『宇宙(そら)に旅立つ時』 TIME FOR THE STARS
ロバート・A・ハインライン:著
酒匂真理子:訳(創元推理文庫SF)

人類の住むことが出来る星を探して
外宇宙へ旅立つ人々。
果てしなく長い距離に隔たれ如何にして
宇宙船は地球とのコンタクトを取るのか。

その連絡手段として選ばれたのが
地球上のテレパス、主に双子ばかり。
一生遊んで暮らせる保障を得て
片方は地球に残り、もう片方は空へ旅立つ。

主人公のトムはいつもパットにうまくやられて
劣等感を持ち続けていた。
テレパスとしての能力があると知らされて
財団に宇宙船登場を請われたものの
どちらが宇宙へ行くのか・・・・

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面白かったです。一気に読みました。
こういうの大好きです。
出てくる人たちも、ウチュウセンも。
小難しいことナシで、
たまたま舞台背景や設定が未来ってだけで
一人の男の子の成長物語でもあり
いろんな人間たちのドラマであります。

1956年に発表された長編。
宇宙船、テレパス、相対性理論。

かつて<SF>が一番<SF>らしかった時代の話。

ってよく言います。
私もそうだと思ってるところがあります。
まさに空想科学小説として読者の心を掴んで
放さなかった頃が確かにあったんだろう。

勿論リアルタイムで読んでいたわけでなし、
郷愁めいたセンチメンタリズムでどうこう言っても、
繰り返し読んだ先人たちの解説等で
暗示にかかってるようなものなんですが。

これらに影響された日本の作家たちが
ジュブナイルの形で大昔の少年少女に
おおいなる夢を与えていたわけで。

学校の図書館の古びたSFシリーズを
読んでいたときは既に古臭かった。
でもそれが何か好きでした。
設定や出てくる登場人物の様子がいい。

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さて、この話。
あっさり書いてありますが
けっこう悲劇も続くんです。
他の宇宙船は次々と行方不明になるし、
地球を旅立ったときに200人いた船の仲間たちは
最後のほうでは30人ちょっと。
反発したり支えあったり
いろいろあっても、大切な乗組員たち。
失っても、立ち止まることを許されない宇宙の旅。

こんなに犠牲を払っても
技術の進歩によって
すべてが過去の遺物となっていく様は
ちょっと哀しい。

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