛他行動
災害と援助行動
ボランティア活動

第7章・・・復活への道筋

社会の変動因としての災害
被災社会が外部支援を引き出す条件
災害復興に影響をおよぼす要因の連関
社会システムの機能の変化

エピローグ>「天」と「人為」の狭間に生きる人間として

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大きな地震や火災、悪天候による影響・・今ならばテロも含めて
様々な災害はいつでも起こりうる。そしてそのとき、
的確な行動を取ることができる人間は少ない−。
安全に慣れているが故に、危険を回避したり、対処する能力がない。

災害における人間の心理を古今東西の実例から追っていきながら
「このとき、どうするべきか」を問いかけ、またそれぞれの案を示す。阪神淡路大震災から9.11テロ、最近だと真夏のNY大停電まで身近な例があげられており、とてもわかりやすい。

必ずしも災害時によくあるイメージ通りのパニックは起こらない。パニックはいくつかの条件が揃わなければ起こらないという記述や、災害時における心と身体の活動性の話はとても興味深いものだった。

この本を知ったのは確か新聞の書評だったような気がします。
本屋で読みたくなるような新書を探しているとき、タイトルに覚えがあって、手にとってみたら面白そうだったので。運良く当たりました。何でもそうだが、「これがすべてその通り」というわけではない。でも、防災について考えるなら、一度読んでおくのもいいと思いました。

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